(新選択)記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財「用瀬の流しびな」

令和3年3月11日(木)、「用瀬の流しびな」が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として選択されました。


用瀬の流しびなの写真

写真:用瀬の流しびな

  

所在地

鳥取市用瀬町

保護団体

用瀬民俗保存会(会長:松本五郎)昭和47年設立

実施日

旧暦3月3日

特色

 雛人形に心身の穢れや災厄を移して水辺に送る行事は,「流し雛」や「雛流し」などと呼ばれ,雛祭りの源流となる古くからの習俗と考えられている。その伝承は,各地に散見されるが,本件は,呪具としての人形(ひとがた)に人間の形代(かたしろ)の役目を負わせ,送るという信仰をよく伝えており,同種の行事の典型例と考えられる。また,流しびなは鳥取県では因幡地方で広く行われていたが,伝承が途絶えた地域が多く,現在では当地に残るのみとなっており,我が国の民間信仰や節供行事の変遷を考える上で貴重である。

説明

 本件は,鳥取県鳥取市用瀬町に伝承される女児の三月節供の行事で,晴着で着飾った女の子たちが雛人形に災厄を託して川に流し,無病息災や無事な成長を祈願する。かつては,旧暦3月3日の夕方頃から家ごとに行われていたが,現在は,同日の午後地区を流れる千代川(せんだいがわ)の水辺で時間を定めて行っている。雛人形は,男女一対の小さな紙雛で,藁製の丸い桟俵の上にのせ,桃の小枝や季節の花,菓子などを添えて,川の緩やかな瀬を選んで下流へと送る。また,この日には,「ひな荒らし」と称して,近所の子供たちを自宅に呼んで雛祭りの御馳走を振舞う習わしもあり,各家では,新旧の雛人形を座敷や玄関口などに飾り,一般に披露する。
  

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