院長あいさつ

総合療育センター院長

変わっていく療育

 入所している中学生が、日々庭の桜の開花状況を観察してくれています。今年はまだ満開にならず、いつも春休み頃に庭でしている花見は、見頃までもう少しのようです。

 令和6年度がスタートしました。新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから1年が経とうとしています。入所児童の面会や外出、行事の制限が解除され、以前の状態に近くなりました。また、家庭とセンターを行き来する短期入所(ショートステイ)も、できるだけ希望通りに受け入れできるようになりました。しかし、コロナ禍の数年間が子どもたちに与えたダメージは大きいものでした。入所では感染管理という医療面を優先せざるを得ず、子どもたちも私たちも、知らず知らずのうちに生活を広げる部分に消極的になっていると感じます。失われた数年間を取り戻す勢いで色々な体験ができるように、職員も知恵をめぐらしているところです。その際、子どもを中心に考えることが大切です。令和6年度、児童福祉法改正により実施される児童福祉施設での「子どもの意見聴取の仕組みの整備」にもとづき、昨年から当センターでもワーキンググループで子どものアドボカシー(意見を表明できるよう支援すること)を進めるよう取り組んでいます。

 また、外来診療では、学校に行けない、集団生活がうまくできない、ゲームや動画にはまっている、などの相談が増える一方です。発達障がいをもつ子どもを専門施設や医療だけでなく地域や学校の全体で支援するシステム作りを従来から目指してきましたが、支援の必要性が増したことで、医療や専門機関のニーズはさらに高まっています。

 一方、令和4年4月にスタートしたオール鳥取チームによる鳥取県医療的ケア児等支援センターは、東中西の相談窓口を中心に相談や研修を積み上げつつあります。令和5年10月には、米子市に民間の医療支援型グループホーム博愛が開設され、長年西部地区の課題であった、濃厚な医療的ケアが必要な障がいの重い成人のかたの生活の場ができました。センターとしても、開設にあたりグループホームにでかけて行って医療的ケアの情報共有をしているところです。

 長年障がい児支援をされている小児科医の宮田広善先生は、著書「子育てを支える療育」のなかで、療育において子どもの育ちや日々の暮らしを大切にした生活モデルの大切さを強調されるとともに、「変わっていく療育しか子どもたちを育てていけないのだ」と述べられています。子どもは世の中の変化の影響を大きくうけます。私たちはその変化を敏感にとらえて、変わっていく療育を実践したいと思います。

 

2024年4月

鳥取県立総合療育センター院長 汐田まどか 

 

  

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