研修トピックス

2023年12月1日

保護者との信頼関係を築くために ~【生徒指導】「保護者との関係づくりのための理論と方法」研修より~ New!

研修タイトル

11月20日に、関西外国語大学の新井肇教授を講師にお迎えし、【生徒指導】「保護者との関係づくりのための理論と方法」研修を実施しました。教職員が保護者との間によりよい関係を築くために、どのように向き合い、対応するのがよいのか、事例検討等をとおしてその考え方や方法を学ぶ機会としました。
はじめに、児童生徒の問題行動は、大人や社会、教員や学校に対する「問題提起行動」でもあり、困った(行動をする)子は(課題を抱えて)困っている子という視点に立ち、問題行動や不登校が増加している現状を児童生徒の「心の危機」が深刻化しているととらえることが大切と確認しました。
子どもを取り巻く社会状況の急激な変化により、多様な背景をもつ児童生徒が増加している現状を鑑みると、児童生徒のよりよい成長・発達のために、子どもの成長・発達を地域で支えること、そして、学校と家庭・地域との連携が必要なのは明白です。
保護者との関わりにおいて求められる基本姿勢としては、普段から信頼関係を築いておくこと、相手の身になって感じる「共感的理解」に努め、カウンセリング的な姿勢をいかし、言葉の向こうにあるものを理解したり、言葉にならない「ことば」を聴いたりすることがポイントです。また、相手の話をきちんと受け止めるためには、自分の考え方や感じ方のくせを知ることも重要です。
それぞれの事例では、保護者や児童生徒に寄り添って、共感的に心理状態を理解しようとすることを大事にして、どう捉えたらよいか、どう理解し、どう対応したらよいのかを考えました。そして、次のようなことを大事にするとよいとまとめました。
・保護者との信頼関係を築くためには初期対応が肝心
・決めつけや思い込みを取り除く
・子どもの問題をめぐって、教師と保護者が目標を一致させる
・学校のできること、できないことをはっきりさせ、組織的に対応する
・子どもをめぐって協力し合うパートナーとしての関係を築き、保護者の訴えの背後にある思いや願いに気づく
また、保護者との関係づくりにおける留意点として、次の点で自分自身の姿勢を考えることも大切です。
・謙虚な姿勢…時には家へ出向いたり労をねぎらったりしていますか。
・気持ちの受け止め…共感的に聴き、言葉の背景にある気持ちを受け止めていますか。
・正確な事実把握…正確な事実把握、保護者の伝えたい内容の客観的整理をしていますか。
・丁寧な説明…児童生徒への対応について、丁寧にわかりやすく説明していますか。
・組織的な対応…保護者との対応状況を同僚や管理職と一緒に考えていますか。
・目標の確認…その子どもにとって何が大切であるか保護者と共有できていますか。

みなさん、御自身の保護者対応はいかがでしょうか。 

2023年11月27日

体験活動や人間関係づくりを指導に生かすために ~初任者研修「体験活動・人間関係づくり」(研修番号8)より~ New!

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研修風景3 研修風景4

11月9日、16日の両日、船上山少年自然の家を会場に、自然体験と集団活動の意義について学ぶ初任者研修を行いました。11月30日にも予定しており、3日間で全ての校種の初任者が受講します。様々な校種の初任者が参加しましたが、同じ目的をもって体験活動や集団活動を行うことにより、自ずとコミュニケーションが生まれ、校種を超えた初任者同士のつながりを深めることができました。
活動の一つとして、野外炊飯でカレー作りを行いました。役割分担をして自分の役割を果たすことはもちろん、周りを見ながら自分のできることを考えて行動する初任者の姿も多く見られました。はじめは硬かった表情も、グループでの活動を重ねる度に、徐々に和らぎ、笑顔で関わり合いながら活動する姿がとても印象的でした。また、様々なレクリエーション体験で次々にペアやグループをかえる中で、拍手や歓声をあげて満面の笑みを浮かべながら交流を深めました。活動のはじめと終わりには、ビーイングという手法を使って、グループごとに目標設定や振り返りを行い、体験活動や人間関係づくりをとおした学びや気づきを共有しました。

 

初任者の振り返りをいくつか紹介します。
・今回のことをとおして、児童が繋がり合い、仲間づくりをすることができるしかけを教師側がつくっていくべきだと感じた。少しのしかけがあるだけで、児童はワクワクし「もっと知りたい!」という意欲が湧くのだと、今回の体験活動で実感することができた。
・何事も楽しく活動をして終わりではなく、どうしてこの活動をするかというはっきりとしたねらいをきちんと持って毎時間の授業や活動に取り組みます。また、私のもつねらいを子どもたちと共有したうえで、子どもたちが何を学ぶかを考えながら授業をしていけるように取り組みます。
・レクリエーションやカレーづくり、ビーイングによる目標設定と振り返りなど、たくさんの活動をとおして大人でも仲間という意識が芽生え、一緒に熱中して取り組むことができた。子どもは仲間づくりにおいては大人よりも円滑に、上手にしていると感じる。仲間をつくるのがゴールではなく、その場限りの関係ではなく、今後も何かしらのコネクションを持つという意味での仲間づくりをしていく必要がある。来年の3月までに学級内でお互いが居心地のよい仲間となれるよう、担任として支えていきたい。

中本所長の講話にあったように、参加者一人一人が学びを生かし、決して体験のやりっぱなしにせず、体験したことが学びにつながるような働きかけを意識し、児童生徒の指導、支援に取り組んでいくことを期待します。

2023年11月8日

「『教え方』を教える」から「『学び方』を教える」へ ~第3回初任者研修指導教員等研修会・連絡協議会より~

研修会講義テーマ

第2回の研修会・連絡協議会に引き続き、10月26日に「初任者が育つ仕組み(2)~効果的なOJT~」というテーマで、鳴門教育大学の竹内敏特任教授に御講義いただきました。
校内で初任者及び若手教員の育成を図るためには、ミドルとベテランとをコーディネートする役割の存在や学校全体で関わり共に育てていくという意識が必要です。また、学級経営や保護者対応、職場の人間関係等に悩む初任者に対して、メンタル面でのサポート、つまりレジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力)を高めることが大切であり、同僚の協働的な支援がレジリエンスを高めることにつながります。
この研修で一番考えを深めたかった内容は、これからの教師の学びです。それは、「『教え方』を教える」という考え方から脱却し、「『学び方』を教える」という考えにシフトしていくということです。「学び方」を教えるためにどのような実践が考えられるか、グループで協議し、全体で考えを共有しました。各参加者の振り返りには、初任者への関わり方や指導の仕方について省みて、これからの校内での人材育成における重要なヒントを得て今後の取組への意欲を新たにするコメントが多く見られました。一部を紹介します。

【振り返りから】
  • 初任者の立場に立ち、困り感を共有できるような研修を組んでいきたい。
  • 初任者のレジリエンスを高める方策をじっくり考えてみたい。そのためにも会話の機会を増やし、初任者への問いかけを工夫していきたい。自分が今までどう学んできたのかを初任者に自己開示してみたい。また、学校の先輩たちはどう学んでいるかを初任者とともに学べる機会をつくってみたい。
  • 「学び方」を一緒に考えていけたらと思った。問いかけ考えさせ、新たな視点に気づかせていけるようにしていきたい。
  • 初任者=教えられる立場ではなく、自分で学ぶ姿勢を育成することが初任者の成長につながると思った。
  • 昔と違って授業のノウハウもネットを探せばたくさん出てくる時代において、表面上の指導は効果がなく、これまでの経験で得た生の感覚や出来事(エピソード、失敗談)などをざっくばらんに話すことが、何よりの生きた指導になると感じた。そして、最後は指導力とともに人間として成長できる1年間であることを念頭に置いて指導していきたい。
  • 「省察が自分を成長させること」は、そのとおりだと改めて感じた。それを初任者にはもちろん、自分自身にも生かしていきたい。

2023年11月1日

自分らしい生き方を実現するキャリア教育の取組からの学び ~初任者研修(特別支援学校)(研修番号7)より~

研修風景1 研修風景2

10月19日に、県立琴の浦高等特別支援学校を会場に、「初任者研修(特別支援学校)(研修番号7)」を実施し、キャリア教育について学び、考える一日としました。

校長講話の中では、「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現する」というキャリア発達の姿を、日々の生活の中で、自分自身の言動で子どもたちに示していく姿勢を示唆していただきました。教諭の講義では「キャリア発達を促す指導・支援」として「できる・わかる」ための手立ての工夫や、上位のモチベーションにつなげる支援の工夫などが必要なこと、「なぜ、何のために学ぶのか」「学ぶとどんな力がつくか」を実感として伝えること、活動、体験を「確かな経験」として積み上げることが肝要だと確認しました。これらのことは、校種の区別なく、共通して大事にしたいことではないでしょうか。

琴の浦高等特別支援学校には、生産流通科、サービスビジネス科の2つの学科があり、それぞれ農業・流通・食品衛生、サービス・事務オフィス・ビルメンテナンスの3つのコースがあります。授業参観をとおして生き生きとやりがいをもって取り組む生徒たちの姿に初任者も感銘を受けた様子でした。その後の協議では、「褒められ、認められる経験を意図的に作りたい」「誰かのために何かをするのがうれしい、喜んでもらいたいなどの気持ちを積み重ねていけるようにする」「生徒が役割を担い、他者から認められ、達成感ややりがいにつながる経験を大切にしたい」「自分も、職業人としての姿を、モデルとなるよう示していきたい」といった意見が交わされました。

鳥取県では、教育の基盤をふるさとキャリア教育においています。各校で、鳥取県に誇りと愛着を持ち、自立し、自分らしい生き方を実現するとともに、将来にわたりふるさと鳥取を思い、様々な場面でふるさと鳥取を支えていくことができる人材が育つことを願ってやみません。

2023年10月23日

個が生きる!より豊かに生活するための自立活動の指導 ~【特別支援教育(1)(自立活動)】研修より~

研修タイトル

10月16日に、関西国際大学教授、中尾繁樹氏を講師にお迎えし、【特別支援教育(1)(自立活動)】「個が生きる!より豊かに生活するための自立活動の指導」研修を実施しました。

自立活動の基本的な考え方、教育課程上の位置付け、指導の特色、特徴等、自立活動について深く学ぶとともに、実態把握の視点についても学ぶことで、教師として多くの視点を持ちながら目の前の子どもの背景を探ることの重要性について、改めて考える時間としました。また、UD(ユニバーサルデザイン)の考え方と自立活動の考え方との親和性や外部機関の専門家や保護者と連携を図り、一人一人の子どもたちの背景をチームで共有することの大切さについても学びを深めました。


的確な実態把握に基づいた指導体制ができると、様々な問題の未然防止につながります。そのためには、次の3つの「みる」と「力」の獲得が必要となります。

  1. 「目でみる」の獲得
  2. ・子どもを的確に観察するということ。その観察を裏付ける知識を学習し、子どもを様々な視点で見ようとする努力が必要になる。すなわち「知識力」である。
  3. 「手でみる」の獲得
  4. ・子どもを指導するときの感性ということ。様々な障がいのある子どもたちを指導するときには手で触って、子どもたちの体を動かすことになる。その時に手の感触をより確かなものにし、間違った独りよがりの指導にならないよう、努力や柔軟性が大切になる。通常学級では授業展開力にあたる。すなわち「実践力」である。
  5. 「心でみる」の獲得
  6. ・子どもの悩みや困り感に共感することができる教師になるということ。共感できて初めて子どもとうちとけあい、受け入れることができる。人として最も大切な力になる。すなわち「感じる力」である。

 

個々のニーズをしっかりと受け止め、根拠を明らかにして指導目標及び指導内容を設定し、明確な評価を実施するとともに、常に目の前の子どもに適した指導は何なのかを考え、私たち教師ができることからはじめること、小さな一歩を踏み出すことの価値について再認識できたように思います。


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