スタッフが綴る日々の出来事

作成日:2024年05月01日
弥生の砂、令和の砂

 先日、西日本一帯に黄砂が吹き荒れましたね。丘陵上からの景色が売りのむきばんだ史跡公園も、黄砂が舞うとご覧の有様。島根半島さえ霞んでしまいます(写真1)。花粉症ではない私も、この時ばかりは目がかゆい!

 さて、黄砂に代表される飛砂(「ひさ」。「風成砂(塵)」とも言います)は、古くは旧石器時代から確認されています。妻木晩田(むきばんだ)遺跡では飛砂の痕跡は見つかっていませんが、同じく「とっとり弥生の王国」を代表する青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡(鳥取市)では、約二千年前の飛砂が確認できます。この時期は「弥生の小海退」と呼ばれ、寒く乾燥し、海面は今より約2m低下していました。そこに強い北西風が吹いて浜砂が巻き上げられ、内湾沿いの遺跡には、細かい砂が約1mも降り積もったのです。遺跡内に適度な高まりができたことで、人々はここを拠点として生活を送りながら、砂の高まりが崩れないよう、何重にも砂留めの柵を造っていました(写真2)。

 古墳時代の大集落として有名な長瀬高浜(ながせたかはま)遺跡(湯梨浜町)も、厚く積もった飛砂の下から見つかりました。これも室町時代以降に堆積した「シロスナ」と呼ばれる飛砂です。さらに、因幡の白兎伝説の舞台である白兎(はくと)海岸(鳥取市)近くでも、江戸時代の石塔が飛砂で埋もれていましたし、皆さん良くご存じの鳥取砂丘も、海底の砂が波の働きによって岸へ打ち上げられ、強い北西風によって内陸へと運ばれてできた地形なのです。このようにみると、鳥取県の海岸近くでは、今も昔も砂の影響を大きく受けているんですね。

 今日の妻木晩田遺跡、黄砂も一段落したようで、遠く隠岐の島まで見渡せました。今週末の5月3日(金・祝)から5日(日・祝)は、「GWはむきばんだ日和2024 トリドリむきばんだ」を開催します。ぜひ、皆さんの目で、弥生時代からの変わらぬ景色をご覧になってください。お待ちしています! 

 飛砂の影響で霞んで見える日本海方面

写真1 飛砂の影響で霞んで見える日本海方面

幾重にも重なる砂防の木製柵(青谷上寺地遺跡)

写真2 幾重にも重なる砂防の木製柵(青谷上寺地遺跡)

 

【休園日】

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