知事定例記者会見(2012年4月12日)

平成24年4月12日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約76分) ※MPEG4形式

  

1 北朝鮮の"ミサイル"発射に伴う対応 

●知事

 皆さんおはようございます。世界が今動いておりまして、韓国[総選挙]ではセヌリ党の優勢ということになり、与党系の勝利という結果が出ました。また、アメリカ[次期大統領選に向けた共和党予備選]におきましてはロムニー候補がサントラム候補を圧倒する状況の中でサントラム氏が[予備選からの]撤退を表明をされまして、いよいよオバマ政権とロムニー氏の戦いという構図がはっきりしてきたわけであります。こういう中、北朝鮮の方では金正恩第1書記の体制が整ったということになりましたが、残念ながら今もって人工衛星ないしミサイルを発射するという態度は崩していないということでありまして、世界の懸念を呼び起こしているところであります。今の段階でまだ発射されたという情報はございませんけれども、県民の皆さまにおかれましては、平静な生活を送っていただきたいと。もし万万が一のような事態になれば、県なり市町村の方からお知らせがあるというような考え方でお過ごしをいただきたいというふうに思います。

 実は[4月]10日、11日と私たちも県庁の中で訓練をさせていただきましたし、市町村も含めた伝達訓練が行われました。その訓練の成果として、1分以内ぐらいであんしんトリピーメールあるいは鳥取県のホームページ、それからとりったーといった広報手段で、県の方からこの人工衛星ないしミサイルについての情報をお出しをするということができます。それをご覧いただいて結構かと思います。また、予想を外れるような進路に飛ぶとか、そういう予想外のことになりまして、万万が一の状況が生まれそうだということも想定をしまして、そういう想定のときの市町村からの防災行政無線を使った広報も訓練をさせていただきましたが、2分以内で伝達ができるというような体制が整っております。ですから、県民の皆さまにおかれましては、安心をして平常どおりの暮らしをしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。



2 暴風による被害と対応 

●知事

 防災の関係、災害関係で言いますと、先般の大風がございました。記録的な風でございまして、私自身も現場の方を拝見をさせていただきました。今、焦眉の課題としてはスイカの植え替えとか、そうした対策が必要であります。収穫を上げるのに今動けば間に合うということでございます。そういう農林水産の被害、だいたい5,600万円ぐらいに及ぶと現時点では集計をしておりますが、県としても市町村あるいはJAなどとの協調をしまして、市町村を通じた間接補助形式で緊急の災害復興対策を組まさせていただきたいと思います。

 今、予備費がございまして、その予備費を活用してと考えております。とりあえず総事業費規模3,000万円、県費ベースで1,000万円規模の災害対策を行うことにいたそうと考えております。具体的には、先程申し上げましたスイカの植え替えとか、そういう費用であるとか、また、防除の対策の費用でありますとか、中にはビニールハウスの躯体に影響があったものもあります。その躯体まで影響があったようなものに対します助成であるとか、漁業関係では網が流されてしまったということもございました。この網は普通ですともっと高いところに置いておくんでしょうけれども、ちょっと漁港の改修の事業があった関係で、やや海面に近いところに置いて待避をさせたということで、それが被害にあったという、ちょっと残念な例もあります。そうした事例につきましては1/3の県費助成を行わせていただいて、地元あるいはJAや漁協、そうしたところとあいまった対策を組ませていただきたいと考えております。

 また、安心・安全をつくり出すためには、市町村同士の連携も大切でありますが、明日には県内で初めてBCP業務[事業継続計画]継続、一般行政サービスを提供し続ける、それを目的としました協定が南部町と岩美町との間で締結をされることになりました。私も立ち会いをさせていただこうと考えております。



3 国への要望・申入れの結果 

●知事

 こういうような防災対策も含めまして、昨日は東京の方に上京をさせていただいて、各省庁に対する要請活動を行いました。原子力安全の関係では、これにつきましては地元周辺地域として、私たちの意見というものも踏まえた対応をしてもらう必要があると、このことを強く申し入れをさせていただきました。それで、併せて一番大切なのは安全・安心だと、地域の安全だということ。最近の政府の発言の中には必要性、すなわち電力需要ということを言葉で使われるかたがたもいらっしゃるわけですけども、地域の安全こそが第一であると、これもおそらく国民感情だと思いますので、そのことも強く申し上げさせていただきました。

 そういうことなどを、原子力安全対策についてお話をさせていただきましたところ、経済産業省、原子力安全の所管省庁になりますが、そちらの方では牧野[聖修]副大臣と面談をさせていただきました。牧野副大臣の方からは、私の方で、要は山陰両県一体となったものだと。それで、そういう地元として両県で協調しながら、避難計画づくりなんかを進めているということをいろいろと申し上げました。牧野副大臣の方からは、そういう両県の一体性、地域としての一体性について理解をしたと。それで、そういう地域の考え方を受け止めて安心していただけるような対応を取りたいというご発言がございました。それから、ヨウ素剤だとか、あるいは放射線医療ですね、被ばく医療、こういう対策につきましても小宮山[洋子]厚生労働大臣の方に要請をさせていただきましたが、大臣の方からも今回鳥取県は初めてこういう対策に取り組むわけであって、協力していきたいというお話がございました。

 また、我々のところは初動でございまして、立地の地域とは違って、ゼロからモニタリングポストの設置であるとか、防護服の配備であるとか、そうしたことを進めなければなりません。従いまして、初動での経費がかなり必要になるわけでございますが、これにつきましてもやっぱり、国の方の交付金の限度額があって従来どおりの算定になっているものですから、なかなか使い勝手が悪いということも申し上げました。経済産業副大臣、それから平野[博文]文部科学大臣の方から、そうした実態についてよく検討してみたいと、そういうように検討をお約束いただいたという状況でございました。原子力安全について、こういうようなさまざまなご回答がありました。

 また、今回は三重県、長野県、広島県、徳島県、高知県とともに、長野[県]の阿部[守一]知事もいらっしゃいましたけれども、2名で代表し、関係県の職員も同席して環境省の方に共同でがれき処理対策について申し入れをさせていただきました。私の方からは、実際に受け入れたいという自治体があるわけでありますが、なかなか環境省との意思の疎通がうまくいっていないと。最終処分場の対策であるとか、また助成制度、国の負担、最終処分地を梃入れするというような費用負担も含めて、そういうさまざまな負担が未だに明らかになっていない。それから、安全基準についても、これずいぶんやり取りをしましたけれども、国の方は頑なに[焼却灰の埋め立て基準 1キログラム当たり]8,000ベクレルの話を理論整然とお話をされるんですが、私の方からはなかなか国民の信任を8,000ベクレルで得られていないと。ですから、地域として独自の基準設定をせざるを得ないんじゃないかと、その場合には環境省の方からもそういう方針をサポートしてもらわないと困るということも申し上げました。こういう最終処分の問題ですとか、助成、負担の問題、さらに基準の問題という3つの課題があるんではないかと私の方からも強調をさせていただきました。

 高山[智司環境大臣]政務官が対応にあたってくださいましたけれども、高山政務官からは基準のことについては8,000ベクレルを頑なにおっしゃっておられました。ただ政務官おっしゃるには、実際にはもっともっと、ずっと低い線量しか計測されてないと、現在[静岡県]島田市だとか、東京都だとかありますけども、不検出だとか、十数ベクレルだとか、そういうのが実情だと、こういうふうにおっしゃるわけですね。それだったら下げたらいいじゃないですかということもずいぶん言ったわけでありますが、なかなかそこは国の方針が変えられないようでございました。それから、助成制度につきましては、これは民主党の幹事長代行の樽床[伸二]代議士の方から、重ねて要請活動するようにというお話がありまして、総務省の福田[昭夫総務大臣]政務官を急遽、訪ねました。そちらも併せて今、対策を取られているそうでございまして、環境省、総務省で財政対策について今、練っている、提示しているところだということであります。

 また、最終処分地対策については、どうしても時間がかかるんだということを政務官が強調をされておられましたけれども、この辺は私どもの方から、総理の発言を前提として地元が動いているんだということをお話をさせていただきました。いずれにいたしましても、問題は既に具体の自治体が鳥取県の場合ですと検討を始めてくださっているという事情がありますので、環境省としてもしっかりとしたネゴシエーション[交渉]ができる体制を取ってもらいたいと、そういう具体的な話し合い、交渉をできる体制にしてもらいたいということを申し入れました。高山政務官からは、環境省の職員もなかなか忙しい状態ではある。しかしながら、検討してみたいというお話がございまして、今後、そういう濃密な折衝を通じまして、どういう方針でいくのか、市町村だとか、広域連合だとか、そうした主体が検討しやすい環境を県としても応援をしていきたいというふうに思います。

 その他にも公共投資関係で要請活動をさせていただき、例えば吉田[おさむ]国土交通副大臣の方に境港の重点投資の話であるとか、ハイウェイの話であるとか、そうした事項などを要望させていただいたりいたしました。



4 米子-羽田便の増便 

●知事

 また、これとはまた別でありますけども、かねて地元の関係者と一緒に要請活動をさせていただいておりました、全日空の増便対策、機材大型化対策についてでありますけども、この度、全日空から、先般私も伊東[信一郎]社長にお会いをしたり、関係者、相次いで要望させていただいてきておりましたけれども、一定の返答がございました。我々の要望どおりの完全なものではないですけれども、前進する内容でございました。私の方でこの間、伊東社長の方にご質問申し上げたときは、例えばまんが王国であるとか、隣の島根県で神話博があるとか、これから、この夏から秋にかけて非常に規模の大きなキャンペーンを我々の地元で展開するんだと、そういうことを見越して、機材対策だとか、増便対策を考えてもらえないだろうかということを申し上げたわけであります。

 今回示された回答では、7月から9月までの間、従来の機材を鳥取-東京間、米子-東京間を大型化しまして、ボーイング767を投入するということでございまして、270席ベースですか、従来160席余りのベースから3か月間[機材]大型化をするという回答が1つありました。我々としても観光面で前進できる内容だと思いますので、これから見込まれる漫画、あるいは神話といった山陰の旅のテーマを売り出すいいエンジンになるだろうというふうに考えております。さらに、10月につきましては、米子-東京間、羽田-米子便につきまして1往復増やすと。従来の5便体制から6便体制で10月やってみると、こういうご回答でございました。具体的には、お昼に4時間ぐらいブランクのある時間帯がございまして、12時5分に羽田を出て13時25分に米子に着く便を増やす。その帰り便として13時55分に米子を出て、そして羽田に戻ると15時15分ですか、そういう1便を増やすというお話がきました。

 かねて地元として機材の大型化であるとか、それから増便ということをぜひ実現してもらいたいということを働きかけてまいりましたので、前進する内容であると思います。全日空に感謝申し上げたいと思いますが、これから、平成25年度ですか、羽田[空港発着枠]の増枠が見込まれる状況でございますので、我々としてもこれがこうした期間限定のテストに終わらないように、そうした増便や機材大型化がこれから永続的なものになっていくように、キャンペーンも強化をして、実際に利用がなされましたよという実績も全日空の方に示しながら、今後の展開を図っていきたいというふうに思います。



5 経済雇用対策 

●知事

 経済、雇用の状況が厳しいわけでございまして、先だっては幹部職員を集めて庁内の緊急雇用経済対策本部を実施をしました。そこでの意見も踏まえまして、今、取りまとめをしかけておりますが、[4月]16日に、来週になりますと、経済活性化に向けたトップミーティングを行おうと思います。経済界の首脳であるとか、労働局とか、そうした関係者のかたがたにお集まりをいただきまして、経済成長戦略は元よりとして、今、厳しい雇用を打開をしていく、特に企業動向が最近でもシャープあるいはソニーが赤字決算を打つという報道がなされておりまして、そういう大きな負担が、今、経済全体にのしかかっていると。そういう中で、活路を地域としても開いていかなきゃいけないものですから、雇用や経済の戦略を話し合うことにさせていただきたいと思います。

 また、足元の経済雇用情勢が悪いということもございまして、緊急の雇用対策を、県直営でも実施するということにいたそうと考えております。具体的には100名規模で県としての直接雇用を今年度考えようということにいたしたいと思います。詳細まだ詰めている段階ではありますけども、第1陣として、来週の[4月]16日から募集をして5月から就業していただくというような職も作っていきたいと思います。今年はまんが王国の話があったり、あるいは[全国]植樹祭なども今後出てきますし、いろいろとそうした雇用ニーズ、庁内を洗い出してみるとあるだろうと。それで、緊急雇用対策の昨年度の決算におきまして剰余金が出ているということもございます。それを活用して100名程度の雇用枠ができるのではないかと今算定をしておりまして、そうした緊急雇用対策を、実施をしようと考えております。



6 国際マンガコンテスト募集結果と観光関連の動き 

●知事

 そういう今年のテーマになってくるような漫画でございますが、国際マンガコンクールを鳥取県として初めて実施をしております。だいたい700件近い応募がございました。そのうち500件近くは日本国内からの応募でございますが、残り200件は海外からの応募でございまして、ロシアなど各国からの応募がございました。これはもう締め切っておりますが、これから秋にかけまして厳正な審査を審査員の先生がたにお願いをして、[国際]マンガサミットのときに表彰を行うということにいたしたいと考えております。こういう漫画もございますし、この週末は砂の美術館が鳥取市、オープンをさせるということになります。賑やかな観光シーズンをこれから演出をしていきたいと思います。

 来週は米子におきまして山陰デスティネーションキャンペーンの会議を行うことにいたしております。神話博、あるいはこうした漫画関係、新しく砂の美術館も始まりますけども、いろんな素材が山陰両県にあります。ぜひ、経済雇用の振興もございますので、観光関係の活性化を目指してまいりたいと思います。



7 電動バイク工場開所など 

●知事

 環境関係でも、経済雇用の活性化を図るということになろうかと思いますが、電動バイクのメーカーのデンバジャパンさんがいよいよ[4月]17日から動くということになります。県としても、この製品をテストケースとして利用させていただくと。そういうこともいたさせていただこうと思います。これから県内の主要なスーパーマーケット等にも展開をされるということもあるようでございます。県としても、先の2月の定例議会で議論しました予算の中に、こういう電動バイクの購入の助成を県予算でも計上させていただいております。ぜひ、ご活用いただき経済雇用の活性化にも資するものになってもらいたいと思います。現実にも県内の高卒の、新卒のかたなど採用してくださるということになっておりまして、今後は期待されようかと思います。

 また、メガソーラー発電の関係でも、今パートナーをソフトバンクと組もうとされておられます三井物産のかたが明日ご来県をされます。私も面談をいたしますし、現場の方も見てもらうということになっております。いずれにいたしましても、非常に厳しい経済雇用情勢はありますが、何とか観光であるとか、環境であるとか、そうした鳥取県らしいテーマも生かして乗り切っていきたいというふうに考えております。私の方から以上です。


○共同通信 田島沙羅 記者(幹事社)

 では、各社質問がありましたらどうぞ。



8 震災がれき処理 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 ちょっとがれきの関係でお願いします。実際に上京して、国の方と交渉なさってみて、当面具体的な対応としてお考えになっておられることはございますでしょうか。


●知事

 そのパイプを開くということで、高山政務官も基本的には同意されたんだと思います。ちょっと時間に限定があって、確かめきれない感じにもなっていますけども。だから、担当部長を東京の方で早速折衝させていただきまして、具体的には本県の場合米子市という案件がございますし、先般締め切りました県内市町村の意向調査ですね、市町村や企業の意向調査の状況から、今まだ判断していないというふうに、従来は受け入れできないと言っていたところが、回答を変えておられる団体もございますので、そうした団体のことも含めて折衝のパイプを開きたいというふうに考えております。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 市町村向けのアクションで何かお考えになっておられることはございますでしょうか。何か持ち帰られて。


●知事

 昨日は、米子[市]の角[博明]副市長も市長代理として私に同行してくださいました。それで、角副市長からも実情を高山政務官に訴えていただきました。高山政務官からは、そうした鳥取県米子市の真剣な検討につきまして感謝の意が示されまして、ぜひ協力させていただきたいということをおっしゃっていました。ただ、国の方もいろんな事情があるようなことを、併せて、さっきの基準の問題であるとか、それから最終処分の問題であるとか、いろんな事情を向こうもおっしゃっていましたけれども、ともかくそういうパイプを開く必要があるということを当方も申し上げましたし、また、角副市長も昨日の話し合いの結果を持ち帰って市長と相談をするということでございました。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 まだ、こちらで鳥取県さんの方が求めておられたいろんな判断材料というのは揃ってはまだないですけども、やっぱり一歩は進んだというような感触はお持ちでしょうか。


●知事

 そうですね、昨日はだから6県が共同して出かけたのもそうでありますけども、国民性の問題だといって、地方ないし住民の皆さんに検討を促すわりには国の方の体制が整っていないと。だからこそ、昨日6県で共同して出かけたわけであります。それで、昨日、福田政務官、総務省の政務官がおっしゃっていましたけども、遅ればせながらではあるけれども、昨日市町村向けに、政府の方の考え方も改めて示させてもらったということであります。そうした内容なんかも、これから分析をさせていただいて、いくことになろうかと思いますが、ただ、本県は検討の入り口にも入っていないということではなくて、具体の案件を抱えている地域でございますので、もっと具体的に、じゃ、どういう具体的な情勢になるのかとか、そうしたことを個別に話し合いをさせていただきたいという気持ちでございまして、その意味でパイプを開いてほしいと申し上げました。

 昨日もいろいろと話をする中で、当方で懸念していることについて、若干の回答は得られました。例えば、モニタリングですよね、モニタリングの経費がかかると。これは先行してやっておられる地域に、私どもの職員、これは米子市さんも出かけておられますけれども、行っていろいろと事情調査を今、しております。その中で、独自の基準を作るとかして、何とか住民のかたに安心を担保しなきゃいけないという努力をされているわけでありますが、そういうときにモニタリングをするわけであります。そういうことの経費だとか、人員だとか、結構それが、国の方が見てくれないし、大変だという話がありました。それも率直にぶつけたんですね、そしたら、昨日高山政務官はすべてそれは国の方の最終的な負担にしますという話をおっしゃっていました。具体的には発送する段階から受け入れる段階までいろんな場面があると思いますが、そのモニタリングをすると、それで、そこでかかった経費については、がれきを送り出した自治体の方に受入れ団体が請求をしてくれと。それで、その請求をしたものについては国が95%の交付金を出したり、また5%の追加支援を行ったりして、それは100%国が見るんですと、こういう説明をされておられました。

 だから、そうしたモニタリングだとか、説明会等の経費だとか、一切は国の方で最終的には見ることになりますよというご説明をされておられました。いくつかそうした個別の疑問点を話し合うこともできましたけれども、ただ、まだ最終的に本県で言えば米子市さんなりが決断をするにあたりましては、具体的な話が必要でございますので、そういう具体的な話ができる窓口を開いていただくようにお願いをしました。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 最終処分と言いますか、焼却場の問題は。


●知事

 それはですね、向こうは、高山政務官はそれやろうとすると、2年とか時間がかかると、それで、今特にやりたいのは急いでできる処分なんだと、こういうお話をされていました。じゃ、例えば2年かかったあとで、受け入れるかどうかというところは、ちょっと明言はなかったですけども、ですから、ちょっとそこはやや曖昧ではありますけども、まだ今後具体的なやりとりをしなきゃいけないところだと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 そこがないと処分できませんよね、最終処分どうするのかというのが明確にならないと。


●知事

 そこは我々の方でも強く申し入れをさせていただきました。それで、あと、結局全国のいろんな自治体がありますので、どこの自治体にお願いをして処分をしてもらおうかというのを、これから捌いていくんだと思います。そういう中でどの自治体を選択しながら、こういうマッチングをしていくかと、最終的にはそういうことになるのかなあと思いながら昨日は聞いていましたけれども、ともかく私どもとしては正式にアンケート調査に対して、国に回答していますし、米子市さんの意向も直接昨日は伝えられましたので、これで交渉の端諸を開きたいと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 仲介にあたる県が大変だろうと思うんですけれどもね、実際の処分というのは市町村がやるわけですから、ただ処分をしてその最後の段階まではっきりさせないというと処分そのものできないわけですよね、搬入から処分まではできても、一時国有林を使うという話がありましたけれども、あのあたりの話というのはどうなったんでしょうか。


●知事

 だから、高山政務官はそういう選択肢だと時間がかかってしまうという内情をおっしゃっていました。それで、先程も申しましたけども、いろんなそういう国が昨日の話も含めて、角副市長の方で持ち帰って市長と相談するというような話でした。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 と言うと、持ち帰るような具体的な提案があったということなんですか。


●知事

 具体的ではない、今、申し上げたとおりです。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 なんか抽象的に聞こえるんですけれども。


●知事

 ですから、そういう、言えば制度のスキームの話などが中心でありましたので、昨日その段階で持ち帰りまして、これからどうしようかという方針を米子市さんの中でも検討されると思います。それから、あと具体的に、やはり実はいろんな交渉ごとが必要でありますので、そういうネゴシエーションのパイプを開きたいということを強く申し入れまして、今そこのパイプを開くべく、うちの方の担当部長も環境省と話をさせてもらっているという段階です。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 パイプというのは、いわゆる本省のかたという。


●知事

 そうですね。


○毎日新聞 田中将隆 記者

 がれきに関して、知事のお考えをお聞かせ願いたいんですけれども、先程8,000ベクレルという基準の話があったと思うんですけれども、これに関しては政務官もなかなか譲れないようなところがあると、国からの回答待ちというところもあるとは思うんですけれども、もし8,000ベクレルっていうのがそのまま変わらなかったりした場合に、なんか県として独自の基準を設けたりとかいうお考えはあられますでしょうか。


●知事

 1つは、関西広域連合としての基準を設定しましたので、それを参考にさせていただきたいなという思いであります。ただこれ、先程もお話がございましたけども、最終的には市町村の方に権限がある話でありますので、市町村の方とよく調整をさせていただきたいと思いますが、具体的には市町村の方も、今の国の基準そのままということにならんだろうと考えておられるようです。県と一緒になりまして、適切な基準設定を、具体的に受け入れということになりましたら、考えることになろうかと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 何しろ、まだまだ、例えば、県内の市町村さんなりが判断をされるためには、まだ条件が、まだ揃っておらんで、時間はかかりそうだというような印象はお持ちでしょうか。


●知事

 そうですね、若干の時間は必要だと思いますけども、それを加速させるために具体的なパイプを開かせていただいて、検討をさせていただきたいと思います。



9 大飯原発再稼働 

○読売新聞 野口英彦 記者

 原発の再稼働の関係でお伺いをします。政府は新たな基準を示して、近く地元に説明に行くようなことを言っておりますが、これが性急ではないかという見方がありますけど、これについて所見をお願いします。


●知事

 私は、もっと落ち着いて検討すべきではないかと思います。この度、3つの基準が示されまして、これが言わば地元福井県も求めていた安全基準というものだということであります。ただ、1つ目、2つ目につきましては、それはもうすでにやっている緊急対策であったり、ストレステストの第1次のものであったりということでございまして、クリア済みのものが改めて条件として出されたわけです。それから、3点目として出されたのが、かねて言われていたような30項目にわたる安全対策でございますが、これについては、計画を作って、それを誠実に執行していくという枠組みができれば、OKだということになっているんですね。この辺が果たしてそれで十分なのかどうかというのは、やっぱり専門的な知見を含めて、単なる政治判断ということではなくて、する必要があるんではないかと思います。

 仮に、鳥取県に同様の、島根原発関連で意見照会なり、具体的な我々の方の検討をするということになれば、鳥取県としてもこの4月から体制も強化をしました。原子力安全の委員会[鳥取県原子力防災専門家会議]を作っています。これなんか大阪市が作ったのが異例だって報道となっています。たぶんそれ間違いでして、周辺地域ではやっぱりやっていたところがございます、京都だとかもそうなんですが、今度滋賀も作りたいと言っているそうでありますが、鳥取県の場合は、実はすでに作ってあったものをこの4月から人員の強化をしました。こういう専門的知見を交えて、やはり検証する必要があるんだろうなというふうに思います。ただ、今は大飯原発のことについてやっておられまして、島根原発についてはストレステストもまだ問題として残っていたりしますので、まだこれからの話かなというふうに思います。いろいろと世上議論はあるわけでございますけども、やはり第一義的には安全ということを、地域の安全ということを考えるべきだと思います。昨日もそうした趣旨を国側の方に申し入れをさせていただきました。


○読売新聞 野口英彦 記者

 この夏の電力需給の関係から再稼働を求める意見が出ていることについてはどうお考えでしょうか。


●知事

 もちろんそういう国全体の電力のことに向き合う必要は電力会社にはあるんだろうと思います。その点は理解できるとは思うんですけども。ただ、それを稼働させるからにはやはり安全安心の担保というものがないと地域の住民の皆さん、これは周辺地域も全く同様でございまして、安心が得られないということになるわけであります。現実に福島第1原発サイトでは、非常に大きな後世に残る影響を出してしまったという現実があるわけでございまして、慎重に考えなければいけないだろうというふうに思います。今、政府の方で、これは報道なんでよく分かりませんが、結論先取り的に連休前には決定しなきゃいけないというスケジュール感で動いているとしたら、これは方針を誤るものではないかなと思います。安全安心を第一義として慎重に検討し、そしてあともう1つ大切なことは周辺地域も含めた意見を十分踏まえて動いていただくと、こういう姿勢が求められるんだと思います。



10 震災がれき処理(再質問) 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 がれきの話に移って恐縮ですけども、国の方への働きかけというのはおそらく今後も継続していかれたいお考えだと思うんですけども。


●知事

 ええ。それは今後の展開を見て、働きかけるべきことがあれば働きかけたいと思います。今回は鳥取県独自でも働きかけましたけれども、6県で意見が合った範囲で、共同で申し入れをさせていただきました。こういうようなことは今後もあり得ますけども、私はむしろ具体論が大事だと思っていますので、さらに具体的な交渉ができるチャンネルを開いて、しっかりとした検討を地元自治体の方でもやっていただけるようにしたいと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 具体的にその窓口を作ってくださいということの具体化の交渉をそれぞれに、例えば担当者のかた同士で詰めてもらう。


●知事

 いや、そこ県が今仲介しまして、先程も申しましたが、具体的には生活環境部長が環境省と今折衝を、昨日の高山政務官との話し合いを踏まえて折衝するようにさせていただきました。



11 スマトラ島沖地震の影響 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 鳥取県にはあまり関係ないかもしれんですけど、インドネシアの方で災害がありまして、またそれを受けて何ぞ対応、例えば県民が向こうに行っとらんかとか、縁者がこっちに来とらんかというような情報収集。


●知事

 昨日いろんな方面に問い合わせをしまして、情報収集をしました結果、本県関係の邦人の影響はない見込みであります。例えば、水産関係での漁場とか、それから現地に駐在している可能性だとか、その辺は調査をしましたけれども、今のところそういう被害と言いますか、具体的な状況は入っていません。また、外務省の方にも問い合わせをさせていただいておりますけども、邦人についての影響自体が今のところ伝えられてないという状況であります。



12 2期目初登庁から1年を振り返る 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 実は今日は平井知事が2期目、当選されてから丸1年になるということなんですけれども、この1年いろいろありましたけれども、振り返ってみられて簡単に総括をお願いしたいんですけれども。


●知事

 2期目に当たりまして、チャレンジャー精神でこれからの未来づくりをやっていこうという訴えかけに応じた動きが鳥取県の中に、県政の中に生まれてきているかなと思います。例えば、少人数学級を全市町村で全義務教育学年で実施をするということも、その訴えかけの中に入れてありましたけれども、これもこの度、実現をすることができました。また、まんが王国での地域振興を図っていくことにつきましても、先頃の議会を経て、いよいよ本格的に始動させることができたかなというふうに思います。また、安全安心のために絆を活かした地域づくりを訴えかけさせていただきました。この点につきましても、そうした暮らしに安心をもたらす基金の設置ができまして、[とっとり]支え愛基金を作ることができました。これによりまして、これから弾みがついていくんではないかなというふうに期待をいたしております。

 さらに、さまざまな基盤整備であるとか、例えばハイウェイについては今回予算の内示がございましたけども、ほぼ順調についてきておりますし、境港の方の環日本海拠点港指定も勝ち取ることができましたし、一定の成果は挙げることができたかなと思います。ただ、課題もございまして、特にこれまでの長年の産業構造が今変わろうとしていると。それで、この産業構造の変革に伴って成長軌道の方へと転じていくというところが、やはり三洋グループのパナソニック統合などが影響ございまして、非常に厳しい状況が続いているというところは大きな課題として残っているかなと思います。そういう意味で、経済雇用対策、それについては観光だとか、環境だとか、そうした新しいテーマも含めて立ち向かっていく必要があるだろうというふうに思います。

 また、私自身も、2期目始まって早々から骨折して健康を害して入院騒ぎを引き起こしてしまいましたけれども、こういうことなど、自分の健康管理の方がうまくいっているかなということは課題かなというふうに思います。これから、特に今年度また選挙時に訴えかけたことの1つの大きな柱としてのパートナー県政が重要な課題になってくるだろうと見ております。近々また新藤[宗幸]委員長初め、[鳥取県民参画基本条例(仮称)]検討委員会の議論が行われますけれども、住民投票制度の導入の可否も含めまして、パートナー県政のかたちを作っていくような条例制定をぜひやりまして、先の選挙戦で訴えかけさせていただいた内実を果たしていきたいと思います。

 選挙戦の大きなテーマは、あと東日本大震災対策でございました。原子力安全協定を結ぶなどの成果を挙げることはできましたけれども、津波のシミュレーション後の住民の避難を確立をするとか、原子力安全の具体的な装備を充実をしていくとか、そうした課題はまだまだ時間をかけて対処していかなければならないだろうと思います。ただ、一歩一歩県民の皆さんと地域に活力と安心を生むことができるような県政を創造してまいりたいと思います。



13 パートナー県政 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 パートナー県政のことなんですけれども、1期目始まって当初からプロジェクトチームをいくつか立ち上げられてその中にいろんな団体のかたやNPOのかたも入れて、そういうところで一定の県民参画というのが図られていると思うんですけれども、一方でその原発の災害避難計画ですとか、ああいったものはすごくスピードを要することであって、そこに住民がどう関わってくるのかというテーマは非常に難しい整理になると思うんですけれども、この辺を諮っていくのが今後の課題なのかなと思うんですが、その辺はどのように考えておられますでしょうか。


●知事

 おっしゃるとおり、特に津波もそうでありますけども、昨日のインドネシア、それは2004年[スマトラ島沖地震]を彷彿とさせるような揺れであってですね、住民のかたも一斉に高台に逃げていくということになりました。ことほど左様に、時間との戦いになるのが災害対策だと思います。これは行政のシステムを整えるだけでは終わりはこないわけであります。住民の皆さまお一人おひとりがそれぞれ自覚していただいて、自分自身イメージして避難をすると、そういうことがなければ成就しないものでございます。これは市町村と共同作業になると思います。今年度、県としても地域防災計画を改定をすることにいたしますけども、市町村でも避難の計画作り、原子力安全対策の体制作りをぜひ急いでいただいて、そこに住民の皆さんがむしろ避難なり、安全対策の主役として登場する、そういう新しい防災体制を確立しなければならないと思います。


○山陰中央新報 藤井俊行 記者

 パートナー県政の中で県民参画条例、これ仮称ですけども、その検討委員会の中で常設型の住民投票条例を県に提言すると、内容はともかく、提言するというふうな話しに至ったんですけども、そのあたりの評価というか、ご意見と言いますか。


●知事

 昨日も実は東京で新藤委員長に出会いました。非常に、と同時に西尾勝先生っていう行政学の大家のかたもいらっしゃいまして、皆さんよく鳥取県の動きはご存知のようで注目をされておられます。常設型の住民投票ということを都道府県レベルでやるとなれば、これはかたちだけのものなんですけどね、かたちだけってちょっと語弊がありますが、実際には投票制度を作ったりしていかないと動かない県もあるわけでありますか、しっかりとしたものを作ろうということになりますと、これは都道府県でも最先端の制度になります。だから、識者は注目をされているようでございます。私としては、民主主義の基本としてのルールを作ろうというものでありますから、あんまり私のような、むしろ行政の中枢の人間があれこれ発言をして内容をこしらえていくというのはいかがかなという思いがございます。

 自分の思いは選挙戦でも1年前に訴えましたけれども、そうした住民投票条例も含めて、住民がパートナーとして参画できる県政を鳥取なら実現できる、そういう思いがございますので、検討委員会の設置をし、委員に検討をお願いをしているところでありますが、個人的な思いはともかくとして、制度設計などは、ぜひ委員会の方で大胆に出していただいて、それを我々でもしっかりと正面から受け止めたいというふうに思います。ただ、条例マター[事項]になりますので、当然ながら今後県議会との論戦も予定されますし、事柄が事柄ですので住民の皆さんのご意見を伺うような機会も作っていって、最終的な条例にまとめるということになろうかと思います。今後、デモクラティック[民主的]に物事、プロセスを進めまして、私としては県民参画条例の実現を図りたいと思います。



14 大飯原発再稼働(再質問) 

○時事通信 小出秀 記者

 また原発再稼働についてなんですが、先程、知事のお話の中で、一義的には地域の安全安心という考え方というのと、それにおいては、周辺地域も踏まえたその地域の意見も取り入れていくべきだということで、その地域の、周辺地域も含めた意見を今後、国が制度として枠組みを構築する中で、鳥取県として今後、その制度の構築に向けて、どのように働きかけを行っていきたいか、お考えはどうでしょうか。


●知事

 昨日、その働きかけの口火を切らせていただいたわけであります。それで、我々としては、原発の運転の判断にあたっては、政府において安全を第一義として鳥取県など周辺地域の意見を踏まえて慎重に判断してほしいと、そういう要望を強くさせていただきました。これに対して、牧野副大臣の方からは、山陰の場合、両県が一体とした地域性があると、特にその原発のあの図も見てもらったんですが、10km圏内、20km圏内、30km圏内と、その様子もご認識いただきまして、確かにここは一体とした地域だろうと。ですから、そういう皆さんが安心できるような体制について、経[済]産[業]省としても、当然ながら努力していきたいと、そういう趣旨の話がございました。

 また、そういう地域の考え方を踏まえて対処していきたいと、そういう趣旨の話もありまして、鳥取県の意見もぜひ聞いてもらわないといけんですよ、ということも重ねて私の方からも申しましたけれども、それに対する答えも含めて、地域のご理解ということを得るようにしていくんだと、こういうお話がございました。今の難しさは、あえて政府は、「地元」の「理解」という2つの曖昧な言葉を使うわけですね。「地元」という範囲も曖昧ですし、「理解」という言葉の意味も曖昧なわけでありますが、私は鳥取県の立場として、県民益に立てば、実をとる必要があるだろうと、鳥取県の安全が図られること、それから鳥取県の提出する意見について、国がそれを受けた動きになってもらわなければならないと。それで、周辺地域の意向を置いてきぼりにするような対応が最も避けるべき、我々としての帰結だと思います。それで、この辺がだから交渉事の難しいところだと思っているんですけども、できるだけそうした県民益を実現できるように、最大の努力をしていかなきゃならないなと思います。

 今までは、我々は完全に置いてきぼりの範疇にいたわけですね、埒外におかれていたわけです。昨年末に中国電力と安全協定を結ぶことで、我々は埒内に入ったんだよというとこまでは表現できたと思います。それで、さらにその実を、1つ1つ取っていかなければならないと。その1つが、地元の意見として反映されるものになるかどうかということでございまして、その辺は、これから鋭意折衝をしていく必要があるだろうと思います。


○時事通信 小出秀 記者

 これにつきまして関連しまして、まず地域の、周辺地域の意見ということが重要であるという一方で、これは大飯[原発]に限った話かもしれませんが、政治判断だけでなくて、専門的知見も交えて検討する必要があると、ここの点の専門的知見と地域の意見といったものが、必ずしも一致するものではなく、むしろ場合によっては矛盾する場合もあると思うんですけども、この整合性はどうお考えでしょうか。


●知事

 基本は、住民の皆さんも当然ながら事書きはご理解されていると思うんですね。それで、昔、以前と違いまして、やっぱり市民社会がだいぶん成熟してきていると思います。また、マスメディアを通じてかなり地域限定の意識だけでなくて、全国的立場、あるいは世界的立場でお考えいただけるというかたがたが、もう多数になってきていると思います。ですから、国全体の活力だとか、生活の利便性だとかいうことも、片方で価値観としてバリュー[価値]としてはあるわけです。ただ、片方でかけがえのない私たちの命とか、財産だとか、そういうものに対する保障があるかどうかというのも、これはさらに優先する利益としてバリューとしてあるんだと思います。それで、ここの兼ね合いだと思うんです。専門的知見というのは、その判断材料を提供することだと思います。何も指針がなければ単なる感情論で終わってしまいまして、場合によっては不毛な地域対立だけが残るということにもなりかねないところがありますので、それを整除していくのは科学的知見、専門的知見という部分になるんだと思います。

 京都[府]の山田[啓二]知事も今回、大飯原発のことを踏まえて専門家の意見を早速に聞くんだというふうにおっしゃっています。一昨日も山田さんとちょっと話をしたんですけども、そういうスタンスで臨まれておられまして、私もそうだと思います。滋賀県もここにきて、専門家の委員会を作るんだと言い始めているのはやっぱり同様の発想ではないかと思います。国が言っていることを鵜呑みにするということではなくて、地域としても判断をしていくと、そのための判断の重要な判断材料として専門的知見というものを求めていく必要があるんだろうというふうに思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それに関連しまして、藤村[修]官房長官だったと思うんですが、再稼働には法的には地元の同意は必要ないという趣旨のことをおっしゃったと思うんですが、そうなると安全協定とは何だったかという気がするんですが、これについてはいかがでしょう。


●知事

 これも議場でも、私も繰り返しご説明申し上げていますが、冷静な法的スキーム[枠組み]から言いますと、再稼働については立地地域の安全協定でも含まれていない。我々の結ばせていただいたものも本来は対象外ということになります。ただ、その協定の精神に基づいて、実際には地元の考え方が尊重されるというのが今までの安全安心を第一義とした原子力発電所の運転の指針だったと思います。この基本は、私は崩されることはないだろうと思います。それで、藤村官房長官がどういう思いでそれをちょっとおっしゃったのかよく分からないんですけども、単に法的性格分析だけでおっしゃったのであればそのとおりだと思いますが、ただ、その協定の精神に基づいて、安全安心を勝ち取っていく、それを担保しながら原子力発電所というものを地域として認めていくということとは、また別の問題だと思います。ですから、その点で、もし誤解があるのであれば、官房長官もよくその地元の住民の考え方というものを理解してもらう必要があるだろうと思います。



15 住民投票条例 

○山陰中央新報 藤井俊行 記者

 住民投票の話に戻させてもらうんですけども、米子市の方でも自治基本条例を作るときにその検討委員会の中で住民投票、常設型の住民投票条例を盛り込んでほしいというふうに言っていたんですけども、結局は盛り込まれなかったと。それで、検討委員会でしてきたことは入ってなかったことについては、どのようにお考えですか。


●知事

 それはちょっと米子市の中でのいろんなやり取りなんでしょうから、それは私もちょっと評価しにくいところであります。ただ、私の今後の進め方の指針としては、検討委員会で今後結論が出されるでしょう。それで、その出された内容は、基本的に尊重して世の中に問うていくべきだと思います。その過程で、ただ先程申しましたけども、条例として提出する前に、住民の皆さんの意見をいろいろと聞く場が必要だろうと思います。普通の条例よりも丁寧なプロセスを経て、執行部としての原案をまとめていく必要があると思います。また、県議会での議論が最終的にはありまして、条例は県議会の方の同意がなければ成立しません。この現実もございますので、その議会での議論、これもデモクラシーでありますので、議会での議論も経た上で、最終的な姿を作っていくことになろうかと思います。作ること自体が、民主的プロセスでございますので、それをしっかりと私としては基本に忠実に1つ1つ踏んでいきたいというふうに思います。



16 北朝鮮のミサイル発射と拉致被害者対策 

○読売新聞 野口英彦 記者

 北朝鮮の人工衛星と称するミサイル発射の関係であります。鳥取県には松本京子さんという拉致被害者がいらっしゃるわけですが、そのことを踏まえて知事の所見をお願いいたします。


●知事

 この点については、今、拉致被害者対策を考える知事会がございます。これは東京都の石原[慎太郎]さんがトップでありまして、我々としても家族会などと協調した行動を起こす必要があるんではないかという、今、話し合いをしているところでございます。今、一部報道で金正日、永遠の総書記って言うんですか。その遺訓と称するものが一部で報道されていまして、その真偽はよく分かりませんけれども、その中に拉致被害者対策についての北朝鮮の中での交渉指針のようなものも含まれていたという報道になっています。あんまりちょっと不穏当な不当な内容ではないかとは思いますけども。ただ、現実を直視してみれば金正日体制から変わりまして、金正恩体制ということになったわけでございまして、体制が変わったこと、即、拉致被害者問題の解決に向けたステージに成り得るものだと思います。ですから、政府としてこれも外交マターでありますので、政府としてしっかりとした交渉をやってくれということを、ぜひ今日の機会に改めて申し上げたいと思います。これについては、また関係県と連携した動きも検討させていただきたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 今回ミサイルが発射されたとしましたら、それは拉致被害者が帰ってこられる交渉にどういう影響を及ぼすとお考えでしょうか。


●知事

 これ、ちょっと私も専門的にはよく分かりませんが、それと拉致被害者問題とは必ずしも一致はしないものではないかなと思います。ただ、今後国際社会がどう動くかの方が、今回の人工衛星ないしミサイル問題は尾を引くだろうと思います。今、日米韓、さらに中国も、中国やロシアも同様でございますけども、非常に批判的な立場をとっておりまして、もし発射という事態になれば、すなわち[国連]安[全]保[障]理[事会]を開いて、この課題に、この問題について国際的に議論する必要があるという共通認識が生まれつつあると思います。ですから、それに伴いまして、これまでの轍を踏めば制裁がどうであるとか、いろいろとこう今後出てくるだろうと思います。そういう制裁云々の話がまたその拉致被害者問題に影響することはあるかもしれません。ただ、基本的には別ものでございまして、今回のミサイル問題は問題として議論すべきでありますけども、拉致被害者対策については、また政府として毅然とした態度で、これについても折衝にあたる必要があるだろうと思います。


○共同通信 田島沙羅 記者

 では、それでは質問ないでしょうか。



17 国土交通省の予算の箇所付け 

○読売新聞 野口英彦 記者

 先日国土交通省の箇所付けが発表されましたけど、それについての知事の所感をお願いしたします。


●知事

 これは満額であると本当に喜んでおります。昨日も吉田副大臣、あるいは国土交通省の道路局長だとかいろいろ面談させていただく中で、その辺はお礼を申し上げました。ただ、まだまだ先が長いもんですから、今回は上手くいきましたけれども、今後もこうした進捗図られるように徹底して運動を続ける必要があるだろうと思います。昨日の吉田副大臣にも申し上げたんですけども、我々としては第一次的ネットワークが接続されていない知事の連名において、今後も予算編成時期などで活動させていただきたいということは申し入れさせていただきました。


○読売新聞 野口英彦 記者

 駟馳山バイパスとか[平成]25年度の開通の方は間違いないと思われるんですけど、今後道路関係で知事がフォーカス[焦点]されるところというと、どこになるのでしょうか。


●知事

 今回あちらの県境を挟んだ岡山側でも鳥取[自動車]道がちゃんと付いていますし、それから、北条湯原道路につきまして、これも今までの未着工区間が事業化されるというのが入っていました。こういう今まででつながってないところ、その北条湯原道路のようなところ、こうしたところは進捗が急がれることになろうと思います。また、今回の予算内示で鳥取西道路につきまして、2期3期分も若干付いているんですね。こういう展開を図って、できるだけ早くこの鳥取西道路が渋滞個所でございますので、この解消を図っていく必要があるだろうというふうに思います。さらに、県内のハイウェイネットワーク、完成度はまだ決して高くないものですから、いろいろと未だ白地の区間なども含めて、我々としては要請をさせていきたいと思います。昨日吉田副大臣にもそうした今の、[平成]25年度後の必要個所についても指摘をさせていただきました。



18 国へのまんが関連要望 

○読売新聞 野口英彦 記者

 あと、昨日の要望活動の中で国際マンガサミットとまんが博への支援ということで、国土交通省と文部科学省に行かれたと思うんですが、どういったお話をされて、どういった反応があったかも分かったら教えてください。

●知事

 国土交通省関係では、インバウンド[海外誘客]観光も含めた[国際]まんが博に対する支援をということでお願いをさせていただきました。副大臣からはCIQ[税関・出入国管理]の対策などもしっかりと政府の中で検討しなければならないというお話がございましたし、このまんが博自体については讃辞をいただきました。また、平野文部科学大臣の方には、私どもで地方展覧会というものなんですけども、そういうイベント的な予算が文部科学省の中にございまして、これの採択を要望しております。具体的なやり取りもしたんですけれども、大臣の方からは、これについてよくちょっと検討してみたいということでございました。若干競争もあるようなお話をされておられましたけれども、鳥取県の国際まんが博の意義については、基本的にはご理解はいただけたと思います。

○読売新聞 野口英彦 記者

 それはその既存のまんが博にプラス文化庁のそういうイベントを誘致しようという話ですね。

●知事

 そうですね。

○共同通信 田島沙羅 記者(幹事社)

 他に質問はないでしょうか。では、それでは以上で終わりで。

●知事

 イベントの誘致でちょっと1つ忘れていました。小宮山厚生労働大臣に要請をさせていた中で、障がい者の芸術文化祭の全国[障害者]芸術・文化祭があるんですが、それの開催要請をしておりました。障がい者団体とも話し合いながら、この要望をさせていただいていたんですけども、昨日小宮山大臣の方から平成26年の鳥取県開催について申請いただければ、すぐにでも承諾しますというお話がございまして、平成26年の障がい者の芸術文化の祭典が鳥取県で実現をするということになりました。アール・ブリュット[「生の芸術」という意味のフランス語]というんですけども、障がい者アートですね。こちらでも、きらきらアート展でやっております。そうしたものなど全国的に今広がりをみせていまして、その全国バージョンをやるということになろうかと思います。

 実は広島県とあいサポート運動で連携をしていまして、今年は広島県の方で、あいサポートの展覧会きらきらアート展をやるということになりますが、来年は鳥取でやるというような約束事を、今、しておりまして、来年は鳥取でやるのをプレ大会にして、本大会全国大会を平成26年に実施をするということにいたしたいと思います。これ、関係者と最終調整しまして、速やかに厚生労働省の最終的な回答を得るべく申請を行いたいと思います。すいませんでした。

○共同通信 田島沙羅 記者(幹事社)

 よろしいでしょうか。すいません、ありがとうございました。


  

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