知事定例記者会見(2007年10月24日)

平成19年10月24日(水)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

1 日程等について 

●知事

 皆さま、おはようございます。私のほうから、まず来週の10月31日に北東アジア地方政府サミットを開催することについてお話を申し上げたいと思います。

 これから鳥取県は日本海地域に立地しているということを存分に利用して、活用して、そして鳥取県の地域の発展を図っていかなければならないと思います。これは経済の面でもそうでありましょうし、あるいは環境という観点だとか、あるいは学術交流という観点だとか、さまざまな観点からですね、この日本海に面している、しかも大陸に本当に近いところにあるということを利用していくようにしなければならないと思います。そうした環日本海時代の大交流というものを見据えて、このたびの地方政府サミットを開催をすることといたしております。

 現在のところ、韓国江原道からキム知事さん、また中国の吉林省からチェン副省長さん、モンゴル中央県からはエンフバト知事さん、重ねてロシアの沿海州からはダリキン知事が来県されるということになっております。ダリキン知事は当初、来県の予定がなかったわけでありますけれども、これは個人的にロシアのウラジオストックの総領事館のルートをたどりまして参加を呼び掛けましたら、ご参加いただけるということになりました。

 ロシアの沿海地方からの知事の来県というのは、本県としては異例のことだと思っております。初めてこうした会議等で来られるんじゃないかなというように思います。いずれにいたしましても、こうした関係地域と共にひざを交えまして会談をさせていただき、今後の交流について話し合いたいと思っております。

 大きなテーマとしては、環境という問題をとらえてみたい、あともう一つ交流ということをとらえてみたいと思っております。メインテーマは環境と交流として、例えばですね、話し合いのテーマとして今、最終調整をしておりますが、黄砂の問題でありますだとか、あるいは経済交流に伴います、その前提としてのさまざまな、空とか海とかの交通について話し合いを持つことなど、予定をいたしております。各地域とは個別にトップ同士の会談を持たさせていただこうと考えております。

 この北東アジア地方政府サミットと併催をいたしまして、マスメディアといいますか、地元紙ですね。新聞のそうした報道関係者の交流事業でありますとか、それから美術関係の交流事業、併せて学術関係、大学の先生方が初めて協議会を持つということになっていまして、そうした学術関係。これは鳥取大学と環境大学が当県からは出席をする予定にいたしております。

 また、商談会もこの環日本海地域ということで行おうという予定にいたしております。このたびのこの一連の行事を通じまして、北東アジア地域における交流が盛んとなり、環境問題に対する海を越えた取り組みが発展することを祈念をいたしております。

 次に、このたびですね、推計をいたしますと、本県の人口が59万9,830人と、60万人を切るという、そういう、これは推計値でありますけども、すう勢として60万人を切ったのではないか、10月1日現在でそういう数字ではないかという推計をいたしております。そうした人口減少に対応した対策も必要だと考えておりまして、かねてから産業振興などに取り組んできておりましたけれども、鳥取県としてもUIJターン、ふるさと回帰に本格的に取り組む必要があるというふうに認識をいたしております。

 そういう意味で、今週末には、金曜日、土曜日とですね、大阪で「ふるさと回帰フェアin大阪」が開かれます。主催団体は全国的なグリーン・ツーリズムの団体、また、ふるさと回帰の団体でございます。私もパネリストとして大阪のほうに金曜日の晩に行きまして、和歌山の仁坂知事などと、いわばお国自慢大会といいますか、鳥取県のPRをさせていただきたいと思っております。翌日は難波のほうで行事も続いておりまして、鳥取県からは鳥取市と倉吉市が参加をするという予定にいたしております。

 こうしたことなどですね、鳥取県内での取り組みを集約的に行う必要があると思いますし、県庁としてもしっかりとした対応をしなければならないと思っております。当面は分権自治推進課を窓口にして、早速に市町村、心有る市町村ということかもしれません。このUIJターンについて賛同するような市町村、またトルク[TORC 財団法人 とっとり政策総合研究センター]のような、そうした研究団体など、シンクタンクなどと協調いたしまして協議会を作っていきたいと思っております。来年度予算に向けまして、さらにその施策を考えていく必要があるだろうと思っております。私のほうからは以上です。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 では各社、質問をどうぞ。



2 第12回北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミットについて 

○日本海新聞 小谷和之 記者

 北東アジアのトップ会談の件なんですけども、その中でやはり江原道のキム知事と平井知事の会談で、交流再開への期待というか、注目されると思うんですけれども、キム知事との会談の成果の見通しなり、最低でもどの程度までの交流再開に向けての礎といいますか、そういったものを築いていきたいというような知事の考えなりを、ちょっとお聞かせ願いますでしょうか。


●知事

 鳥取県側としては、交流再開に向けて意欲を持って臨みたいと思っております。キム・ジンソン知事とは、かねてタイでの副知事との会談など、コミュニケーションを図っております。交流再開に全く否定的ということでは私はないとは思いますが、ただ江原道側も道民のみなさんのご意見、道議会のご意見をよく見てみたいと言っている段階からまだ脱しておりません。ですから当日ひざを交えて、私としては打開するような方向に議論を持っていければというふうに思っております。

 私どもは、今の予定では30日に会談をする、今スケジュールを組もうとしております。江原道側には県議会の鉄永議長とキム・ジンソン知事の会談もセットできないだろうかと、こういう話をさせていただいておりまして、県議会のほうからも交流再開についてあらためてキム・ジンソン知事に呼び掛けることになると思います。

 今、交流再開の見通しがあるかというと、今まだ不透明と言わざるを得ないと思います。ただ、9月議会後ですね、2度ほど私どもの在日の民団の代表の方と話し合いをさせていただいておりまして、民団のほうも全面的に江原道との交流再開に協力をしたいと言っておりまして、民団からも働きかけをしていただく運びになっております。いろいろとですね、私どもとしては誠意を尽くして日韓交流の大義というものを説いていきたいと思っております。



3 山陰漁業対策自民党国会議員連盟 日韓漁業問題懇談会について 

○毎日新聞 山下貴史 記者

 その会談の前にですね、明日、山陰漁業対策自民党国会議員連盟の懇談会に出席されると思うんですけれども、3県の対策協議会として竹島の領土権確立も求められるということで、国に要望も出されるということですが、その真意を教えていただけますか。


●知事

 私は、これは国と国とで話をすべき問題であると、かねてから申し上げているとおりでありまして、そのスタンスはいささかも変わるものではありません。これは地方と地方で話し合うというものではないと思っております。他方でですね、日本と韓国の間で漁業について秩序ある操業を目指していかなければならないと思っています。これもやはり国の力で解決をしてもらわなければ、民間だけではですね、限界があると経験的に思っております。

 そういう意味で、国の積極的な対応を求めるというのが、このたびの私どもの集まりであると、そう認識しておりまして、出席をさせていただこうと思っています。



4 県の人口減少問題について 

○読売新聞 北島夏記 記者

 人口が60万人を割った件なんですけれども、全国で唯一の50万人台になっちゃうということへの率直なご感想とですね、それから最近は企業の減少とかですね、それから少子高齢化といったところが人口減の背景になるようなんですけれども、知事として、減ってきた理由の分析と、それから今後の対策ですね。具体的にどういった対策にするかというのをあらためてお願いします。


●知事

 数字を分析をいたしますと、今の現象の原因は2つありまして、一つは自然減、もう一つは社会減であります。自然減は、少子高齢化、これは全国的に進んでいますので、少子高齢化が進んでくればですね、生まれる子どもの数よりも、お年寄りのほうがそれだけに多いわけでありまして、亡くなられる方が出生を上回れれば自然減が発生するということでありまして、これは全国的にしょうがない部分だろうと思います。

 私が非常に危惧をいたしておりますのは、社会減が進行していることであります。ちょうど小泉さんの構造改革が始まってくるころからですね、大体そうした時期から急速に社会減が発生してきています。この社会減は、かつて高度成長の時代に大きく本県で発生しましたし、本県以外の、いわゆる地方部というところは、この社会減に悩みました。当時は過疎化という言葉が生まれたほどでありまして、国として地方に、例えば新産都市とかですね、そうした拠点を地方に設けようだとか、あるいは工業の再配置を行おうとかですね、そうした取り組みを国としてはやった時期だったというわけであります。

 今、こうした社会減が始まっております背景は、再び大都市回帰が起こってきている、そのことの現れだと思います。東京とか神奈川とかですね、愛知だとか、そういうところは社会増をしておりますけれども、私ども鳥取だとか、あるいは島根だとか、東北の山形とかですね、そうした地方部は逆に社会減が年々加速をしていると、これは共通の現象であります。

 背景には、例えば工場の立地においてですね、規制緩和が構造改革の一環で進められて、大都市部での工場立地に拍車が掛かっていると。そのように雇用の場が都会のほうで発生をするもんですから、大学で勉強をしにですね、都会へ出て行った若い人たちが鳥取県に帰ってこないと。差引をしてみると社会減になると、こういうのがですね、原因ではないかなというように思います。

 ですから、私どもとしては経済的な活力、地域としての住みやすさ、ロハスだとかスローライフだとか、そうした定住する上でのメリットをですね、積極的にPRしていくことが必要だと思いますし、何とか若い人たちを含めたですね、雇用の場を鳥取県でも拡大をしていく、これが重要だと思っております。率直に60万人を切ったことには寂寥[せきりょう]たる寂しさを感じるわけでありまして、ぜひともここからですね、反転、攻勢していけるような取り組みを進めなければならないと思います。

 本県として、先ほど申しましたように、第二の定住場所としてUIJターンをしていただきたいという呼びかけを強めることが一つの方策だと思いますし、産業振興、農業や水産業なども含めまして図っていくことが大切でありますが、正直申し上げて1県だけの取り組みでは限界があると思っております。ですから国のほうとしてですね、国策として、第二の過疎化がこの大きな時代の流れの中で全国的に始まっているんだということを、政策課題としてとらえていただきたいと思います。

 抽象的な地域間格差という言葉で言われていますが、その端的な表れがですね、このたびの60万人を切る、本県でいえば60万人を切るというような社会減の全国的な地方部における連鎖的発生に至っているわけでありまして、国家の在り方として、もう一度ですね、効率至上主義という考え方も当然理解できるわけでありますけれども、ただ本当の意味の国土の活用だとか、国民全体の生活の豊かさを考えれば、きちんとそれぞれの地域で、それぞれの可能性を最大限に引っ張り上げて生活できる、生業[なりわい]としての職業が営める、そのための産業再配置などのですね、積極的な取り組みを国に求めていきたいと思います。

 法人税など、一国二制度のように地方部では安くして、地方にむしろ法人企業立地を促すような、そういう大胆な取り組みが今は求められているように考えます。そんな感想を持ちます。


○日本海新聞 荒木隆宏 記者

 この60万人を切ったといっても、ある意味通過点みたいところもあると思うんですけども、すぐに影響は出てこないのかもしれませんけども、将来的にこの人口が減ることによってどういうような懸念といいますか、影響が出てくるというふうに思っておられますでしょうか。


●知事

 今回のは60万という通過点だと思いますが、じんわり、たんわり、効果は、影響は生まれてくると思います。例えば、今の推計ですと2025年ぐらいに、団塊の世代がご卒業なさってくることと期を一にしていますけれども、高齢者の数が最もピークを本県では迎えます。その時点では、要は3分の1の方が高齢者という推計になります。

 地域の活力としてこうした高齢者の方にますます活躍の場を持っていただくように、鳥取県は日本一ボランティア活動も盛んなところでありますから、生きがいを持って地域社会を支えていただくような仕組みづくりといいますか、そういう運動を奨励していく必要があると思いますが、ただ、これだけではいけないと思います。

 もっと若い方が地域に帰ってこれるような、そういう環境をぜひにもその2025年の高齢者が最大のピークを迎えるといわれるときまでに方向転換していく必要があると思っております。国策としての政策転換を求めたいと思いますし、それから、私どもとしてもできうる限りの努力をしていく必要があると考えております。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 今回60万を割ってしまってから騒ぎになっているというか、クローズアップされているところもあると思うんですけども、実際、社会減が起こっているのは2002年、小泉内閣が発足してからこういう現象が起きていたわけなんですけども、これまで県の取り組みで手ぬるかったとか反省しなければいけないところは何かありますか。今、政策を反転してやっていくとか、政策転換してやっていくというお言葉もあったんですけども、その辺についてのこれまでの取り組みの甘さというのは何かお感じになっていますか。


●知事

 私は、もっと経済振興、産業活性化というところを、こういう60万を切ってくるという局面では最重視しなければならないと思います。生活の豊かさ、福祉や教育の問題ももちろんでありますけれども、その土台になるところにその活力という問題をきちんと位置付けなければならないと思います。この点は今まで、経済界との距離とかJAとの距離感だとか、やや取り組みのスピードという面だと思いますが、スピードとして従来以上に加速しなければならないところだろうと思います。

 あともう一つ、これは率直に反省しなければならないと思いますが、UIJターンのようなふるさと回帰、定住促進、移住促進という政策については市町村任せであったかなと思います。移住者といいますか、潜在的に「鳥取県はいいところだな」と思ってくださってこちらのほうにセカンドハウスを求める方もおられましょうし、ついのすみかを求められる方もおられますが、そうした方々にとって、鳥取県といったら大体鳥取でありまして、厳密な鳥取市とか厳密な八頭町ということではないと思います。

 ですから、県としての窓口を明確に作ったり、県としてその市町村の取り組みを促進して、一緒になりまして、今度ふるさと回帰フェアに行きますが、そういう宣伝活動、PRを行って、移住の受け入れ先だという全国に向けた立候補をやっていくことが大切だと思います。この点は従来の政策としては十分ではなかったかもしれないなと反省をいたします。


○朝日新聞 下司佳代子 記者

 今の点なんですが、その産業振興の取り組みのスピードを加速させるというのは具体的にどういうことなのかというのと、あと、人口を増やすための取り組みとして第一にUIJターンに本格的に取り組むということで挙げられましたが、例えば定年後の人ばかりが集まっても、産業の振興ということを考えるとあまり意味がないのではないかというふうにも考えられて、生産年齢の人口をもっと増やすほうがいいのではないかという考え方もあると思うんですが、その点について教えてください。


●知事

 今のその産業振興のことでは、私が就任いたしまして国のほうの企業立地促進法などのスキームをいち早く取り入れようと、これは努力をさせていただいております。中国地方では今回の動きとしては最も早い動きになっているかなとは思っております。問題は、結果を出さなければなりませんので、ぜひにそのトップセールスも含めて、企業誘致あるいは既存の、地場の企業の拡張、活性化というものに取り組みたいと思っております。

 それから、UIJターンが本当に地域に活力をもたらすかということについていろいろな意見があるのは分かります。定年退職をされた人が住んでどうするんだというご意見もありますが、ただ、今は、かつて、昔のようなこととは違いまして健康長寿の社会になっていますから、75歳ぐらいまでは平均して健康に生きるということであります。ですから、そうした方も十分、例えば農業だとか、あるいは地域の活動に貢献をしていただけると思います。

 現に、東海地方から引っ越して来られた方が、吉田さんという方ですけども、八頭町において自分もやってうまくいったから、こうしたUIJターンに地域として取り組みたいと、そのNPO活動の中心に立ってやっておられるような方もおられます。このように、定年後だから地域として果たしてその貢献を得られるのかということは、私はあまりそこに踏みとどまるべきではないかなと思います。そこが従来の政策の面で観念的なボトルネックになったのではないかなと思っております。

 来てもらっても鳥取県の役に立たないかもしれないから推進しないんだというのは、やや誤解があったのではないかと私は思います。むしろ今の農業で主体的になっていただいている方の年代層を見ていただければお分かりいただけますが、今農業の主たる担い手は60代の方々でございまして、農業に参入していただくということも当然考えられようかと思います。それは無理な話ではないと思います。

 また、住んでいただくことではじめて人口が増えてきて、消費者が増える。それは、地域のいろいろな意味での、お金、経済の流通循環を生むことになります。これこそが経済の活性化にもなるわけでありまして、住んでいただくことの意義というのは大変に大きなものがあるだろうと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 ふるさと回帰で、お年寄りと言っては失礼ですけれども、定年になられて帰ってこられて、そのために県、市町村で一生懸命努力する。一方で新卒の、高校新卒、大学新卒された方がごそっと外に出ていく、このアンバランスさ。こちらでは一生懸命力を入れて1人、2人の方に帰っていただき、こっちでは、先ほど都会地の立地規制の話がありましたけれども、ごそっと人口が減っていく、ここのところがやはり大きいのではないかなと思うんですけど、若者をとどめることのほうがむしろ優先されるのではないかというふうに、その対策というのは何かございますか。


●知事

 おっしゃるように、私はその二兎を追いたいと思っていまして、一つは、定年退職された方々、典型的にはですけれども、あるいは中途退職されて比較的若くて来られる方もおられるかもしれませんが、そういうように従来の勤め先を都会地からこちらに移していただいてこちらで住んだり、あるいは農業をやったりというような方を増やしたいというのは一つでありますが、もう一つは、若い人をぜひ鳥取で働いてもらえるようにしたいということであります。

 そのために、若い人たちにとって魅力があるような企業さんに、張りついていただいたり、こちらでの企業活動をもっと若い人にPRをしてもらう。PRさせていただきまして、そういうところに取り込んでいくということだろうと思います。

 例えば液晶産業などは、我々のところでも立地をしているわけでありますので、その液晶について、来年から、その工業高校だとか高専だとか鳥[取]大[学]なんかで学んでいただけるプログラムも今開発して、これも大体教育機関との話し合いが終わりつつあります。こういうことで興味を持っていただき、インターンとして地元の企業にも入っていただき、できればその地場で就職をしてもらいたいと思っております。

 また、鳥取から東京とか大阪のほうに勉強で出て行った人たちとも、何かそのメーリングリストなどでパイプを取り続けて、そして鳥取のほうにも素晴らしい企業さんありますから、こちらで働いてみませんかということを働きかけていきたいと思います。

 子どもたちにもいろんな個性がありまして、自分はやっぱり鳥取に戻ってきたいなという子は確かにいます。そういう子どもたちに夢を与えるような、地域としての産業の仕掛けが、私はもっと必要だろうと思ってまして、そこに大いに力を入れていきたいと思っています。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 第一次産業等で、外国人労働者を受け入れなきゃいけないような状況が生まれつつあるみたいですが、県としては、その労働力人口として外国人をどう受け入れていくかというような、何か対策等は取られる予定はあるんですか。


●知事

 今その予定はありません。むしろ今、私の念頭にありますのは、日本の方で、こうしたスローライフのような世界が見直されてきて、評価されてますから、そうしたことをまずは目指していきたいと思っておりまして。外国人労働者の点は今、国のほうでいろいろ議論あるようでありますが、その行方を見守っていきたいと、そういう段階です。



5 全国学力テストの情報公開について 

○中国新聞 土井誠一 記者

 今日、全国学力テストの結果を一部出すようですけれども。それで個別情報については、非開示ということで、県教委のほうはそういうスタンス示されて、県のほうも県教委のスタンスを尊重されるということでしたけれども。情報公開条例の関連で、裁判ざたになる可能性もあるわけですけれども、そのあたり改めてお伺いしたいのですが。もし裁判になったら、結果として情報公開する、しないを裁判官に委ねることになると思うんですけど。知事はそれでよろしいんですかという。


●知事

 それが司法の役割だと思いますので。意見の対立があって、条文の解釈に対立があれば、法解釈は最終的な司法の場。それには違和感はありません。

 教育委員会にはぜひいろいろと、この機会によくご検討いただいて、裁判に行く前段階でも、県の審議会もあります。審議会の議論の結果なんかも、当然教育委員会は考慮してくださると思いますが。裁判に行って長期化する前に、もう一度再考してもらうというのが、審議会の場だと思いますので。そういう場でのご意見も、ぜひご検討いただきたいなと思います。


○中国新聞 土井誠一 記者

 条例をいじろうという、そういう考えはない。


●知事

 今は緊急なことでもありますし、その考えはありません。裁判の結果など、やはりちょっと今、仕組みに問題があるなということが明らかになれば、私はその時点で、条文について考える必要を見出すかもしれません。まだちょっと、そこまで至っておりません。


○山陰中央新報 弥重節子 記者

 知事はやはり、市町村別とか学校別の情報は開示したくない、したい、どちらをお考えなんですか。


●知事

 私の率直な気持ちとしては、できる限り、情報というのは公開すべきだと思っております。ですから今回、国のほうというか全国的にそのようでありますけれども、どこの県の教育関係者も、子どもたちの教育的な観点から、市町村ごとの開示には消極といいますか、それはやらないというふうに、大体意見が統一しているようでありますけれども。

 私は、今回の開示当局は教育委員会のほうでありますし、教育委員会の見識というのもありましょうから、最終的にはそれを見守るというのが、こちらの立場でありますけれども。できる限り開示できるものは、開示していくというスタンスで、臨んでいただきたいなと思います。

 教育委員会のほうで、どうしても事情があって、ここは開示できないというのがあっても、それに準じるといいますか、いろんなかたちでその情報の加工をしたり、県民の皆さまのお役に立てるような情報の出し方はあると思いますんで。それは積極的にやっていただきたいなという気持ちです。


○山陰中央新報 弥重節子 記者

 ただ、側から見てますと、教育委員会はもう非開示にしたいという考えを明確にしてますよね。そうすると、でも解釈次第では、もしかしたら開示になるかもしれないという、そういう非常にグレーな部分を残しているわけ。ですから、そういうことは教育委員会の意思をきちんと保証できるように、条文改正は簡単にできるんじゃないかなというのが、私たち見ていて思うんですけれども。


●知事

 そこまでやる必要性、自分は今見出していません。原則としていろんな議論があって、県議会で情報公開条例出来上がってきてますんで。そのいわば憲法のような部分を触ってまで特例を作る必要は、私はないと思いますんで。率直にそれに従って解釈をし、それが例えば異論があれば審議会にかかり、さらにこれが、ひょっとすると訴訟になると。それで司法の場に出ていって争われると。

 要は憲法といいますか、情報公開条例という、きちんとしたその県の原則であるルール。これにのっとった運用をすることを見守りたいと思ってますんで、特にそれに特例を設けてまで、今回のものを特だしして保護する必要があるか、ちょっとそこまでは、自分は信念を持ってませんね。むしろ疑問を持ってます。


○山陰中央新報 弥重節子 記者

 ただ、鳥取県を複雑にしているのは、9条の7項の「10人以下の学級に対しては非開示とする」というその文言のところが非常に、今回、全国にはまれにない条例として、あいまいさを残しているということなんですけど。ただ、その7項をどうするかということだけの問題じゃないかなと思うんですけれど。


●知事

 あれはもともと、県の学力テストを念頭に置いて作ったものであります。だいぶん、実は知事部局といいますか、執行部側で提案したものを、議会のほうで修正されて、ああなっているんですけれども。あれは今後も県の学力テストあるかもしれませんし、私はそれなりの機能を果たすと思います。

 教育委員会のほうが言ってますのは、国が実施主体であって、うちはデータを預かるだけだというものでありまして。ちょっと県が自ら実施したテストとは違うということを、立論の根源に持っているように思います。ですから、それ以外の条文で、非開示という論を立てておられると思いますので。それは見守ってみたいなと思ってますけども。


○山陰中央新報 弥重節子 記者

 ただ7項の場合ですと、県実施の試験に限るということが、解釈上確定できないというところが問題になっているわけなんですよね。


●知事

 それはそうだとしますね。県実施かどうかにかかわらず、これが働く可能性があると。その分は開示しなければならないとなりますが、そのほかの条文で非開示が働けば、これは非開示になりますので。教育委員会はそういう立論を取ってるわけですよね。ですからそれは、あんまり論理的な矛盾はないと思います。


○日本海新聞 村上俊夫 記者

 いわば、開示の決定権者の都合に合わせて条例を作りかえるという論理は、やっぱり非常におかしいなというふうに思いますんで。制定段階で、いわばその網の目といいましょうか、メッシュをどれくらいの細かさにするのかということが論議をされて、現在の条例が議会で修正をされてできていると。国の事業であれ、それから県がやるものであれ、同じメッシュでかけて何の不都合もないというふうに思うのが、多くの県民だろうと思いますのでね。いわば、国がこう言うから、そこの部分と合わないと。だから条例本体をさわろうというのは論議が逆転しているんではないかと。もう先ほど知事が言われることに私は基本的には賛同するんですけれども、やっぱり条例というのをどういうふうに位置付けるかというところもあると思うんですが、その辺についてはどういうお考えでしょうか。


●知事

 先ほども申しましたように、現代の地方自治にとって内部の情報を、持っている情報を明らかにすること、これは大切なことだと思うんです。行政は何のためにあるかといえば、住民の皆さまのためにあるわけです。

 ここはうまくいっていないのが厚生省とかですね、いうところだったんだと思うんです。これほんとうにひどい話だと思いますし、きちんとですね、患者の方に対して、実際にその処置を受けた人に対して、フィブリノゲンについてですね、これは明確にお伝えをして早急に対応しなければならないと思いますが、ああいうことが何年もこう放置されてきているっていうのは、大変問題だと思います。

 私ども行政は、それに対してもっと謙虚になるべきだというのが地方自治の新しい流れを形作ってきたんだと思いますし、だからこそ住民の皆さまにもですね、信頼を得てきたんだと思います。

 情報公開条例も、以前の公文書公開条例という単なる技術的なものから、表現の自由の前提としての知る権利を明確にうたっている条例へと進化をしていったわけでありまして、この憲法とも言うべきものは私は今の鳥取県の条例の中で非常に重要視するべき条例だと思っていますので、この条例をですね、何か1つの事象があったから軽々に改めるというよりも、その原則に忠実にやっていくのが、執行するほうの責務ではないかなと思っております。

 ですから、ちょっと私は今回のあれで、例えば7号を削除しようということとか、どっかつけ焼き刃でやろうというつもりはあんまり持たないんです。


○山陰中央新報 弥重節子 記者

 でも軽々に改めると言われましたけども、県の学力テストのときにはやっぱりあくまでも少数学級は守らなきゃいけないというので非開示規程を設けたわけですから、非常に側から見てると条例というのはそういう実情に応じてですね、必要に応じて改正できるというふうな印象、非常に受けているんですけれど。


●知事

 ええ、それは議論を尽くして、あのときもですね、県議会で相当議論闘わされまして、その結果としてああいう条文が出てきたわけでありまして、これからですね、もしそういういろんな議論があって、その条例自体を直そうと。今、今日情報が来たんですか。今日開示をされるんですかね。開示というか情報が来たということから、今からスタートする話なんで、今後の県民の皆さまのご議論の行方には注目していきたいと思います。

 ただいずれにせよ、開示、多分請求が出てくればですね、開示するかしないかという教育委員会のまず判断が出て、これ今の手続き上、止めるわけにも何もいかんもんです。それが不服あれば審議会にかかる。さらには訴訟という、こういう手続きを私は正当に踏んでいっていただいて、それを私どものほうはちょっと今回コミットできる立場じゃありませんので、拝見をしたいと。

 ただ希望としてはできる限りですね、何かいろんな理論構成で、これは開示できないという厳密なものがあるにしても、せっかく県民が利用できる可能性がある情報なんで、工夫の余地はあるだろうと思ってますんで、教育委員会にはそうした対応をお願いしたいなと思っています。



6 県の人口減少問題について(再質問) 

○読売新聞 北島夏記 記者

 先ほど人口の件のことでちょっと重なるような質問で恐縮なんですが、具体的にすぐに現れる影響、それから今後現れていく影響、それからこれ厚労省の結果だと、調査結果だったと思うんですが2035年には50万も切れるという予測もあるようなんですが、鳥取の将来を見通して人口減少というのがどういった直接的な影響を及ぼしてくるかという危惧感というんですかね、具体的にそれをちょっとお願いできますか。


●知事

 私は近々に現れてくるかなと思って危惧をしておりますのは、やはり生産年齢人口が減ってきているということです。我々のほうで産業誘致をしようとした場合ですね、どうしても働き手のロットの問題にぶち当たることあります。特に技術、専門技術を持った人の数の問題とかですね。ですから、そういう意味で活力低下の悪循環を近々に産みかねないなというそういう懸念を持っています。

 長期的にはさらにですね、人口減少が進んでいって、今の限界集落のような問題が、なおいっそう深刻化していくのではないか。県全体として、そういうことが起こってきてはいけないという、そういう懸念を持っております。ですから、今おっしゃる厚生省の推計のようにいずれ50万切ってしまうということに簡単に持っていってはいけないと思いますんで、何とかですね、踏みとどまれるような努力をしていきたいと思っております。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者

 それに関してなんですけど、先ほど1県ではなかなか対策取れないということをおっしゃいましたけれども、じゃあどういった場で、例えば知事会とか、いろいろ場があると思うんですけども、どういった場でこの問題を提起していかれるのかということをお聞かせ願えますか。


●知事

 いろいろと知事会でも主張していきたいと当然思いますし、実は秋田県も同じ考えを持っていまして、今秋田県にはこの点で共同して提案していきませんかと。秋田[県]も従来から言っていましてですね、やはりそういう悩みを持ったとこはあります。すごい大きな改革を国に迫ることになりますので、いわば私流に言ったら、かつての工業再配置法があったように、あれを復活させてですね、やる必要があるだろうと思っています。

 当面例えば農[村地域]工[業等導入促進]法と言われるんですけども、農村に工場を立地させる場合に税金などの特典の問題がありまして、これが失効するなど目の前の課題がありますし、過疎法が切れるとかですね。ですからこういうタイミングで国はかつて過疎が問題になってですね、いろんな対策を打ったあの時代のように、もう一度地方に政策として国のセンターを分散をさせるという施策を私はとるべきだと思っていまして、秋田[県]の知事さんも法人税についてですね、地方部は税率下げるべきだという議論をされていますので、一度話し合ってみたいなと思っています。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 一国二制度。


●知事

 一国二制度ですね、はい。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 一国二制度については、ここの商工労働部だと思うんですが、秋田県と連絡取り合いながらやっていかれることになっていってるはずなんですけども、ということですが、寺田さんが言っておられる一国二制度の、知事会の中でですね、今東北のほうでは徐々にその理念というのは広がり、共感を、よその知事も共感を得られている状況だというふうにもちょっと聞いているんですけども、平井知事としては一国二制度についてのサインを県議会でもサインを示されておられたんですが、今後それも何かその知事会の中でですね、働きかけていくような、そういうムーブメントというか、うねりというかですね、そういったことに持っていくようなお考えというのは。


●知事

 ええ、それを目指したいと思いますね。それも政権の中枢のほうに、この問題意識を持っていただきたいと思っています。前回の熊本の知事会のときにも秋田[県]の知事さん、そういう発言がございましたけども、あんまり広がりが出なかったんですが、私は今おっしゃったように実は担当部局のほうにですね、秋田[県]ときちんと連絡を取って、共闘態勢組もうという指示をしておりまして、秋田県側も応じてくれる見込みでありますので、一緒にやっていけるかなと。

 東北のほうと、あと我々のようなとこですね、それぞれ地域は違いますけども同じ課題でありますので、手をつないでやっていきたいと。そうすると少し議論にも広がりが出てくるかなと期待をしております。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 5県会議の中では議論にならないんですか。


●知事

 5県でも先日議論しましたけれども、なかなかちょっとですね、まとまれる部分とまとまれない部分というのがありますんで。


○山陰中央新報 今若靖男 記者

 宮城県が羽振りがいい。


●知事

 トヨタがね、トヨタが進出するとか言っています。



7 鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例の今後の対応について 

○日本海新聞 荒木隆宏 記者

 話は変わりますけども、改めてお聞きしたいんですが、人権条例の見直し委員会で一応意見書をまとめられて、11月2日の日には意見書を持ってこられるということなんですけども、長い間かかって意見書をまとめられたんですけども、今後ですね、県のほうのですね、対応と言いますか、見直しを受けての対応なり、スケジュールまではいかないと思うんですけども、どういうふうにお考えでしょうか。


●知事

 今、最終的な文案をですね、最後の調整されているそうでありまして、11月に入ってから報告書が出ると伺っておりまして、そのときによくですね、永山会長さんのお話をお伺いしてみたいなと思います。考え方ですとか、私もまだ報道でしか存じてない部分ばかりなものですから、思想的なこととかをよくお伺いをしてみたいと思っております。

 それで、庁内で検討を始めることになろうかと思いますけども、有識者の方のご意見を聞くだとか県民の方の広いご意見を聞くとか、あと国のほうがどうなるかということもあると思うんです。かつて、人権条例を作り始めたときに国のほうで法制化の話が進んでまして、それと並行して動き始めた部分もあります。国が福田さんに政権が変わって、このことは安倍さんとはややスタンスが違うんじゃないかと思っていまして、国がどう動くかというのも注目に値することだと思っています。

 いろいろと考慮材料が多いですし、今お伺いしている状況ではいくつかの案が並立するようなかたちでして、なかなか容易には結論が出しにくいのではないかと思っています。時間をかけてゆっくり検討をするということにならざるを得ないのではないかという見通しを持っています。


○日本海新聞 荒木隆宏 記者

 県議会などでは、改選前ですができるだけ条例制定をという声もあったのですが、それにはこだわらないというお考えですか。


●知事

 条例制定の前と今とでは事情はだいぶ変わってきたかなと思っています。人権の問題自体に変更はないわけでありますが、人権救済条例に盛り込まれたさまざまな装置といいますか条文について、全国から議論がわき上がって、そして結局執行力を停止したというのが現状でありますので、そうした経緯を考えれば県議会のほうもある程度従来よりは慎重な考えを持たれるのではないかなと思います。当然12月議会以降、議会でも議論としてこの問題は出てくると思いますので、そうした議会のお考えもお伺いしながら最終案に向けていくんだろうと思っています。


○日本海新聞 荒木隆宏 記者

 先ほど、有識者なり県民の方の考え方、意見も聞きながらということでしたが、あらためて今回の見直し委員会以外の組織を作って検討されるというようなことは。


●知事

 まだそこは明確には考えていません。ただ、せっかく有識者で1年半かけてご検討なさったわけですから、ある程度11月の頭の段階で熟度の高いものになっているのではないかと思うのですが、それを拝見して考えてみたいと思います。


○日本海新聞 小谷和之 記者(幹事社)

 そのほかございませんか。ないようですので、以上で終わります。


●知事

 どうもありがとうございました。


  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000