知事定例記者会見(2009年6月4日)

平成21年6月4日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約43分) ※MPEG4形式

  

1 6月定例会について 

●知事

 おはようございます。明日から鳥取県議会が開会となります。明日からだいたい一月弱の会期ということになりますが、今月いっぱい論戦が闘わされることになります。私ども執行部の方からは380億5,000万円に及ぶ過去2番目の大きさの補正予算を提案するほか、観光の振興についての条例ですとか、安全安心のための条例ですとか、そうした各種案件を提案をさせていただきたいと思っています。

 現在、国の方で、経済対策の議論が大きく進展をしていますので、それを受けて、出来る限り早くその効果を県内に反映させていきたいというふうに考えております。





2 近畿ブロック知事会議について 

●知事

 こうした動きも関連しながらでありましたけれども、昨日、一昨日は関西の近畿ブロック知事会を鳥取県の方にお招きをさせていただきました。その中で、国直轄[事業]負担金についての議論でありますとか、近畿の知事会の今後の運営の在り方など、活発な論戦が闘わされたと思います。

 想定外に時間が延長しまして、関係の皆様には、結局ご迷惑をおかけした結果になったかも知れませんけれども、参加した知事さん、副知事さんから、後ほどお話を伺いますと、記憶に残るようなブロック会議になったというお話を聞かせていただきました。

 この機会に、鳥取[県]はどういうところかを近畿地方の知事の皆さんにも見ていただこうと、鳥取砂丘や、また、昨日は境港の方に橋下[大阪府]知事、仁坂[和歌山県]知事をお連れをしましてご覧をいただくということになりました。これが関西方面でも報道がされていますので、鳥取県の観光のPRにも役に立ったのではないかと期待をいたしているところであります。

 その際に、ジオパークについて会議も持たさせていただきました。これは山田京都府知事さん、それから五百蔵(いおろい)兵庫県副知事さんにもご同席をいただき、三田村[山陰海岸ジオパーク推進協議会]専門部会長、それから、西田先生[放送大学鳥取学習センター所長]にもおいでをいただきまして、お話し合いをさせていただきました。

 これから、6月19日の正式な申請期限に向けまして、最終的な文言調整に入ると思いますが、それぞれの県でお話をざっと伺ったところでは、こうした方向で是非、申請書をまとめていただきたいと、こういう結果になりました。地域を挙げて、今年こそは世界ジオパークネットワークへの加盟申請に向けた動きが確実になるように、協力して働きかけをしていきたいというように考えております。




3 DBSクルーズフェリーについて 

●知事

 DBSクルーズフェリーについてでありますけれども、今、ちょうどこの10時からというふうにお伺いをしておりますが、韓国の釜山におきまして、会社としての意思決定を行う取締役会を開催することになったという情報をいただきました。この会議の中で、正式な就航スケジュールなどを決定するというように伺っております。

 決まり次第、我々としては情報を得たいと思っておりますが、いろいろ諸手続きが向こう側で関係自治体だとか、いろいろあるようなことも言っているそうでありまして、今日か、遅くとも明日に正式な文書での通知といいますか、お知らせがいただけるのではないかと我々は思っております。

 いよいよ本格的にDBSクルーズフェリーの就航が決まってくるスケジュールが整ってきたと思っておりますが、昨日は大阪[府]、和歌山[県]の知事にもDBSクルーズフェリーの船が到達する岸壁、それからCIQのターミナルも見ていただきました。関西としても利用価値のある路線ではないかと、こういうお話もいただき、我々もこれから売り込み攻勢を強める必要があるだろうと思っています。

 17日、18日と岡山、広島、両市でPRのための説明会を開催しようと思っておりますし、22日には大阪[市]でこのDBSクルーズフェリーの新規航路の説明会を行うことにさせていただいた次第であります。





4 子育て対策について 

●知事

 このたび、[2008年の]合計特殊出生率の発表がありました。全国は1.37ということであり、本県はそれを上回る水準で1.43ということになりました。その意味で、鳥取県の少子化対策は一定の役割を果たしたのかもしれませんけれども、気になるのは1.47から1.43と合計特殊出生率が下がったことでありまして、ここ数年低下傾向が出てきているというところがひっかかります。

 ですから、今、担当部局にもお話を申し上げましたけれども、できるだけ早いタイミングで、実際、子育てに当たっておられる方々、保護者のかたとか、関係の方々にアンケートをして、どういう対策がこれから望まれるのか、子育て王国鳥取の確立のために望まれる施策へのヒントをいただく必要があるだろうと思っております。

 現在、「とっとり子ども未来プラン」の作成に入りました。つい先だってから入ったばかりでありますが、これからの子育て王国の充実のために、市町村と協力してやっていかなくてはならないと思っています。

 その一環でありますけれども、6月に入りまして、大阪[府]、兵庫[県]と子育て応援パスポートの相互乗り入れを始めることにいたしております。大阪[府]、兵庫[県]合わせて何千という店舗がありますけれども、これは向うの場合はチェーン店が多いようであります。そういうところが鳥取[県]の子育て家庭にメリットが受けられるようになります。

 鳥取[県]側は向こうとちょっとやり方が違っていて、個別の店舗に協力をしていただいているような格好が強いものですから、今、相互乗り入れに応じる店舗の協力店を募集をしているといいますか、調整をしているところでありますけれども、例えば観光地でお土産物屋さんとか、宿泊とか、そうした向こうからお客さんを呼び込むにも良いような材料でありますので、その交流促進のためにも役立つようなパスポートの利用を考えていきたいと思います。

 これについては、島根県とも従来から相互乗り入れをやっておりますし、是非、岡山県ともその相互連携を図っていきたいと思っておりまして、その旨、精力的に先方と調整をさせていただきたいと思います。





5 日程等について 

●知事

 近々の予定で申しますと、今日はJAの皆さんと高齢者世帯などの見守りの協定[中山間集落見守り活動協定]を結ぶことにいたしております。正会員5万人、準会員が3万人という大きなJAグループでありますので、ここと連携することで安全安心な中山間地の体制づくりに役立つのではないかと期待をいたしております。

 それから、この週末は鳥取[県]の倉吉[市]で未来ウオークがありますけれども、私もそのシンポジウムに参加させていただき、そして、韓国からウオーキング協会の会長さんがお見えになりますので、これからの交流促進も話し合えるかなと思っています。その次の週末では、ラムサール条約以降やっております島根、鳥取両県による清掃活動、多くの両県民のかたにご協力をいただいて実施をいたしたいと思っております。私の方からは以上です。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者(幹事社)

 各社、お願いします。




6 国直轄事業負担金について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 先日、国交省の中国地方整備局長の藤田さんが来られたんですが、その藤田局長が出されている中国未来通信第69号というのがちょっと手元にあるんですけども、そのメールマガジンの中で、この局長の考えがいろいろ述べられているんですが、まとめて言いますと、その直轄事業を全額国負担するというんならば、補助事業の方は地方で全部みてください。だったら、その税源を地方がよこせという話になるんであるならば、国は借金して賄っているわけで、借金の権利の移譲にしかならないと。更に言えば、国の負担金とかの額というのは、そもそも地方交付税の基準財政需要額の中に組み込まれていて、実質的には国が面倒をみているのと等しいんじゃないかというような見解がいろいろ書かれているんですけども、知事としては、その直轄事業、補助事業、あと、その税源移譲というそのトータルな枠組みはどうあるべきだというふうにお考えなんでしょうか。


●知事

 これは、段階を追って考えていかなくてはいけないと思うんです。将来的といいますか、本来地方政府と中央政府との関係から言えば、中央政府がやるべきことは中央政府が自分の責任においてやる。地方政府がやるべきことは地方政府が自分の責任においてやるというのが、本来であろうかと思います。

 ですから、従来からいろんな地方団体が議論をしていますけれども、国の直轄事業は国が全て、それについて地方は負担金はいらない。地方のことは地方でやりましょう、財源的に調整しましょうと、こういうような将来像についても議論がありますし。私は、本来はそういうものだと思います。

 ただ、今の議論でお伺いしたとこで詳細に読んでいるわけではありませんので、誤解があったら申し訳ありませんけれども、幾つか、今ざっと聞いたところでは誤解、先方にちょっと、ミス・アンダスタンディングといいますか、誤解があると、理解が足らないところがあるのではないかと思います。

 それは、地方交付税でまかなっているから、それは国が面倒をみているんだというのは横暴極まりない話でありまして、地方交付税は、地方が、我々の共有財源として持っているものであります。ですから、その使途については制限がなく、一般財源でありまして、特段その事業に充てられるだけの経費の積算があったとしても、それは標準的な財政需要がどのぐらいあるかという積算に過ぎないものでありまして、だから、国が面倒をみているんだから文句を言うなというのは、これは横暴な議論だと思います。

 それから、国が財源を渡すことになると、国の方も借金をしているからということがありますが、地方側も借金をして、地方債を起こして事業に当たっています。これは、建設官僚がよくおっしゃることでありますけれども、建設のための借金というのは、単なる赤字の借金とは違うわけでありまして、将来世代に渡って、何十年かの人が使うわけでありますから、世代間公平を図るために分担しようという意味もあるわけですよね。

 ですから、そういう意味でやっているものでありますから、一定程度は、こうした公債による建設事業という考え方は残るんだろうと思うんです。それについて、云々言うのはいかがかなと思いますし、それから、国の方が借金をするんだから、地方にお金をまわせないというからこそ、本来の税源の抜本的改革をするべきだと。消費税だとか、地方消費税、そうした新しい基幹税について国民的議論を巻き起こしながらやっていかないといけない。

 これは社会保障の問題もそうでありますし、こうした社会資本の整備も、その範疇外ではないはずであります。そのことを、よくご理解いただく必要があるんではないかと私は思います。おそらく、藤田局長はそうした将来像についての私見を述べられたんだと思いますけれども、現実には、手順を追っていかなければならないと思います。

 まず、我々が直面しておりますのは、これからお支払いする国直轄事業の負担金をどうするかでございまして、近畿[ブロック]知事会でも中国[地方]知事会でもずいぶん議論をやりましたけれども、私は、もう、今の段階にくれば、内容の開示を求めることと並行しながら、これは我々の方で負担できるもの、負担できないものというのを区分けをして、これは全国的に統一して、このたびは、運動体としてスクラム組んでやる必要があるんじゃないかと、こういうように思っています。そういう整理を急いでやるべきだと思います。

 それから、これは実際には負担する額の範囲の整理の問題だと思うんですけれども、次のステップは維持補修など、まずは国庫負担、国直轄事業への負担が果たしていいのかどうか、これを見直すべきではないかと思っています。

 これは、地方の方でやる国補助事業については、地方がその後の維持管理を全部やりますので、それと、イコール・フッティングで言えば、同じ立場に立てば、国は国直轄事業でやったものは、例え地方から負担金を取っていても国でやるべきではないかと、こういう議論が成り立つと思います。ですから、この点も、よく国の方に申し入れをして、これも全国的なスクラム組んでやっていくべき段階ではないかと思っています。

 さらなる抜本的な改革は、先程申しましたこととも関連しますけれども、税財政全体の問題だとか、大きな議論とどうしても絡むと思いますので、順を追って議論していくのが現実的には筋道だと考えております。


○読売新聞 北島夏記 記者

 負担金に関連してですが、先日、整備局と、それから、中国四国農政局からも、平成20年度のより詳しい内訳が示されたと思うんです、そちらはご覧になりましたでしょうか。


●知事

 両方拝見しましたし、今、事務方の方でもよく聞いてみたいということもあるようでありまして、やり取りをさせていただいていると思います。まだ、そういう意味で、完全なもの、十分なものではないと思っていますが、内訳の方は、そういうふうにしてこれから詰めていけばいいと思います。問題はどこまで、じゃ、負担することになるかと。そちらの方に焦点が移りつつあると思っています。


○読売新聞 北島夏記 記者

 どこまで負担するかという点で、一般的に、退職手当と、それからの先程のその維持管理、このあたりがちょっと払う必要がないんじゃないかというご意見もありますし。それから、一般的にみて、児童手当ですとか、共済の負担金、このあたりもなんで、こう県の方が払うのかなというのは、率直に思ったんですが、知事としては先程のどこまで払うかというのを今のところ、どの範囲まで、例えば、退職手当はおかしいんじゃないかとかいう明言されているかたもいますが、どのあたりまでが地方が負担するべきで、どのあたりがボーダーにあたるのか。その区分をどう、今、考えられているのかをちょっと教えてください。


●知事

 私は、一番すっきりした議論は、国庫補助の場合、これだけのお金のうち、この部分を見ますよという、そういう決めがあるんです。しかし、国直轄事業の場合は、こういうお金のうち、どこまで見るかというのが、やはり今、不分明なんです。こちら[国庫補助]の方は、地方が国からお金をもらう方でありますけれども、こちらの方は国に対して地方は払う方であります。

 これは、対等な立場でありますので揃えなきゃいけないんではないかと、この議論でやっていきますと、1つの整理としては、例えば、今、ご指摘がありました退職手当、それから共済金、共済の負担金ですね。こうしたものは、国庫補助の対象外の経費になっております。ですから、これとイコールに考えれば、同じように考えれば、そうしたものは当然その範囲から除外すべきだろうということだと思います。

 その他にも、国の補助金の場合であれば、全体の経費に対して、そのうちのどれ程の事務費を使っていいかっていう割合が決まっているんですね。こういうのも今の国直轄事業の負担金の方にはありません。この辺も、議論の対象としても良いんではないかと思っています。

 その辺を、私はルールを作って、お互いに各県の間で了解して対応しなきゃいけないと思っていますので、中国[地方]知事会でも、近畿[ブロック]知事会でも同様な発言をさせていただきまして、我々でルールを作って、それで、スクラム組んでやっていきましょうという話をしているわけです。

 維持補修の問題は、これはもう一歩先の話になると思います。それは、制度の根っこから払わないという部分になりますので、全国的に統一とった行動をとろうと思うと、ちょっと今の段階では難しいかなという現実論を感じています。

 ただ、我々の方の筋論といいますか、理論から言えば、国の補助金に対して、地方が作った事業は我々が全部持っていますんで、国が作った方については、維持補修、全部国で見てくださいというべきであると、私は思っています。




7 ウラン残土から製造したレンガについて 

○山陰中央テレビ 松本英樹 記者

 ウラン残土レンガについてなんですが、先日、岡山県知事が、岡山県としてレンガは要らないというような発言を鏡野町に対しても、同じ方向性で歩調を合わせてくれというふうな発言をされたようなんですけれど、受け入第1号である鏡野町がもし受け入れないということになると、今後のレンガの製作とか、県外の搬出に足枷になると思うんですが、その辺の知事のお考えを教えてください。


●知事

 私は、こうした混乱を招いた原因は国側にあると思います。私たち鳥取県は、三朝町も含めて、要は協定を結んでいるわけでありまして、国の文部科学省、それから[日本原子力研究開発]機構の方で責任を持って県外へ搬出しますと。その期限も23年と決めてあるわけであります。ですから、国として、関係の自治体だとか、協議する必要があるんであれば、それは、徹底して協議をしてもらう必要があると思います。

 だから、国に対して、私たちはきちんとものを言っていくべきものだろうと思っています。岡山[県]の中でいろいろ議論がなされているという報道になっていますけれども、それは、国が責任を持って解決すべきものだと思っていまして、一体、国は何やっているのかなというのが率直な感想です。


○山陰中央テレビ 松本英樹 記者

 特にその辺に対して働き掛けというのは、ないんですか。


●知事

 国には、先般の、そうした報道もありましたので、責任を持ってその約束の履行を果たすべきであると、そうした申し入れをさせていただいております。明日、議会でも議論いただくような、全[員]協[議会]に提出するような我々の制度要望などにも盛り込む予定です。




8 県議会の会派について 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 明日から、県議会が開会するんですけれども、自民党の会派が統一されまして過半数に近い17人という大地が出来まして、与党側が、例えば仮に公明党なりが結束すれば、即過半数という格好になるんですけれども、そういった大きい会派が誕生することが今後の県政運営に与える影響というのは、何かおありというふうにお考えでしょうか。


●知事

 私としては、片方で「絆」という会派も誕生してまして、民主党系、社民党系、無所属のかた、いろんな方々が手を組んで会派を作られました。ただ、今そういう意味で会派の合従連衡(がっしょうれんこう)が行われているということだと思います。県政に直接それで、右だ左だと左右するようなものではないかも知れませんけれども。

 ただ、議会側でも、しっかりとした、私どもで提出する議案をチェックする体制を整えられていることは、県民の立場、地域の立場からは喜ばしいことではないかと思います。いろいろと議会活動のエネルギーを政策の中に重点化していくといいますか、注ぎ込んでいく体制というのは、私は大切だと思いますので、その意味では歓迎すべきことではないかと、自民党の問題も、絆の問題も、そういうふうに思っています。




9 知事会の政党支持とマニュフェストの検証について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 近畿知事会でも話題になっていたんですが、次の総選挙に知事会として、今、どういうスタンスで臨んでいくかという、特定の政党なりを知事会として支援するかどうかという話がちょっと出ていたと思うんですが、知事としては、この問題、どうお考えなのか、改めて。


●知事

 私は、今、政権が変わる可能性が非常に出てきている、そういう、いわば日本の分かれ道のような状況になっています。国民の神聖な審判が下されようとしている時でありますから、政党は政策を競い合う重要な段階だと思います。ですから、我々地方団体としては、その政策を争う中で、地方自治を確立をしていく、その手立てを具体的に説き起こしてもらう必要があると考えます。

 今こそ、知事会として、両政党に向けて、マニフェストを徹底して議論してもらって、私たちが積年の課題と思っております、今、財源が急に損なわれている状態とか、それがさらに国民生活の安定のための政策に影響しようとしているとか、そういう状況がありますので、この際、厳しく、両政党、いろんな政党に問うべき段階だろうと思います。

 その意味で、一部の知事さんの方から、どの政党を支持するかというのを知事会として決定すべきでないかという議論があります。私は、結論から申しますと、それに与するものではありません。よく似ているように思われて、実は、そうした立場の方々から、平井さんも賛成ですよね、と言われるんですけれども、実はそうではありません。

 と申しますのは、私どもは、地方行政の現場をあずかる者でありまして、それぞれの都道府県に1人しかいない存在です。ですから、その人間としてやらなければならないことは、党派性を超えて奉仕をしなければならない、そのことだと思います。

 ですから、国政選挙で、知事会として、連合体として、そうした人間たちの集合が、どちらの政党を支持するかということを決めるというのは、広い意味での県民全体に対する責任を考えれば、慎重になるべきではないかなと思います。こうしたことから、そうした態度表明をすることまでは行き過ぎではないかと思います。

 ただ、両陣営といいますか、与党、野党側で示されている、各党が示されているマニフェストが地方自治に適合性がどれほどあるかということは、評価の対象として、その評価結果を公表するということは、それはあり得るだろうと思います。その上で国民の皆さん、それぞれの地域の県民の皆さんが、それぞれ、どの政党にご投票なさるか、判断をされる参考にしてもらえばいいと。

 その辺が、いわば公的性格である知事会の限界のところかなと思っています。そうした考え方がありますので、私も、マニフェストの検証の委員会の方に知事会の中で参加させていただくことにしたいと思っています。今、その手続きを進めています。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 そしたら、マニフェストの検証は求めていくけども、地方行政の現場をあずかる者としては、党派性を超えてどこかの政党を支持することはないという、そういう考えでよろしいですね。


●知事

 知事会全体として、そうした人間たちの集団で、どの政党を今回は、この選挙では支持するというところを表明するのは、やや行き過ぎかなと思っております。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 であるならば、その地方行政の現場をあずかる身として、党派性を超えて奉仕しないといけないっていうお考えであるならば、2007年の参議院選挙の時に、自民党の常田享詳さんを応援されて、その後の議会等で民主系の会派からいろいろ言われたかと思うんですけども、その時に、2007年10月2日の鍵谷さんの質問に対する答弁の中で、3つ理由を挙げられて応援したと。1つは当選されたら要職に就かれるかもしれん。もう1つは、地方分権に理解のあるかただからって助けてくれと言われて仁侠心を出したと。この3点を挙げて常田さんを応援した理由を語られたんですけども、次の総選挙において知事は1区、2区において、自民党、民主党、それぞれの政党、特定の候補者に支援表明していくのは、されるんでしょうか。先ほどの考えを聞いている限りでは、されないかのように聞き取れたんですが。


●知事

 私は、これも繰り返し議会でも申し上げていますが、片方で、政治活動の自由っていうのは保証されているわけでありますし、現在の法体系も特別職については、そこは他の職員と違う立場を与えられているわけであります。ですから、そのことは、私自身の判断でさせていただきたいと思っています。

 先ほど知事会について申し上げましたのは、公的な、言わば地方6団体っていわれるような団体。それがそれぞれ、いろんな党派性のある地域を抱えている集合体でありますから、そこで皆で意思決定をして、言わば会派拘束のような形をして、どんどんと応援しようというとこは行き過ぎではないかと申し上げたわけであります。

 それぞれの政治家としての考え方、信条というものがありましょうから、それぞれの知事が行使をされることは、これは法的にも問題ありませんし、私自身も、自分の心に照らして今後も考えていくっていうことだと思ってます。




10 特別職の体制について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 特別職の任期について、計画を知りたいんですが、副知事、出納長は7月の頭で4年の任期が切れます。地方自治法の改正で出納長がこれで置けなくなるわけなんですが、現在の、いわゆる3役という言い方をさせていただきますと、3人体制ですね、出納長ポストを置けなくなった後でも維持されるお考えなのか、あるいは2人でやっていこうというお考えなのか、教えていただきたい。


●知事

 これは、特別職でございますので、議会として同意いただきながら進めていく人事でありますから、広い議論の中で決めるべきものだと思います。明日から議会が始まりますので、その中でも論戦があるかもしれないなと思っています。私自身は、出納業務については会計の責任者をきちんと置いてやっていくことで対処可能ではないかと思っています。

 それから、こうしたポストの数の問題については、政策を遂行していく能力をどうやって担保していくかという判断と、あともう1つは県民の大切な税金で賄っている話でありますので、1つのシンボリックなこととして、そうしたお金との関係から簡素な組織を目指す、それとの調整をどう考えるかということではないかと思います。

 そうした判断を、いろいろと考慮した上でまとめたいと思っていますが、開会する直前の時期でありますので、今は議会での議論をお伺いをしながら、自分としての考えを最終的にまとめたいと思っています。





11 近畿ブロック知事会議について 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 ちょっと雑ぱくな質問なんですけども、近畿知事会、2日、境港(さかいみなと)視察も合わせて2日間という、お訊ねなんですが、その総括と申しましょうか、鳥取開催実際された意義踏まえて、どう、この2日間を振り返えられますか。


●知事

 今回参加された各県の知事さんも、私の想像以上に高揚感があったように思いました。今までの近畿ブロックの範囲から1歩外に出て、いっそ近畿知事会を関西知事会に変えたらどうかという議論も実はあるんです。それは多くの席で、そんな話も出てまいりました。そういうように従来の近畿の枠組みを外れて、グレーター関西、グレーター近畿ということで、眼を開くいいきっかけになったんじゃないかと思っています。

 境港(さかいみなと)を見ていただいたり、砂丘やジオパークの地域も見ていただいたりしましたけれども、そういう中で広がって手をのばして、日本海側に大きなブリッジを築くことの意義を感じていただけたのではないかと思います。

 あとは、環境の良さにも触れていただきました。その結果として、鳥取宣言とでもいうべき、環境についての緊急アピールも採択されました。こうしたことから、鳥取[県]が近畿、グレーター近畿の中にあって、役割を果たしていくこと、その認知が出来たのではないかと思っております。

 我々の方からは、先ほど申しましたけども、結果的に関西でだいぶ報道されましたので、鳥取[県]の観光地の宣伝にもなりましたし、今回の航路の計画だとかも、それぞれの地域のトップのかたですから、理解を得るいいきっかけが出来たと思っています。





12 知事会の政党支持とマニュフェストの検証について(再質問) 

○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 話は戻るんですけれども、全国知事会として、マニフェストを徹底して議論はすべきではないかと、先ほどおっしゃっておられて、その一方で知事会として、片方の政党に与するというわけではないというようなお考えということでしたけども、その徹底して議論した先にどういうことを考えていらっしゃるのか。例えば、そこで見出した課題を政党に提示するのか、具体的にはどういう、議論の先にはどういうものが。


●知事

 要は、政党のマニフェストの中に、正しい地方自治についての理解と政策を盛り込んでいただくように努めたいということです。我々に出来ることは、政権選択が行われる際に、地方の大義といいますか、地方分権の基礎といいますか、そういうものを大きな政策でございますので、盛り込んでもらうということを働きかけなければいけないんだと思うんです。

 このことを、各党が、今、マニフェストを作成しているところでありますので、そこに知事会としての投げかけをし、盛り込んでいただけるよう運動しようではないかということです。





13 新型インフルエンザ対策について 

○読売新聞 北島夏記記者

 新型インフルエンザの対策についてでありますが、幸いにまだ発生していないんですが、発生した場合、例えば、学校で、学校に通っている生徒さんとかが感染した場合というのは、その学校名とか、地域をどのように発表して、どのような対策をとるかっていう、つまり学校名を明らかにするとか、地域市町村名を明らかにするとかで、自治体によって判断、都道府県によって判断が分かれていると思うんですが、鳥取県の場合はどのような対策をお考えでしょうか。広報課を通じて聞きましたら、学校名まではちょっと出すのは遠慮したいという自治体も一部にあるようなんですけども、学校名が分からない場合、どの地域でそういう感染者が、いるのかが県民全体に分からないという難点もありますので、難しいと思うんですが、知事としてのお考えをいかがでしょうか、学校名の公表、市町村の地域名の公表等で。


●知事

 私は、1つの理想として申しあげれば、情報というのは公開を基本とすべきものだろうと思っています。ただ、それについて、あまり過度に今回もそうですけど、有馬温泉であれだけお客さんが減ってしまったとか、京都府の知事が慌てて昨日上京していましたけども、そういう弊害が出るのも片方で事実でありますので、そういうことがないように報道機関の皆様にも冷静に報道していただきたいなと思いますが、そうした協力を組みながら、一定の情報公開を図っていくのが本来だと思っています。

 ただ、若干ややこしいのは、広報担当とどういうやり取りをしたのか、私も詳細は分かりませんが、我々の方で処分権があるというか、管理権のある情報もありますし、我々の方に管理権がない情報もあります。例えば、県立学校ですとか、県立施設ですとか、その辺については、私どもの方針で開示をしていくことは可能だと思います。

 今のお話だと、学校の中に市町村立のもあって、その市町村立がどうだろうかということなんでしょうね。それは、我々で全て、公開出来る管理権を完全に持っているわけではありませんので、それは市町村と多分報道機関でもいろいろやり取りされるんじゃないですか。あるいは、学校現場と。その中で解決されていくんではないかと思っています。


○読売新聞 北島夏記 記者

 危機管理という点でいえば、ある程度の統一的な基準を作ってもいいんではないかと思いますが、そういう話し合いとか、基準作りとか、というのはお考えですか。


●知事

 それは発生に備えて無用な混乱がないように、報道の皆さんと各市町村とで話し合いを、是非してもらえればいいと思います。我々はその仲介をさせていただけると思います。


○読売新聞 北島夏記 記者

 でもそれは、市町村とのその求める人との対話であって、危機管理をする県庁として、責任を持っていくという形にはならないということですね。


●知事

 我々も正直そこまでの権限が及ぶところは限界がありまして、協力を求めながらやっていかなけきゃいけないところでありますので、それは市町村とのスムーズな協議が出来るように努めていきたいと思います。





14 知事会の政党支持とマニュフェストの検証について(再々質問) 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 全国知事会としてのマニフェストにちょっと話が戻ってしまうんですが、先ほど作成中の時に働きかけというか、投げかけをして、地方のこの意思を盛り込んでもらうんだという話があったのと、その場合に出てきたマニフェストの評価結果を公表等することで、その投票の今度の参考にするということですか。これは両方を作成中ということですか。


●知事

 言葉足らずだったですが、その時間の流れでいえば、現在まだ作成中のところでありますから、[全国]知事会として、これだけ議論がヒートアップしていますので、やはり私もそうだと思うんです、今こそ各政党に問わなきゃいけない時期だと思いますから。各政党に対して、問いかけなり働きかけをして、マニフェストの中に地方の大義というのを組み込んでいくと、これをやるべき段階だろうと思います。

 そのあと、マニフェストが現実作成をされて、国民の投票行動が始まろうとする段階のことでありますが、その時に、じゃあ我々の方で何が出来るか。橋下[大阪府]知事だとかは、その際に何党に投票するか知事会で決めるべきだというようにおっしゃるわけでありますが、私はそれよりはむしろ、そのマニフェストの地方自治親和度といいますか、適応度というのを評価をさせていただいて、それを我々知事会として公表していくというのが公的な団体としての知事会のやれることではないかと思います。

 この辺は確かに議論がいると思いますが、そういうふうに段階を追って、今回の国政選挙との係わりを知事会で持っていくべきではないかと思います。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者(幹事社)

 よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。


●知事

 どうもありがとうございました。



 

  

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