平成22年 給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告 

職員の給与等に関する報告・勧告の概要

平成22年10月1日
鳥取県人事委員会                               

本年の給与等報告・勧告のポイント

●月例給を据え置き、ボーナスを引き上げ

1 月例給の措置
2 特別給(ボーナス)の支給月数を0.04月分引上げ(3.86月分→3.90月分)

1 給与決定の原則

 地方公務員法第24条第3項は「職員の給与は、(1)生計費並びに(2)国及び(3)他の地方公共団体の職員並びに(4)民間事業の従業者の給与(5)その他の事情を考慮して定められなければならない」と規定しており、これらの判断基準を調査し、総合勘案した。

2 給与を取り巻く状況

(1) 民間事業所従業員の給与の状況

 人事院と共同で県内の企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の215事業所のうちから143事業所を抽出し、従業員の個人別給与を実地調査して県職員と比較した。

   <月例給・特別給の比較>

区分

県内民間(A)  県職員(B)     公民較差(A-B)
月例給(平成22年4月分) 339,453円 340,379円 △926円(△0.27%)
 わたり廃止の経過措置無 339,453円 339,786円 △333円(△0.10%)
 給与構造改革の現給保障措置無 339,453円 336,935円 2,518円(0.75%)
 経過措置・現給保障措置ともに無 339,453円 335,767円 3,686円(1.10%)
特別給(平成21年8月~22年7月) 3.90月分 3.86月分 0.04月分
 (注)月例給は、ラスパイレス方式による比較。
   「わたり」については「わたりとは」を参照。
   「現給保障」については「現給保障とは」を参照。

(2) 国家公務員の給与の状況

  • 本県においては、国と概ね類似の給与制度をとっている。
  • 人事院においては去る8月10日に月例給及びボーナスともに引下げる(月例給については、例年と異なり、その引下げを中高齢層以上に限定し、特に50歳台後半層についてはその支給額を更に重点的に引下げ)こと等を内容とする報告・勧告を行った。併せて、国家公務員の育児休業等に関する法律を改正するよう意見の申出を行った。
  • また、国と県との給与を昨年4月1日現在で比較した国公ラスパイレス指数において、本県では、給与の減額改定、わたり廃止の経過措置の解消等が進んできた結果、当該指数の差が拡大しており、今年度は更に拡大することが予想される。
  <国公ラスパイレス指数(国=100)>
平成14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年
97.6 97.3 95.7 95.5 96.5 97.3 98.8 95.3
(注) 平成14年から19年は職員の給与カットを実施しており、そのカット後の額で比較。

(3) 他の都道府県の職員の給与の状況

  • 他の地方公共団体においては、本県と同様に国と概ね類似の給与制度をとっている。
  • 本年の給与改定については、これまでに政令市をはじめ、一部の県で勧告が行われているところ、概ね地域の実態をより反映したものとなっている。 

(4) 生計費及びその他の事情

  • 勧告後の給与は、生計費を充足している。
  • 民間における経済、雇用情勢等は依然として厳しい状況が続いているが、改善を示す指標も見受けられるところである。

3 勧告に当たっての考え方

  • 月例給については、
    1. 国及び他の地方公共団体との給与水準がかい離している状況の中で本年も当該かい離が拡大する見込みである。なお、県内4市の給与水準もすべて本県を上回る状況であること
    2. 給与の減額改定やわたり廃止の経過措置額の縮減の結果比較給与ベースで県職員給与が確実に減少している一方で民間事業所従業員の給与月額はわずかに増加したことにより公民較差が△0.27%、わたり廃止の経過措置額を除いた場合の公民較差は△333円、△0.10%と、公民がほぼ均衡した水準となっていること

    から、これらを踏まえて総合的に判断することが公務員に労働基本権が制約されていることの代償措置として給与勧告制度が設けられている趣旨に適うものであり、有能な人材の確保及び職員の職務執行に対する士気の確保等の観点を勘案し、据え置きとすることとした。

  • 特別給については、地域の民間事業所の実態を反映させるという観点から、近年、国及び他の地方公共団体の支給月数と大きく異なることがあっても本県の民間事業所の支給月数と同じ支給月数としてきており、本年も同様に取り扱うこととし、0.04月分引き上げることとした。

    4 勧告の内容

    (1) 月例給について

    • 給料表の改定を見送り
    • その他の諸手当も同様に据置

    (2) 特別給について

    • 期末手当の支給月数の0.04月分引上げ(2.41月分→2.45月分)
       ※平成22年 6月期:1.11月分(変更なし) 12月期:1.30月分→1.34月分
       ※平成23年 6月期:1.13月分        12月期:1.32月分
       ※特定幹部職員、再任用職員等についてもこれに準じた引上げ

    (3) 実施時期

    • 平成22年12月1日実施

    5 主な提言事項

    <給与制度関係>

    (1) 給与制度の見直し

    • 時間外勤務手当の算定方法については、県内民間の実態を踏まえつつ、国及び他の地方公共団体の措置状況を勘案し、本県において月60時間の時間外勤務時間の積算の基礎に日曜日又はこれに相当する日の勤務時間を含めることとし、平成23年度から実施
    • 教育職給料表の一本化について、現在、小中学校と高等学校等に分かれている給料表の一本化に向けて、その課題を解消するための方法を幅広に検討し、早急に必要な措置を講じるよう任命権者に強く要請 
    • 教員の手当等について、国の見直しの趣旨を踏まえながら検討の上、対応することが必要
    • 研究職給料表について、職務に応じた職位や給与の在り方について整理するなど任命権者での検討結果を踏まえて対応
    • 現行の給料表は、行政職2級(主事級)相当と3級(係長級)相当及び行政職5級(課長補佐級)相当と6級(課長級)相当で、昇任・昇格に伴う給与額の引上げが十分に行われない構造となっている。このため、本県の民間事業所従業員の役付手当の状況等について本県独自に調査し、その結果に基づき分析・検討した結果、ここ2年労使が行ってきた職務の級ごとの公民比較結果を重視した給料表の級別改定では必ずしも職位に照らした給料月額とはならないことから、給料表構造については国の俸給表構造を基本とし、現行の給料表構造を是正することが必要
    • 公民給与比較における役職対応関係について、納税者である県民に理解・納得される公民給与比較の在り方について、引き続き慎重に判断

    <人事管理関係>

    (2) 仕事と家庭生活の両立支援

    • 本年、育児休業の取得要件の緩和など、仕事と家庭生活の両立支援のための制度改正を実施
    • 育児や介護に関する諸制度については、職員が積極的に利用するための周知と職場環境づくりが重要

    (3) 時間外勤務の縮減対策

    • 知事部局の「時間外勤務縮減に向けた全庁的運動」及び他の任命権者のこれに倣った取組により、着実に時間外勤務縮減の成果が上がっているところであるが、労働基準法の趣旨を踏まえて、適切な時間外勤務縮減に引き続き取り組むことが必要

    (4) 労働災害の防止

    • 労働安全に関する各種規制の遵守状況について、各職場自ら確認し、労働災害の防止に努めることが必要

    (5) 職員の健康保持

    • 長期療養者に占める精神疾患の割合は依然高く、メンタルヘルス対策に取り組むことは引き続き重要
    • 早期発見、適時・的確な対応が重要

    (6) 高齢期の雇用問題

    • 国においては、定年延長に向けた制度見直しの骨格を示し、本年中を目途に成案を得て具体的な立法措置のための意見の申出を行うこととしている
    • 本県においても国の動向を注視しながら高齢期の雇用問題について検討することが必要

    (8) 非常勤職員等の処遇及び障がい者の雇用

    • 地方公務員の非常勤職員等の育児休業制度については、法律で規定されている事項があるため、国の動向を注視していくことが必要
    • 障がい者の雇用について促進するための諸課題について、引き続き検討をしていくことが必要

報告・勧告の資料

職員の給与等に関する報告・勧告の概要(PDFファイル、175KB)


職員の給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告の本文

  • 別紙1 職員の給与に関する報告
  • 別紙2 職員の給与に関する勧告
  • 別紙3 人事管理に関する報告
(PDFファイル、631KB)


 参考資料
(PDFファイル、927KB)

 


 勧告のポイント
 (PDFファイル、277KB)

 知事への勧告時委員長コメント要旨
(PDFファイル、8KB)

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