知事定例記者会見(2009年12月24日)

平成21年12月24日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約48分) ※MPEG4形式

  

1 国の予算編成について 

●知事

 皆様、おはようございます。今、政府の方で予算編成が最終場の大詰めになってきました。25日ないし26日にずれ込むかもという予想も報道上なされている状況でありまして、昨日も大臣間の折衝があるなど、目鼻がついてきつつあるかなと思っております。

 例年よりも税制の詳細でありますとか、あるいは地方財政対策などが相当ずれ込んできております。そういう意味で、予算編成過程がまだ我々に見えにくい状態が続いてきておりますけれども、様々な答えが来年度に向けて出始めているかなと思っています。

 1つ、歓迎したいと思いますことは、交付税が16兆9千億円ぐらい、明年度は確保する見通しがついたという報道があります。かねて原口総務大臣が、1兆1千億[円]交付税を増やすんだというお話をされておりました。

 先般、私自身も東京に要請活動に訪れました時、原口大臣に面談をさせていただきました。その際も、今、政府与党の間で話が出てきた、1兆1千億円という、新しい交付金とは別枠で交付税を用意をするということでやってほしいということに、その通りですというようにお答えをいただいていました。その結果が出たことで、ほっと胸をなでおろしているところであります。

 さらに、臨時財政対策の起債の方で、7兆7千億[円]が認められるということになりました。都合しますと従来よりも格段に地方財政のゆとりと言いますか、手元資金が出る格好になりまして、これ自体は地域主権の本領を発揮と言ってもいいことではないかと思います。

 ただ、残念ながら、7兆7千億[円]、今年よりも2兆円以上起債の方、借金でやる臨時財政対策債の方を増やしているもんですから、将来への地方団体のつけが残った格好になっています。

 ですから、完全な地方財政対策とは言えないところがありまして、この辺は、今回は決着しようということでありますので、仕方がない状況ではあろうかと思いますけども、懸念が残った形ではないか。

 明年度以降、しっかりとした生身のお金、現生を入れるような形で地方財政対策をやっていただければありがたいというふうに考えます。ただ、それにしても、16兆9千億[円]という出口ベースの交付税が確保できたことは大いに評価して良い出来事だったろうと思います。

 また、世情報道されているところで、まだ詳しい情報が来ているわけではありませんが、子ども手当の問題についても、昨日、長妻[厚生労働]大臣、原口[総務]大臣、藤井[財務]大臣、菅副総理[大臣]の間で調整がついたという報道があります。これによれば、子ども手当は1万3千円支給をするということになりますけども、児童手当分を残し、その児童手当分に相当する地方負担は導入するんだと、こういうお話であります。

 本来、予算を組み始めたとき、マニフェスト通りということを言っていたわけでありますが、マニフェストは当然ながら国費でそれを支弁するという考え方だったわけでありまして、この点は後退している部分があると言わざるを得ないところだろうと思います。ベニズワイガニを見られて、これはズワイガニでしょうと言われているような、そんな感じがするもんですから、少々失望した部分があります。

 ただ、この問題は、新年度に先送りになったとみるのが正解かも知れません。新年度に新しい地域主権戦略会議が開かれるわけでありますが、そうした場だとか、国と地方の協議の場だとか、そういう場面でこの子ども手当問題の最終決着については話し合うんだと、言わば、土俵が先に送られた格好になっていると私はみているところであります。

 その他にも高校の授業料が全額公立については事実上免除されること、これも自治体を通してやる話がついたと報道されてますし、私学についても私立高校の授業料負担について、答えが出てきたことであります。ある意味、順次懸案が片付きつつあるということではないかと思います。

 ただ、印象として申し上げれば、ちょうどサンタクロースがたくさんのプレゼントを、国民の声だということで用意をされたんだと思いますけれども、持ち上げようとしてみたら、お金が足りなくて持ち上がらなかったと、それが今の状況かなと思います。

 ですから、本当はその先立つもの、すなわち負担のところを国民とともにしっかりと議論をしなければ根本解決に至らないのではないかと思います。この論議を地方も逃げるべきではないと思いますので、正々堂々と議論を鳩山内閣は今後、当初予算はいずれ締めるにしましても、これからの喫緊の課題として議論に呈していくべきではないかと思います。

 そうすれば、様々な公約を実現するための材料が出てきましょうし、地方財政対策も大幅に臨[時]財[政対策]債に頼った形でないやり方が可能になってくると思えるわけであります。

 私どもの鳥取県の財政状況について申し上げれば、現段階で地方税や[地方]譲与税といった部分で、当初予算から6億円ほど足らない状況が見えております。地方税のそのもの本体はだいぶ当初予算ベースで厳しく見積もりましたので、ここで現計予算割れをするということはあまり問題にならないかもしれませんけれども、地方消費税の方は、これ全国でやり取りをして清算をする格好になっていますが、そちらの方で大幅に欠損が出てくるという状況があります。これは年度末に向けて財源を調整していかなければならない課題かなと考えております。

 その背景は、税収不足ということであります。ですから、予算運営は、今、これから予算編成に年明け、かかりますけども、厳しい環境の中での予算編成という状況は引き続き変わらないのではないかと考えているところであります。ただ、そういう中でも、これから国の予算も締まってきますけども、そこで見えてきた地方側の課題も解決していかなければなりません。

 最後の砦が、都道府県ないし市町村ということになりましょうから、私どもとしても、与えられる可能な限りの財源を十分に効率的に活用させていただきまして、県民の行政サービスに支障がないように、また、活力が伸びていき、新しい方向性が出てくるように、これから予算編成の任にあたってまいりたいと考えております。




2 新型インフルエンザ対策について 

●知事

 それから、新型インフルエンザについてでありますが、全国的には流行期を終わりつつあるデータになっておりますけども、本県は、他県よりも流行期の到来が遅い格好になってます。これは、手洗い、うがいを初めとした予防対策が本県の場合、しっかりとられていたことで、その流行の波を抑えることができたのかなという感じもいたしますけれども、いずれにせよ、今も流行が続いてきている状況にあります。

 高校3年生のワクチンにつきましては、27日に東部、中部、西部で接種を集団で行うことにいたしております。西部では、学校医の方で対応されるものもあるそうではありますが、集団接種形式で効率的に試験シーズン、受験シーズンに備えていただければと考えております。

 中高生は、そうしたようなことで皮切りにしまして、この年末から接種可能という状況になってくるわけでありますが、中学3年生も高校受験を控える格好になりますので、1月の下旬頃とか、集団接種も考えようということで、今、調整にあたっているところであります。

 あと、懸案でありました浪人生ですね。私は、これは厚[生]労[働]省がきちんとワクチンを認めるべきだと思っておりますが、ぎりぎりの調整を図りながら、可能であれば1月の下旬ぐらいに、集団接種形式で実施できればいいなと思っていまして、これは、今、調整の可能性を事務当局の方で急いで、今、調べてもらっているところであります。

 いずれにせよ、県内の実情に十分配慮しながら新型インフルエンザ対策を進めてまいりたいと考えております。明日は、年の末、それから年始を挟みますので、その前に、一度現在の状況をおおざらえするような、そういう[新型インフルエンザ]対策本部[会議]もさせていただこうと考えているところであります。



3 社会福祉法人あすなろ会における指導鑑査結果について 

●知事

 それから、[社会福祉法人]あすなろ会で企業の方へ貸し付けをしたり、あるいは、迂回融資のようなかたちでお金が流れて行ってしまった。それで、問題が生じていることが、今、事件として急浮上してきたところであります。先般、私どもの方で、業務改善に向けた案をお示しをいただいたところでありまして、これを事務的に整理をしたり、検証したり、今、ねじり鉢巻きでやっているところであります。

 非常に残念な事象であると思いますし、その再発防止を図っていかなければならない。それが、行政側の方では、特に同じようなことが発生しないようなシステムを作らなきゃいけないんじゃないかなと、今回の一連の流れを見ていて思いました。

 例えば、監査を行うかたが、内部のかたに留まることではいけないわけでありまして、外部の公認会計士さんとか、税理士さんとか、然るべき人たちが当たるようなことを、本県として制度化していくことが考えられたり、あるいは、実際に、我々も行政監査が入るわけであります。行政的に社会福祉法人に対する監査を定例的に2年に1回行うことが法律上存在するわけであります。

 法律に従ってやるわけでありまして、その辺は、遵守しなければ我々もいけないわけでありますけども、目の付けどころと言いますか、監査のやり方に、果たして適切さがあっただろうか。役所の目線というのは、元々、大福帳形式の予算、決算しか見ておりませんので、もっと会計実務に精通した角度で見ていかなければならないのではないかと思います。

 ですから、本県として、同じような事態が発生しないように、こうした社会福祉法人の監査の在り方に対する検討会と言いますか、研究会を緊急に立ち上げるべきではないかと私は考えております。その旨、事務当局に指示をいたしました。

 急いでやっても、まず、年内にそうした研究会、例えば会計実務に詳しいかたとか、いろんなかたに、有識者に入っていただきまして、監査のやり方を検討してもらうということを始めたいと思います。

 委員を出来れば年内にでも選任をして、いろんな角度で検討してもらって新年度からの社会福祉法人の監査などに役立てていきたいと考えております。今のやり方では、見抜けなかったことがあるということではないかなと深く反省もしておりまして、改める必要があると考えております。




4 日程等について 

●知事

 あと、現在の景気の状況は、非常に厳しい中で推移をいたしておりますことから、29日、30日に私ども、東部、中部、西部で総合的な相談窓口を生活対策や経済融資対策で開設をすることにいたしておりますので、必要な方々はぜひ、これをご活用いただければありがたいと考えております。

 今のところ、私どもの方で、直接県の臨時職員などで雇用するなどの緊急避難的な措置も30名程度考える必要があると思っていますし、それから、様々な行政ニーズを捉えた雇用も50人ぐらい、その他で介護関係で人材養成をすると。これで雇用につなげることも、25名程度枠をとらせていただくなどしまして、100名以上の緊急的な雇用枠を確保したいと考えております。

 また、住宅につきましては、現在のところ、13戸確保しておりまして、年末年始に寒空の中を耐えることではなくて、相談に来ていただければ、もちろん、要件の審査はさせていただきますが、そうした公営住宅なども斡旋していくという体制で年末年始臨みたいと考えております。

 なお、本日は、クリスマス・イヴでございますので、職員の皆さんには、ワークシェアリングの実施を実践していただきたいと考えております。おそらく、お昼休みにはクリスマスキャロルが流れると思いますが、今日は、早めに家に帰ってご家族と団らんをしていただくと。

 一斉消灯、環境の面なんですが、一斉消灯の日に本日は充てさせていただこうと考えているところであります。ぜひ、県民の皆様には健やかな年末年始をお過ごしいただきまして、輝かしい新春をお迎えになるよう、心からお祈りを申し上げたいと思います。1年間、本当にありがとうございました。


○中国新聞 円山文雄 記者(幹事社)

 先に、質問。




5 社会福祉法人あすなろ会における指導鑑査結果について 

 ○中国新聞 円山文雄 記者

 先ほどの、社会福祉法人の研究会、年内っていうのは、もう年内はもうないんですよ、出来れば。


●知事

 年内にまとめろと言ったら、さすがにそれは無理ですと言われまして、人選は年内にしてみたいと言っていました。確かにそうですね、明日と来週月曜日ですか。年明けにずれ込むかもしれませんが、今、至急人選を急いでいると思います。メンバーとしては、要は、経理のつじつま合わせていたんだと思うんです、今回も数字上。

 それで見えにくかったところもあるんですが、関連の帳簿を調べるとかして発見できないのかどうか。これは、私も会計に決して明るくもないもんですから、見えないところもあるんですが、専門の先生方に加わっていただいて、こういうチェック項目を作るべきでないかとか、そうしたアイデアはいただけるんじゃないかと期待しております。

 今までは、不慣れな担当者が行って、監査をしていた。ですから、何回もそれは監査に入っているわけでありますけども、額は非常に大きな額でありましたが、気がつかなかったということだったと思いますので、その反省点を踏まえて、検査のやり方を改めていきたいと思います。

 もちろん、現在、社会福祉法人の方にも従来のやり方を強化しながら、我々なりに監査も進めているところでありますので、そうした我々の経験も、改善の中に含めてまいりたいと思います。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 研究会のメンバーは大体何人ぐらいを想定されているんですか。それが1つと、あと、制度化という話も出てきましたけども、その、もう少し具体的に、例えば、県が社会福祉法人に対して補助金を出し、県が補助金を出している社会福祉法人に対して、税理士などを入れるような監査体制を制度化する話と受け止めていいんでしょうか。


●知事

 はい。それを目指したいと思うんですが、先程申しましたけども、実は法律がございまして、その法律との整合性が最後残ると思うんです。そうであれば、我々なりにガイドラインというような形で、例えば、補助制度を絡めながらとか、なんらかのやり方は可能ではないかと思います。

 そこらも研究会を開いて、どういうことが法的に可能な範囲なのか、そこも見極めてまいりたいと思っています。研究会の人数などは、今、福祉保健部でやり始めてもらっていると思いますので、そちらの方でまた後ほどお答えをしたいと思います。10名はいかないと思いますね、数名の単位だと思いますが。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 年内に人選、早ければというか、やったとして、研究会、初回の会合というのは、じゃ、いつ頃の見通しですか。


●知事

 ですから、年明けになっちゃうでしょうね、確かに、日程的には難しいと思います。ただ、人選は年内にさせていただいて、新年度からの監査体制に間に合わせなきゃいけないと思いますから、そんなに時間はないと思いますので、急いで取りかかりたいと思います。




6 国の予算編成について 

○日本海新聞 田村彰彦 記者

 冒頭に、予算編成の話がありましたけども、1つは、暫定税率について維持するという方針が出ております。これについて知事の見解と、もう1つ、子ども手当については地方の負担が増えるということです。この2つ、いずれについてもマニフェストに違反しているという声もあるんですが、そのあたりどう受け止められていますか。


●知事

 子ども手当について先程申しました通りでありますが、暫定税率は、私は、地方側では8,100億円の税収不足になる可能性がありましたので、片方で1兆1,000億円交付税が増え、それで、8,100億円、これは残った格好に、財源的になりましたので、正直な感想を申し上げれば、安堵しているというところです。

 鳥取県の場合は軽油引取税が暫定税率対象でありますが、非常に税収のウェイトが高いです。ですから、貴重な税源があっという間になくなることは避けられたと思っています。ただ、これは解決ではないわけでありまして、正確には見送りということだと思うんです。

 本当の解決は、私も主張させてきていただきましたけども、地方環境税を視野に入れて、それを十分検討しながら、そちらの方に今のガソリンや軽油の課税のやり方を移行させていく、シフトさせていく、これが必要だろうと思っています。

 だから、今回のは、最終決着ではなくて、これから、おそらく政府税制調査会の中で継続して環境についての税制の議論がなされると思いますので、そちらに私は視点を移して見守ってまいりたいし、働きかけてまいりたいと考えております。

 暫定税率は国民の皆様から、批判が出る要素が多分にあると思います。これは失われてしまったマニフェストということになりますので、その辺は民主党の皆さんも、選挙戦を戦う時に財源のこともよく配慮をして本来マニフェストを組むべきであったと。

 そこは、国民の皆さんに説明責任を果たされなければならないと思います。鳩山総理[大臣]も率直にこの点については申し訳ないという、言い方もされておられますけれども、国民に対する説明責任は、与党が果たしていかなければならないと思います。




7 新型インフルエンザ対策について 

○毎日新聞 武内彩 記者

 インフルエンザの浪人生の接種なんですけれども、これまで何回か、こう国に断られるというか、駄目だという返答もらっていて、それ以降、こう実現させるために具体的な策というのは立てられているんでしょうか。


●知事

 結局、足かせがかかっている格好になってまして、国の方もお医者さんとの契約を盾に、梃子(てこ)でも動かないところがございまして、それで我々は、要は、一寸の虫にも五分の魂がございまして、我々なりに工夫していこうじゃないかと。今回、一般の健常者に対する予防接種枠も取れるようになったと、報道がされています。これを今、我々も、その枠をどれだけ融通できるかという精査に入っているんです。

 この目途が立てられれば、その枠の中で、優先順位の中で、浪人生のところを配慮しながら、リリースしてそのワクチンを開放していくというやり方をしたいと考えておりまして、本格的な受験シーズン2月、3月に、2月の後半から3月ですかね、その辺になってくると思いますが、1月の下旬段階とかいうところで、できるだけ早くリリースをしたい。そのためには、集団接種のような方策を取らないと、その枠の融通が難しいかもしれませんので、その辺の可能性を検討したいということです。


○毎日新聞 武内彩 記者

 もう1点、県内に在住の浪人生に限るんですか。県出身で外部の予備校に通っている生徒もいると思いますが。


●知事

 まだそこまで、我々、詰めた議論はしておりません。まずは、今、実態を調査することを、可能かどうか、調整をすることから、今スタートしております。


○朝日新聞 佐藤建仁 記者

 ワクチンのことでちょっと確認なんですけれども、沖縄県の方でも、浪人生に対する接種の方針を決めたということだったんですが、そちらの方では、優先接種の枠にある部分で、もう一度、試算をやり直して、そうしたところ、実際県に配分される部分と実際使う部分との間に差が生じたということで、その部分を使うという話のようなんですけど、鳥取の場合に、優先接種とは別に、要するに成人の部分で枠を探すということなんでしょうか。


●知事

 結局、そのワクチンには、最終的には色がついているわけじゃありません。同じことだと思います。要は、ワクチンが順次、供給されて来るわけでありますけれども、供給されて来るところで、我々は、他県と違いまして集団接種を励行しているわけです。集団接種にしますと、効率的にワクチンが使えます。

 それで、枠を捻出しながら、できるだけ早く打たせてあげたいなと、親御さんの気持ちも考えて、受験生の数ぐらいは何とか確保できないだろうかと、これで今やっているわけでありまして、浪人生についても同じ手法で臨んでいこうとしています。我々としては、いずれにせよ早い段階で、そうした構想を実行したいと思っています。




8 国の予算編成について(再質問) 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 民主党のその公約に対して、ちょっとサンタさんの荷物が上がらないと、税収不足、お金が足りないというお話がありましたけど、その中で、地方も議論を避けるべきではない、逃げるべきではないというところは、ある程度、やっぱり痛みを背負うっていうんでしょうか、地方にも何がしの負担分というのを出て来るのもやむを得ないというような意味でのご発言があるわけでしょうか。


●知事

 まず、根本的にその国、地方を通じた税財政システムを変えて行かなきゃいけない、それが唯一の解決策なんです。おそらく、国の政治家の皆さんも分かっていると思うんです。ただ、それを選挙対策が気になるんでしょう、決して口にしないというのが現状なんだと思うんです。本当はやれる処方箋はいくつかあります。

 1つは消費課税を引き上げていくことで、要は、今やろうとしてるのは北欧型の社会サービス構造に近づけようとしてるんです、例えば子ども手当を出したり、教育の無償化を進めたりということで。そうしたそれに見合うだけの税収を得ようと思えば、当然ながらあちらがモデルになりますので、消費課税のウェイトを上げていくというのは当然考えられると。それで、負担と受益を見合った水準にどうせなりますので、それを国民の理解を得ていくというのが本来の筋道です。

 これは、行政サービス、社会サービスは特に地方自治体の得意分野であり、地方自治体がやらなきゃいけないところだと思いますので、国・地方を通じた税体系での議論をやるべきだと、それについて地方も避けるべきではないというのが1つです。

 あと、大きな無駄が、もしあるとすれば、国の方で地方の出先機関が非常に多いことです。これを抜本的に都道府県の方に吸収していく。さらに、都道府県の仕事と市町村の間で整理をする。それで、二重三重の部分を取り除いていくことで、大幅に、行政のお金、費用を、行政経費を節約することができるはずです。

 これもみんな分かっていることだと思うんですが、なかなか手が付いてこない。この辺も地方にとっては大きなシステム変更ですから痛みを伴うところがありますけれども、避けるべきではないだろうというのが私の考え方です。




9 今年一年をふり返って 

○NHK 宮本知幸 記者

 今年の最後ですけれども、今年を振り返って、ざっくばらんに、どういった1年だったというふうに思われますか。


●知事

 私は、就任して、夢見てきたことは、この鳥取県が大陸に近いことからして表玄関になるべきだと、それが地域間格差で悩む鳥取県を解決していく、浮上させていく唯一の原動力になるだろうと思っていました。

 その意味では、米子ソウル便の復活も果たせたわけでありましたけれども、長年の積年の課題でありましたDBSクルーズフェリーが就航し始めて、白いヴィーナスのような船体が日本海を走るようになったことです。これは将来に向けて大きな意味を持つだろうと思っています。

 また、新しい、民主党を中心とした国民新党、社民党による三党連立政権が誕生しました。これに象徴されますように、国民は従来のシステムに、政治に満足していなかったと。だから、変えていかなければならないという答えが1つ出た年でもあったかなと思います。

 私も行政を担当させていただく身として謙虚にこれを受け止めて、しっかりと舵をきらなきゃいけないという認識を深めた1年だったと思います。




10 大橋川改修事業について 

○山陰中央テレビ 中島崇 記者

 今年1年を振り返ってなんですけど、大橋川改修、これについてはどういうふうに思われていますか。


●知事

 これも島根県から意見を求められたわけでありますが、私は島根県に対して意見を、お答えをするということではなくて、未来の山陰圏域の皆さんに対してお答えをするということだったと思います。昭和57年に鳥取県は、米子市、境港市とともにNOを言った歴史がありました。以来、鳥取島根両県の間にはこう着状態が訪れたわけです。

 ようやく、その喉元の骨を引き抜くことが出来たわけでありまして、これからは両県一緒になりまして、斐伊川水系や中海の治水、そして水質について率直に意見交換をし、実行していくというステージに入ったと思います。私は、こうした鳥取島根両県の新時代を見据えて、一層、溝口[島根県]知事とともに協力体制を組んでいきたいと思っています。

 例えば1月1日で、島根県の、今、県庁の次長級にいる職員を商工労働部長に本県で抜擢をしようと思っています。これは、島根県の県庁の中のシステムがよく分かった人、空気がよく分かった人、島根県の実情が分かった人を鳥取県の産業政策の要に据えるということでありまして、本来産業政策は、山陰両県の間に狭間はないはずでありますから、大きな目で仕事をしてもらえるんじゃないかと期待をしているわけであります。

 また、課長級でも水質問題などもございますので、環境関係の課長レベルを交換してはどうだろうかと、これも溝口知事に申し入れをしております。実現させるために人選しなきゃいけませんが、そうしたいろんな協力体制を敷いていきたいと思います。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 人事の面は新年度からということでしょうか。


●知事

 いや、1月です。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 1月から。


●知事

 ええ。年度途中ではありますが、先般溝口知事にもお断りをしました。申し訳ないと、3ヶ月ほどということで。島根県側も3ヶ月だけ後任をもらってもしょうがないんで、後任はまた4月からということにしましょうということで、お話はさせていただきました。




11 国の予算編成について(再々質問) 

○山陰中央テレビ 中島崇 記者

 暫定税率が現状維持になりまして、道路財源に期待ということは、整備への期待ということは。


●知事

 暫定税率が維持をされることで、地方側から、8,100億円の原資が失われることは回避できたわけです。この点は、複雑な気持ちではありますけれども、即ちマニフェスト通りではありませんから。ただ、正直な感想を申し上げれば安堵したという感じです。

 ただ、私は、本来、地方環境税を議論すべきだと思っています。これから、25%CO2カットなどに本格的に国を挙げて取り組むわけでありまして、地方側の財政事業も当然あります。植林とか、間伐とか、それから、エコカー、太陽光発電の推奨だとか。

 そうしたことを考えれば、地方に対する環境税を整備しなければならない。諸外国の例で言えば、こうした油関係が、大切な税源になると思います。そちらに組み替えていく議論をぜひ政府で引き続いてやってもらいたいと思います。




12 人事異動について 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 人事の件のことですが、1月1日付けで商工労働部長ですか。


●知事

 1月1日付けで、まず、柴田総務部長を病院事業管理者に抜擢をします。それから、総務部長には、門前商工労働部長を転任させて、これからの予算編成に当たらせたいと思っています。次に、商工労働部長に島根県の参事で、今赴任をしております山根さんを抜擢をしたいと考えております。

 島根県の皆さんもちょっとこのアイデアびっくりされていましたけども、ただ、新しい時代を作るというのはそういうことじゃないかと思いますので、この際、踏み切らせていただきました。おそらく全国でもあんまりない人事じゃないかと思いますね。


○山陰中央新報錦織拓郎 記者

 ご本人様への内示というのは当然もう済んで。


●知事

 済んだはずです。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 大橋川の絡みで、環境関係の職員を双方に派遣するという、それは何人規模になるんでしょうか。


●知事

 今は、実は次長級と担当者レベルでお互い交換をしています。その間の課長級は、県庁の場合は非常に重要なフィールドだと思います。これは島根県もそうだと思います。課長級のところで、実際のところ取りまとめグリップが非常に強いですから、この課長級のレベルで1人ずつお互いに出し合いましょうと、それで、交換しましょうと、これを考えています。

 ただ、向こうもそうですけれども、それぞれ組織改正をしながらやるかもしれません。この辺、だからポストとか、人選はこれからしなければいけないと思っています。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 連携で島根県へ派遣で来られたかたが次長級で入られて、部長に再度抜擢という、そう知事もおっしゃいました、あまりない人事というのは、やはり両県連携の一層の発展というのでしょうか、そういった交流というのを見据えて、視野に入れてという抜擢になるんでしょうか。


●知事

 私は、この交流人事をやるときも溝口知事と話合ったわけでありますが、形だけの交流をしてもしょうがないと。それで、むしろこの大橋川問題に象徴されますように、両方の県庁の間には、お互いに対する不信感の歴史があったと思うんです。これは大橋川に限りません。

 例えば、県境を引くのがどうだとか、あるいはこないだ2,500m化されましたけれども、米子空港を2,000mにする時に大変な争いがあったのは事実でありますし、それで、反対を言えば、出雲空港が拡張しようと思ってもネックになったのは鳥取県との宍道湖埋め立てに対する協議がまとまらないだろうと、そういう読みがあったりとか、その辺がお互いにあるわけであります。

 ただ、そうやって不信感で歴史を繰り返してもしょうがないわけでありますから、お互いの県庁のことをよく分かった人材をそれぞれの県庁の幹部に育てていきましょうと。そのための交流人事をやりましょうというお話で言ったわけであります。ですから、優秀な人間を出すんだということでお互い次長級を出し合ったわけであります。

 今回、私どもとしても、大橋川も整いましたし、むしろこれから産業や観光や環境など、いろんな分野で両県またがった視点が必要だと思いますので、そういう人材を県庁の幹部、いわゆるひな壇の人間に充ててもいいんじゃないだろうかと、そんな時代だろうと判断したわけです。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 その抜擢するにあたって、それを知事がお考えするにあたって、今回の大橋川問題の同意というのが、だいだい側面、影響というのはやはり少なからずあるんでしょうか。


●知事

 それは少なからずあります。ただ、後は、もちろん人間の資質のこともありますので、信頼した上で任命しようということです。




13 田村耕太郎参議院議員の自民党離党について 

○山陰中央テレビ 中島崇 記者

 田村議員が自民党を離党されたわけなんですけど、そのことについては、どう思われますか。


●知事

 驚きました。おそらく皆さんもそうだと思いますけども、大変驚かれたんじゃないかと思います。田村[参議院]議員は、例えば、スイカを販売するにあたりまして、ドバイで売ろうとかですね、経済人らしい着想で政治をされるかたでありましたので、私も今でも非常に期待を寄せている人物であります。

 おそらく今の政治全体が流動化したことの1つの表れではないかと受け止めています。これからどういうふうな活動をされるのか、私もよく聞いておりません、その後まだお会いしてないもんですから。これからどういうふうに活動されるにせよ、私どもの県の選出の国会議員でありますから、今後とも、県政の推進に一役かっていただきたいという気持ちです。




14 人事異動について(再質問) 

○NHK 宮本知幸 記者

 人事の話なんですけれども、島根県側で変えるっていう話はないですか、人事。


●知事

 島根が拒否するかどうかですか。


○NHK 宮本知幸 記者

 いやいやいや。島根県の方もそういう人事交流を活発に進めていこうという動きが。


●知事

 ですから、そこは両県で課長級を交換しようということで合意したわけです。実は、課長級の交換は前も私、提案したことがあるんですけども、やっぱり課長級は凄く抵抗が強いですよね。一番要のところに人間が入ってきますので。

 ただ、次長級を交換したり、担当者レベルを交換することで、さらに大橋川問題も解決しましたし、向こう側も抵抗感がなくなってきているというのが今じゃないでしょうかね。課長級を交換することで、県庁の幹部がお互いに意思疎通しやすくなりますので、私は大きな前進だと思います。


○読売新聞 高山千香 記者

 人事の方なんですが、課長級の交換をするのは初めてと思っていいんでしょうか。


●知事

 はい。なかなか課長級は難しいです。それぞれの県庁、鳥取[県]にしても島根[県]にしても日本で一番小さな県庁のレベルでありますから、なかなかポストの薄い所でありますので、難しいところでありますけども、あえて環境関係ぐらいでいいんじゃないでしょうかという、今話し合いをして、交換しようということになりました。初めてのことです。


○山陰中央新報錦織拓郎記者

 人事の件、ちょっと再び、その参事のかた、次長から部長へ抜擢するという案については、当然、島根県側、溝口知事側の方に了解があるのかどうかというのが1点と、あと課長級の交流ですね。この前の両県知事会議でああいう提案というか、交流をなされましたけれども、あれから少し1週間くらいでしょうか、時間が経ちまして、その後の進展ぶりっていうんでしょうか、お話し合いの進め方というのは、今、現時点どうなっていますか。


●知事

 まだ、課長級の方は、先ほども申しましたように場合によっては組織改正が絡むと思うんです。中海に対する協調体制ができましたのでね。協調の体制の中で、どういうポストをお互い作るかということもあると思うので、それは時間が必要だと思います。

 この1週間で特に大きな動きはありません。それから、今、向こうにおられる参事、当然、県の幹部でありますので、副知事同士でも相談させてもらいましたし、私も先般、溝口知事にご了解を直接いただきました。




15 重点項目について 

○中国新聞 円山文雄記者

 従来のこれらの重点項目で、その後、動いているものの大きさだとみられるものが。


●知事

 今まだ項目が見えないです。皆さんがたどうなんでしょう。我々はどうしても役所ベースなんで、取材に入り込めませんから、何というか、間接情報がどうしても多いんです。例えば、気になるところですと、農道がどうなるとか、鳥の劇場がどうなるとか、高速道路がどうなるとか、この辺まだ正直見えません。

 25日ないし、遅くなって26日でどれほど出てくるかじゃないかと思います。高速道路が最重点の要望項目だと思いますけども、これも箇所付けで国の直轄はこの箇所でということを示す可能性も、前原[国土交通]大臣が記者会見場でおっしゃっていますんで、ひょっとすると年末までに、具体的な路線名が登場してくるのかもしれませんけど、情報は我々まだ握っておりません。


○中国新聞円山文雄 記者

 いいですか。他にはないですか。じゃあ、ありがとうございました。


●知事

 どうも。良いお年を。



  

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