1月から12月までの各月に当てはめられた「宝石」のことを「誕生石」といい、自身が生まれた月の誕生石を身に着けると幸せが訪れると信じられています。詳しくご存知でなくとも、誕生石の存在自体を知る方は多いのではないでしょうか。ちなみに「宝石」とは、美しく希少な鉱物のことをいいます。
誕生石の起源は諸説ありますが、旧約聖書に登場する12種の宝石が起源で次第に誕生石を身に着ける習慣が広まっていった、という話をよく目にします。1912年、アメリカを代表する宝石協会「The American National Retail Jewelers Association」(現:Jewelers of America)が宝石の普及活動の一環として「誕生石」を正式に制定し、1958年の改訂を経て現在のものができました。これを基に世界各国でその国の文化や特産を踏まえた誕生石が制定されていきます(表1)。こうして、「誕生石」は多くの国で親しまれるようになっていきました。

日本では、1958年に全国宝石卸売商協同組合(ZHO)がアメリカの誕生石に「サンゴ(珊瑚)」と「ヒスイ(翡翠)」を加えた日本版を制定しました。しかし、このあとにも国内では様々な誕生石リストが誕生し混乱していたため、2021年、ZHOは日本ジュエリー協会と山梨県水晶宝飾協同組合の賛同も得て「統一された日本の誕生石」を制定しました。このとき、初出の日本版から新たに10種の宝石が加わりました(表1)。
このときに追加された宝石のいくつかは、次のような理由で追加されたそうです。例えば、2月の「クリソベリル・キャッツアイ」は2月22日、つまり日本の「猫の日」(にゃん・にゃん・にゃんの語呂合わせ)に由来しています。また、9月の「クンツァイト」は、発見者でアメリカの鉱物学者・クンツ博士(George Frederick Kunz/1856‒1932)が1856年9月29日生まれだったことが由来となっています。
見どころ1
「 展示台をリメイク」
地学コーナーにはさまざまな「隙間」があり、その一つにこのコーナーを据えることに決めました(図2)。当館の古くなった展示台の中に、この隙間にちょうど納まる展示台(図2)があったのでそれを土台に選びました。
次にジュエリーショップをイメージし、さきほどの展示台をショーケース風にリメイクしようと考えました。当館既存の白色の展示台に改装に改装を重ね、最後にアクリルケースを被せて展示ケースを製作しました。他の展示コーナーとは違う、ちょっと高級感(?)のある展示ケースをご覧いただけたらと思います。
図2.展示室の隙間とそこにちょうど納まった展示台 (2025年2月撮影)
見どころ2
「(可能な限り)原石を展示」(図3)
宝石といえば美しく磨かれた面に反射する光のキラキラを見たいところです。しかし、(それは非常に高価で入手が困難なことと) 宝石の生まれたままの姿をご覧いただきたいという思いから、宝石が研磨される前の天然の状態「原石」を展示するように心がけています。原石とはいえ、やはり宝石だけあってそのままでも十分美しいのはさすがですね。

図3.2025年12月、2026年1月、2月に展示をした誕生石の原石
*12月の誕生石「ラピスラズリ」を構成する主要鉱物
**クリソベリルは原石をカボッションカット(底面を平らにし,表をドーム状にカットする方法)することでキャッツアイ効果(光の帯)が現れる
見どころ3
「主役以外の展示物」
このコーナーの解説パネルでは、色・輝きのヒミツや鉱物学的な性質などさまざまな話題に触れており、その話題に関する「モノ」も併せて展示しています。この1 月は「ガーネット(ざくろ石)」を紹介し, 併せて「ざくろ」の果実の食品サンプルも展示してみました(図4A)。2 月は「クリソベリル・キャッツアイ」ということで「マライヤマネコ」の剥製を一緒に展示しました(図4B,C)。主役の誕生石はもちろんですが、この「脇役たち」にもご注目ください。

図4.脇を固める展示物たち
A:1月の誕生石「ガーネット」とザクロの果実(食品サンプル)
B,C:2月の誕生石「クリソベリル・キャッツアイ」とマライヤマネコ(剥製)
地学標本。私はその魅力の一つに「美しさ」があると思います。ひときわ美しい鉱物は「宝石」と呼ばれ、装飾品としてだけではなくときには信仰や権威の象徴として扱われてきました。一方で、地球が活動を行う中で宝石は生まれます。それぞれがどこでどのように形成されるか、なぜ美しいのか
など科学的な解明が進められています。誕生石をきっかけに、地学のおもしろさや奥深さの一端を知ってもらえると幸いです。
あなたの誕生石はどんな宝石ですか?
(学芸課 自然史担当 田邉 佳紀 (たなべ よしき))