防災・危機管理情報

知事定例記者会見(2008年7月24日)

平成20年7月24日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約46分) ※MPEG4形式

  

1 岩手県沿岸北部を震源とする地震について 

●知事

 皆様、おはようございます。まず、岩手県の沿岸北部で起こった岩手県、青森県におきます地震に対しまして、被災された方々、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 けさ、早速災害対策本部、岩手県と連絡をとらせていただきましたが、まだ詳しい状況は把握はできてはいないようでありますけれども、緊急の要請は、今のところありません。しかし、被災県でございました鳥取県として、可能な協力は今後検討してまいりたいと思っておりまして、引き続いて、この意味で情報収集に当たってまいりたいと思います。

 先般の岩手[県]、宮城[県]の県境における地震に際しては、初動で私どもの方で派遣したことを非常に宮城[県]の村井知事などは評価してくださいまして、来たのは結局新潟[県]とうちだけだったみたいなんですけども、初動のところはですね。そういう意味で評価していただいたということもございますので、今後、岩手県などと連絡をとってまいりたいと考えております。




2 6ヶ国協議参加国の外相会合について 

●知事

 それから、昨日ASEANの関係で6カ国の外相会議が開催をされました。その進展は国際的にも注目を集めるところでありますが、私どもとしては、ぜひ拉致問題の解決に向けた前進を期待をいたしたいと考えているところであります。

 高村外相から北朝鮮に対する呼びかけをしてくださったようでございまして、日本と[北]朝鮮との間の正常化に向けて、こうした拉致問題の解決も含めた努力をしていこうという、こういう話があったという報道がなされております。詳細はよくわかりませんが、ぜひ政府としては毅然とした対応で臨んで、全面解決を図っていただきたいというふうに考えております。




3 全国知事会について 

●知事

  これと関連もあるんですけども、先般、全国知事会[議]が開催をされまして、私も横浜[市]で開催された全国知事会[議]に出席をさせていただきました。

 これについて最近、いろいろとコメントが飛び交って空中戦になっているようでありますけども、私は闘う知事会ということ自体が過去、スローガンとして言われましたけれども、結局あの際に闘ったのは知事会の内部で、文部科学省の補助金をめぐっての闘いがあって、結局国との闘いでは三位一体改革で交付税の大幅減額という結果になってしまったということもありますので、闘ったのかもしれませんけども、結局内部のバトルが激しく、そして対外的には、結局地方団体全体としてはマイナスもあったんではないかと、そういうことだったんだと思います。

 ですから、私たちとしては、オープンな議論を[全国]知事会[議]という場でやって、いずれ連邦国家のような道州制まで考えられているような、そういう時代でございますので、その[全国]知事会[議]が政策をきちんと提言をしていける、まるで黄門様のように御意見番としてきちんと物申す、内部はオープンに、そして物申す[全国]知事会ということを目指していくべきではないかと思います。

 この意味で、このたび終わりました全国知事会[議]でありますけども、私が鳥取県として主張させていただきましたのは、拉致被害者の問題について、現在、ASEANでの会議もありますし、それから45日間のアメリカのテロ国家指定の解除の期限の問題もございますので、[全国]知事会として、ぜひこの段階で姿勢を示すべきだと、国に対して毅然とした対応を求めるべきだという主張をいたしまして、これが特別に緊急決議で急遽採択していただきました。

 それから、燃油高騰問題などの生活不安に対して、全国知事会として明確な意思表示をすべきだと、これも二転三転しましたけれども、最終的に私どもの方で主張した線で合意がなされて緊急決議が得られました。そういう意味で、[全国]知事会の運営については一定の評価できる面はあるんではないかと思っております。

 ただ、ちょっと心配されるのは、道路の整備の遅れた地域に対して聞く耳を[全国]知事会としても持っていただきたいと。このことは強力に現場でも私は主張させていただきましたが、やはりこれは温度差があることではありますけども、こうした案件なんかも全国的な状況、それぞれのお家の事情がありますので、そうしたお家の事情というものを酌み取って、連邦国家であれば合意を形成していくように、道州制をにらんだような対応もあるかもしれません、全国知事会としてもそうした少数的な意見についても聞く耳を持っていただきたいと思います。

 それは最終的には最後の道路財源についての合意の中で鳥取県、島根県、それからあと宮崎県が共同で提出した修正案、また、これは高知[県]や北海道の御支援なども、援護射撃もありまして、我々の趣旨は入れられたと思っておりますけども、その過程ではいろいろと、それこそ闘う知事会といいますか、内部でのバトル、我々の方がやや少数派的な状況で声を上げたと、こういうことがございました。

 そういう意味で今後、全国知事会でも、内部ではぜひオープンな議論をして、お家の事情、それぞれのことを包摂するような議論をしていただきたいということ、また御意見番として政策提言していく、そういう機能を果たすべきなのではないかと思っております。




4 今後の日程等について 

●知事

 それから、これからのちょっと予定といいますか、今後のことで若干ちょっとコメントさせていただきますと、明日から福岡[市]で、私ども鳥取県の食のみやこ鳥取キャンペーンをさせていただきたいと思っています。会場は九州でも随一の百貨店であります岩田屋[本店]さんで開催をさせていただくということにしておりまして、私もその会場を訪ねることにいたしております。

 あわせて福岡[市]で、佐賀県の古川知事や、あるいは福岡市長とか、それから私、そういう若手の首長で集まりまして、九州の経済同友会の主催によりますシンポジウム[福岡経済同友会シンポジウム]にも参画をさせていただきたいと考えております。

 それから、さらに大阪[市]の方に参りまして、関西広域機構への加入を目指したいと思っております。これは当日、理事会[関西広域機構2008年度第1回理事会]が開催されることになっておりまして、その場で採択されれば鳥取県も加入するということに晴れてなるんではないかと思います。

 この関西広域機構も、これに加入することで観光面ですとか、あるいは経済面でのグレーター近畿での結びつき、例えばFAMツアーを海外から呼び込む際に、鳥取県も加えた関西地域ということで御案内をする、こういうことが可能になってまいりますので、そうしたステージを目指しまして関西広域機構への加入に当たってまいりたいと思っております。

 明日ですけれども、かねてから言われております飼料高、穀物高、燃油高騰が農業にも影響を及ぼしてきております。農林水産部の方に話をさせていただきまして、JAだとか関係者とも協議をし、あしたから緊急対策を考えるプロジェクト[穀物・飼料・資材・燃油高騰に対応する農業緊急プロジェクトスタートアップ会議]を立ち上げることにいたしました。一つ考えられるのは、この際思い切って飼料用稲とか飼料用米とか、そうした粗飼料、農耕飼料になるような動きを鳥取県でも顕在化させてはどうだろうかと。

 いきなり全面的にというのは難しいと思いますが、明年度をターゲットにして、そうした飼料づくりを自分たちでやっていく、これは産地づくり交付金だとか、あるいは県での支援ということも考えられようかと思いますが、このようにサミットも終わりましたが、目立った穀物対策の成果も上がっていない状況でございますので、私どもとしての自衛策といいますか、自治的な動きをとらさせていただく必要があるだろうと思っております。

 いろんなプロジェクトを考えています。例えば和牛の放牧とかいろいろありますが、あとは生産コストを下げていくというのも一つだと思います。エコファーミングが叫ばれる時代になってまいりまして、これはいろんな内水面への水質にも影響したりとか、弊害もあるわけであります。そういう意味で、肥料の使い方もJAさんにも入っていただいて話し合ってみる必要があるかなと思っていまして、そうしたコスト減の農法についてのプロジェクトなんかも含めてまいりたいと考えております。

 海の方は、燃油高騰について国の方で政治的な動きが活発化していることを私は大いに期待をしております。何らかの結論をこの夏、出していただいて、補正予算なりダイナミックに動いていただきたいなと思いますが、鳥取県内では幸い、マグロが非常にいい売り上げといいますか、水揚げになってきております。こうしたことで名産品としてマグロの情報発信を図ろうというプロジェクトがいろいろ進んでいます。

 きのうも話をしましたが、[鳥取県西部中小企業]青年中央会で、例えばマグロバーガーを境港で売り出しているというプロジェクトが進んでおりますが、今度はマグロラーメンを鳥取から発信してはどうだろうかと。この試食会といいますか、セレモニーを土曜日にするということで、私も参画をさせていただこうと思っております。トランペッターの日野皓正(ひのてるまさ)さんなども、この際、御参加いただけると伺っております。

 最高級食材と言われるマグロを使ってB級グルメのラーメンを作るという、この山陰からの挑戦であります。高級食材マグロとB級グルメ、ラーメンとの出会い、これが我々としては百鬼夜行ではないかと思います。そうした取り組みを地域としても盛り上げてまいりたいと考えております。私の方からは以上です。


○NHK 雁田絋司 記者

 じゃあ、各社、質問をお願いします。




5 韓国江原道との交流一部中断について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 きのうのEATOF(東アジア地方政府観光フォーラム)で、おとといですか、22日、藤井副知事が江原道の知事と会われて、交流の一部中断を告げられたということなんですが、これ、具体的にはどういうことを指すか。


●知事

 詳しい情報は入ってきておりません。副知事がモンゴルに行ってキム・ジンソン[江原道]知事などとお会いする前に、私の方からこの交流のことについて、鳥取県としては、やはり地方対地方で、人対人で交流することの意義はあるだろうと、これはお互い確認したことなので、国レベルでのいろんな動きはともかく、地方レベルでの交流の大切さというものをお話をして向こうと話をするようにということを申し上げておりました。あと、DBSクルーズフェリーの件も向こうに持ち出すようにという話をしておきました。

 私も詳細な報告を得ているわけではありませんが、電話で藤井副知事からお伺いしたところでは、国際交流のことについては、向こうも非常に悩ましい状況だというニュアンスが伝わってまいりました。非常な情熱をかけてお互いに交流を再開したこと、この成果を失いたくないという、そういう思いは向こうにもあると思います。これは私どももそうでありますが、先方にもあると思います。

 ただ、国民世論が敏感に反応している時期であるので、一部、事業を見合わせることは検討せざるを得ないのではないかと、そういう認識が先方から示されたと伺っております。具体的にどの事業をということは、我々はまだ正直伺っていません。

 向こうのキム・ジンソン知事とも面と向かってのお話をさせていただいたわけでありますが、詳細なお話はいただけていませんし、正式ベースといいますか、公的ベースで向こうからうちに対して意思表示が来ているわけではまだありません。ですから、私どもとしては、今は冷静にその推移を見守りたいと思います。当方から一概に交流中止ということがいいわけではないというメッセージは、先方には副知事を通じて伝えているところであります。

 他方で、DBSクルーズフェリーなど、共同でやっているプロジェクトがあります。今回のEATOFもまさにそうでありまして、その中には、これは将来構想だと思いますが、日本海をぐるぐる回るようなクルーズとか、東アジア地域を回るようなクルーズなんかを考えてはどうかというお話が入っておりますけども、こうした共同プロジェクトですね、今回のDBSクルーズフェリーも、江原道としては積極的に推進をしたいというキム・ジンソン知事の意向は伺えたようであります。

 そういう意味で、お互い努力していきましょうと、こういう共同のプロジェクトの推進については、今回のことを過度に影響させないように取り組んでいこうではないかという、そういう協議がなされました。私のところでは、まだその程度しか、ちょっと伺えていません。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 直近でいうと8月の5日から農林水産部の方で農業視察に行かれると思うんですが、それについてはどうなるかは、まだ決まってないんでしょうか。


●知事

 私どもでは決めていません。先方でどういう考え方かというのは、まだ御連絡はいただいていません。恐らくキム・ジンソン知事もモンゴルに行っていましたので、向こうの中で話し合いがまとまり切っていないのではないかと思います。ただ、そうした個別の、今々の事業の中には見合わせたいという通知があるかもしれないという認識をいたしております。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 鳥取市、倉吉市ともに友好先から中断、[県]教育委員会もそうなんですが、これはアシアナの搭乗率等、影響はあると考えていらっしゃいますか。


●知事

 一定程度、結局鳥取、島根両県、山陰地域が米子-ソウル便を抱えることに至ったのは、人口規模ではエアラインとしては少ないともともと思っていました。ですから、そこに国際交流が韓国側と活発に行われている地域だと、そのことを上乗せして考えてなされて米子-ソウル便の就航が決まったという経緯がございますので、今回のように交流事業が中止をされる、見合わせるという動きが広がってくると、米子-ソウル便の搭乗率にも一定程度影響が出るのではないかと懸念をいたしております。

 あわせて、韓国から日本への旅行熱が冷え込むことにならないだろうかと、これも懸念材料であろうと思います。ただ、こうした状況は米子-ソウル便に限らず、全国であろうかと思いますので、もちろん羽田便とか、旺盛なビジネス需要だけでやっているところと違いまして、それ以外の地域は、地方便はあわせて同じような課題を抱え込む状況になっているんではないかと思います。

 我々としては、そうはいっても観光需要を呼び込むこと、インバウンドを呼び込むこと、これの重要性はありますし、アウトバウンドの支援措置も引き続きやっていって搭乗率を支えていくという努力をいたしていきたいと思います。




6 DBSクルーズ航路計画について 

○山陰中央新報 太田満明 記者

 DBSへの影響はどうですか、この関係で。


●知事

 DBS、この関係は、少なくとも江原道政府はむしろ前に出てきているという印象です。それから現在、ロシアに私どものミッションを派遣しておりまして、これがゴルチャコフ議長を初め、沿海地方政府の要人とお会いできることに急遽なっております。ですから、ロシア側も関心は寄せているとは思います。

 ただ、問題はこうしたことが、韓国も含む航路でございますので、影響があるかどうか、これは慎重に私どもも見ていかなければいけないと思います。DBSクルーズフェリーがこれで直ちに、もう就航計画をやめたとか、そういう動きには全然なっておりません。今回のロシア派遣の中にもDBS[クルーズフェリー社]のパク・テウク副社長も同行しております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 出資は集まったかどうかなんていう話は聞いておりますか。


●知事

 それは今回、また接触しているでしょうから、新しい情報が入っているかもしれませんが、まだ今、行ったばっかりなので、情報が届いておりません。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 江原道側のDBSに対する支援の内容というのは確認されたんでしょうか。


●知事

 いや、そこはないですね。支援するという言葉だったのか、ちょっと正確なところはまた副知事の復命を待ちたいと思います。ただ、協力して支えていきましょうということは、少なくとも言われたようですね。ただ、それがあちらもいろいろと政治的な状況もありますので、こうした路線の扱いをどうするかというのはデリケートな状況にあることは想像できますので、今後、向こうの動きを見ていきたいと思います。




7 韓国江原道との交流一部中断について(再質問) 

○山陰中央新報 太田満明 記者

 交流全体のことですけれども、キム・ジンソン知事が非常に韓国内で苦しい立場というのか、悩ましい立場におられるというのはよくわかるんですけれども、例えば清州(チョンジュ)市にしても羅州(ナジュ)[市]にしても、市民なり国民の感情がこういうふうに動いてきとるんで、だから中断せざるを得ないということで中止ということになってるんですが、先ほど知事もおっしゃいましたように、江原道とは一定の関係の中で復活をやっとしたわけですけれども、ここでもし何らかの中止というふうなことが出てくれば、今度これを再開する努力というのは相当の努力が今度必要になってくるんだろうと思うんですが。


●知事

 ですから、基本的な関係を断絶するかどうかということもあると思うんですね。今の国民世論とか感情からして、あちらの方が動きにくいという状況にあるのは感じられます。しかし、例えば前回の交流中断のときであれば、研修生だとか、そうしたお互いの職員派遣を一切引き揚げるという措置に出てきたわけでありますが、今回、そこまでいくのかどうか、基本的な関係というものは、根っこは一定程度持った上で交流の事業について時期的に見合わせ、やむを得ないと考えられるのかどうか、この辺であろうと思います。

 今はまだ事態が動いていますので、私どもとしては推移を見守るという段階だろうと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 今のところ、鳥取県と江原道の関係で中断になったものというのは、将来の職員研修のあり方を考えようという、視察に来られる予定だったものが中止になったということが一つあるようですけれども。


●知事

 あれは組織的に動いているわけじゃないと思います。あれはイレギュラーなことで、要は研修の、向こうの所長さんの方の判断で、一存でやめようかということだったんだと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 その程度にもおさまってますんで、道と県の関係で正式な中断というのは、まだないと思うんですけれどもね。


●知事

 ええ、今現在ないです。それからあと、ただ、その中で、私どももメッセージを持ってキム・ジンソン知事とこのたび副知事に接触してもらいましたけれども、その際に向こうの方から、ただ国民感情もあるので、個別の事業について、交流事業について見合わせる可能性は否定できないニュアンスだったと伺っております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 その場合、確認したいんですけれども、研修生とか職員をお互いに引き揚げるようなことまではしたくないということですね。


●知事

 そういう明確な言質(げんち)があったわけじゃありませんが、そこには。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 いや。平井知事としては。

●知事

 私は、それは今後の事態の進展にもよりますが、私は基本的な関係は維持すべきではないかと思っています。これは、たとえ国と国とがいろいろと対立する状況にあっても、地域と地域や人と人とが理解し合うことは、未来に対して意義が大きいと思っていますので、そうしたことは考慮していただきたいという気持ちがあります。




8 全国知事会について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 冒頭おっしゃった闘う知事会についてですが、内部で闘ってて、むしろマイナスだったというようなお話、これ、具体的に例えばどういうことを指しての御発言でしょうか。


●知事

 例えば、あのときは三位一体改革だとか、例の問題が話し合われたときですね。新潟[県]とかでバトルをやったと。そのときは結局、義務教[育費の]補助金維持派と反対派とが相争うということで異例の多数決をやったわけですね。あの頃が闘いの絶好調だったんじゃないかと思うんですけども、そして結局三位一体改革になだれ込んだわけでありますが、地方側としては帳尻が合わなかったと。少なくとも3兆円ぐらい合わなかったんじゃないかと言われています。

 私どもの県でも 269億円、不足が出ております。結局そうしたら闘って何だったのかなと思うんですね。私は、大切なのは地方政府として国を変えていく力を出していくことだと思うんです。これは御意見番として明確なメッセージを出して提言をしていくこと。今回でいえば北朝鮮の拉致問題のことだとか、時宜の課題を的確に訴えていくことが必要だと思います。

 スローガンとして闘う知事会というスローガンがあって、今回、秋田[県]の知事がその闘いが余りなかったんじゃないかとおっしゃいましたけど、私なんかは実は今回、随分道路財源で闘ってしまったつもりなんですね。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 先週の。


●知事

 そうです、先週の[全国]知事会[議]のときは。発言停止されかけたんですけども、ただ、最後は麻生[福岡県]知事も当ててくれまして、広島[県]も応援してくれて、鳥取[県]に発言させてやれとかいって、横から言ってもらったりしたんですけど、そういうことでちょっとしたバトルにはなったんですけど、ただ、最終的には私どもの主張も受け入れられましたし、私としては一定程度満足させていただいたというところなんですけども、ただ、内部での闘いだとか、向こう見ずな国との闘いというのは、スローガンだけではいけなくて、もっと実質を地方としては引き出さなきゃいけないんじゃないかと思います。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 闘う知事会というのは、当時の改革派と呼ばれた知事たちが言って、その中に鳥取県の前知事もおられたわけですが、意見、物申すというのは、当時の闘う知事会も物を申して侃々諤々(かんかんがくがく)の議論があったというふうに思うんですが、知事がおっしゃるマイナス面というのは、実がとれないという、とれなかったということを指しておっしゃっておられるんですか。


●知事

 前知事が闘う知事会についてどう評価していたのかは、私もちょっと詳細はわかりませんけれども、あのときの状況でいえば、文[部]科[学]省の補助金擁護派だったわけですよね。それで内部の闘いでは勝たなかった派の方へなっております。結果として、知事会としてある意味強引にまとめたんですよね。コンセンサスをまとめて、むしろ知事会側から補助金削減の序列をつけて持っていってしまったら、いいとこどりされてしまったと。その補助金削減の方だけしっかりとられて、一番肝心な交付税のところを奪われてしまったというのが前回の闘いだったと思うんです。

 だから、この闘いは、非常に労は多かったですけども、功の方が少なかったんじゃないかと思うんです。これは、そういう意味でスローガンとしては闘う知事会で今、空中戦になっていますけど、言葉の。果たしてその闘う知事会がいいという議論が正しいのかどうかというのは、私は疑問があります。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 地域によって置かれた課題とかが違うわけで、それでいろんな意見が出てくるのは今の知事会も変わらないと思うんですが、例えばさっきおっしゃった道路整備をとにかく知事会の意見として差し込む努力を今回、平井知事はなさったと思うんですが、こういうところで何か義務教[育費国庫負担金]のように両論併記じゃなくて、一つにまとまる、知事会としてまとまった意見をとにかく持つべきであって、そのために努力をすべきだということを知事としてはおっしゃりたいということなんでしょうか。


●知事

 一つは、半ばオープンに議論をして、外へ対しては明確に政策提言を御意見番としてやっていくと、そういう存在であってほしいと思いますね。いずれ地方が力を持ってくる時代だと思うんです。ですから例えばアメリカであればやっぱりナショナル・ガバナーズ・アソシエーションというものがあって、これは全国知事会ですけども、連邦の政府の施策に対して強力な働きかけをしていきます、これはそうしたスタッフも持ってやっています。

 そういう国との折衝関係なんかを果たしていって、それできちんと地方側の論理というものを政策の中にも盛り込んでいくと、この仕掛けを的確にやれるかどうかが本当の闘いなんだと思うんです。

 ただ、見た目で丁々発止(ちょうちょうはっし)やって夜遅くまで議論したと、何か10時まで議論したのがいいのかどうか、今回も結構その道路で引っ張りまして、8時、9時までいったと思うんですけども、張本人はこっちの方に問題があるのかもしれませんが、ただ、その時間でそれだけ議論して、じゃあ最終的に地方がもうかったかというと、私は大損こいたんじゃないかと思いますので、そこは[全国]知事会の運営についていろんな考え方があるわけでありまして、闘ったという実感が持てたからよかったかどうかというメルクマールではないと思います。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 前回の知事会議は、平井知事としては満足いく意見交換といいますか、結果を出せた知事会議だったんでしょうか。


●知事

 そうですね、私は北朝鮮の課題とかを、これタイムリーに取り上げていただけましたので、一人で向かっていきましたけども、そういう意味で満足しております。

 ただ、少数派に対して、特にこの道路の問題なんかは、我々は改めて仲間がそんなに多くない、特殊な状況に置かれているということを実感するという、ちょっと寂しい面もありましたので、そうしたオープンな議論には、知事会全体としては今後ともコンセンサスを持って、我々の痛みを共有してもらう優しさを求めたいと思います。




9 鳥取市立病院の小児科閉鎖について 

○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 知事、これ別の問題なんですけれども、鳥取市立病院の小児科がこの秋にもちょっと一たん休止にならざるを得ないというような状況になっているんですけれども、この問題に関して、県として何らかの関わっていかれるつもりがございますでしょうか。


●知事

 これについては、[県立]中央病院の武田院長とも意見交換をいたしました。今回の事態は、地域としては残念と言わざるを得ないと思います。ただ、その責任が、私は鳥取大学一人にあるとは思いません。確かにお医者さんを引き揚げるということになったわけでありまして、配置替えをすることになったわけでありますが、根源的にはお医者さんの数が減ってきている。

 私たちとしては、これから、来年から5人の定員を鳥取大学に増やしてくれと言っています。こういうことが発効して実効性を上げてくるのが6年間要ります、6年間というか、もっと要りますね、さらに研修期間を入れればもっと要るかもしれませんけど、そういうことになってまいりますので、当面は医師不足感は続いてしまう。ここをどうやって乗り切らなきゃいけないのか、真剣に話し合わなきゃいけないと思うんですね。

 今回の鳥取市の病院に対しては、武田院長とも相談しましたけれども、県として緊急に、特に産婦人科まで崩壊することはないように、診療科目として。それに付随するような形の小児科診療といいますか、検診などの支援は[県立]中央病院としてやってはどうかと思います。これは緊急避難的な措置として、そういうことは考えるべきだろうと思います。

 ただ、あわせて、私は鳥取県東部の大きな病院が幾つかありますが、そうした病院間での連携、あるいは場合によっては経営のあり方まで視野に入れて真剣に話し合いをすべきだろうと思います。このことは、武田院長にも私サイドからはかねて申し上げておりまして、病院事業管理者も知っているとは思うんですけども、そうした病院間で話し合いはこれまでも続けてきておりますが、まだ具体的な進展がありません。

 ただ、こうして小児科が閉ざされるという弊害が出てきたわけでありますので、私はもっと協議を強める、協議の推進を図る必要があると思います。場合によっては日赤本社とか、そうした関係者なんかにも、私は話し合いをしていかなければならないかなと思っています。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 緊急避難的な、例えば県立中央病院の支援というのは、やっぱり人的、人材の。


●知事

 人的支援です。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 人的支援ですね。


●知事

 ええ、具体的にはお医者さん面での支援ですね。ただ、診療科目を開くほどにはできません。これはちょっと無理がありまして、逆に難しい患者さんが[県立]中央病院の方に流入してくることになりますので、産婦人科が鳥取市の病院の方で崩壊することはないように、それをバックアップする体制という意味での支援です。




10 竹島問題について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者

 竹島に関係してですが、学習指導要領の解説書に今回、竹島の記述が盛り込まれることそのものについて、知事はどう評価しておられるんでしょうか。


●知事

 これは、国の文部科学省の考え方、政府の考え方だと思いますので、国同士できちんと話し合いなり今後の解決を図っていくべき問題だろうと思います。国として教育方針を確立しようということは、私はそれ自体否定されるものではないと思います。

 ただ、今回の韓国側とのフィーバーといいますか、盛り上がってしまいましたけれども、ちょっと政府の対応自体、竹島帰属をはっきりと教えるというわけでもありませんし、それから逆に韓国側との配慮という点でも、やや不足もあるような気もいたしますので、ちょっと政府の今回の動きは、どちらの考え方にも合致しない中途半端なものに終わってしまっているんじゃないかなと思います。いずれにせよ、国と国との間できちんとこの領土の問題は解決を図っていただきたいと思います。




11 ウラン残土問題に係る加工レンガの県外搬出について 

○読売新聞 北島夏記 記者

 ウラン残土の問題で、三朝町が一部のれんがを町で受け入れて道路の敷設などに使うという方針が出たみたいなんですが、県としても了承したようなんですが、知事としては原則県外搬出という前提がありましたけども、一部県内で使うと、これに対してどういうお考えですか。


●知事

 私はちょっと詳しい話、まだ聞けていませんけども、県として了承したということになっているんでしょうかね。ともかく三朝町の考え方もあるでしょうから、前のときは東郷町[現・湯梨浜町]からとにかく出さなきゃいけないということがありました。それで今、れんが作りが始まったわけでありますが、むしろそのれんがを作ってみたら、地元が使いたいとおっしゃるんでしたら、その考え方を聞いてみたいと思いますね。

 それで、適切な周辺への環境影響とか、あるいはその目的によっては容認できるものも当然あるだろうと思います。多分、でも全面的なものじゃないと思いますけど。


○読売新聞 北島夏記 記者

 一部というお話ですけれども、今のところ県外での受け入れがなかなか進んでいない状況です。それについて鳥取で使えば、地元が使うんであれば県外の自治体も受け入れやすいという感情的な問題もあると、そういう利点もあるので、そういう方針になったのかもしれませんが。


●知事

 率先してみようということですか。


○読売新聞 北島夏記 記者

 ええ。ただ、県と4者の協定で、原則県外搬出という協定とか義務もあったと思うので、知事として、地元で一部使われるということが、どういう、今後に影響してくるのか、そのお考えをちょっと伺いたいなと。


●知事

 全部無原則に入れるということでは多分、地元もないんではないかと思います。量的な問題もありますので、私は国が約束した以上は、県外搬送ということを実行してもらう必要があると思います。これは先般も原子力委員会に申し上げましたし、国に対して繰り返し求めているところです。

 ただ、それを促進する意味で、地元としての三朝町なりの考えがあって、一部試験的にやってみよう、何かの用法を考えておられるんだと思いますが、それがちょっと事実であれば、それはよくお話を伺ってみたいと思います。場合によっては、そうしたことで促進策が図れるのであれば容認できるんではないかと思います。ただ、これはもちろん地元の合意が大前提になると思います。




12 全国学力調査結果の開示について 

○毎日新聞 小島健志 記者

 学力テストの問題なんですが、今回の県教育委員会の対応についてはどのようにお考えですか。


●知事

 県教[育]委[員会]で随分侃々諤々(かんかんがくがく)な議論になったようでありまして、これは私は最終的に決定権がない範囲になってしまったものですから、県教委の8月の委員会を見守らせていただくということになります。

 ただ、私は、これはいろいろ考え方はあるんでしょうけれども、ここ数日間の大分県教[育]委[員会]の騒ぎを拝見させていただいても、余りにも聖職者が聖職者になり過ぎて、自分たちの中で情報をコントロールし過ぎることはいかがかと思います。そういう意味で、鳥取県なりのルールがあって、県単独での学力テストを実行した際に、議会でこれも行きつ戻りつの議論でした。我々が提案したことがそのまま認められない形で修正がなされて条例ができています。

 そのときにだいぶ議論をしているときがございまして、そのときに話をしたのは、個別の子どもたちの学力が知れるようなことはいかんだろうと。ただ、学校がどういう教育を行っているか、市町村がどういう教育を行っているか、これは納税者や保護者に見てもらえる、すなわち情報公開の請求があったら開示するというルールを作ることは必要ではないかというのが最終的なあのときの議会での大議論の結果だったと思います。

 これの精神というのは、私は必要なのではないかと思います。特にこのように教育の現場が外に向かって閉鎖的であるという体質が、これは他山の石でありますが、指摘され始めた以上は、我々はこの学力テストについて、鳥取県なりの独自の、これは教育委員会がもし独自の取り組みをやろうということであれば、私はこれはサポートしていきたいという気持ちです。

 今、特に敏感に反応してきたのは教職員のかたとか、あるいは市町村の校長さんの会とか、そういうことですか、あるいはある党派の方々とか、そういういろいろと出てきているのは承知しております。ですから教育委員会でよく議論してもらったらいいと思うんですが、私は過剰に教育現場の中の人たちの意見が出ているような気がいたします。

 むしろ市民的な目線といいますか、納税者も結構教育現場に対してこういうことをやってもらいたいとか、ただ、モンスターペアレントを慫慂(しょうよう)しようということではありません。それに対しては地域として、むしろ学校を支えるように、地域も家庭学習も含めて支援していく必要はあると思っていますから、そういうことではありませんけども、ただ、納税者や保護者の側が学校のカリキュラムをこうしてもらいたいとか、市町村としてこういう教育方針を持ってもらいたいと物が言える材料を情報公開で開示することに何の問題があるのかなという気持ちもあるんです。これは市民的な目線で考えた場合ですね。そういう目線の人たちの議論も、ぜひ教育委員会で一緒に議論してもらいたいと思います。

 教育委員会の中は、どうしても構成上、学校の先生だとか、教育現場に近い人たちが入っていまして、これ自体は教育行政の執行上必要なことかもしれませんけども、ただ、その際には広い視野で議論をしていただく姿勢を求めたいと思います。ただ、いずれにせよ、これは教育委員会で最終的に御判断される問題で、私はちょっと権限を越えた部分でありますので、それを見守りたいと思います。


○NHK 雁田絋司 記者(幹事社)
 ほかに各社、質問ありますでしょうか。なければ、これで終わります。どうもありがとうございました。


●知事

 どうもありがとうございました。



  

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