知事定例記者会見(2008年1月17日)

平成20年1月17日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

1 桜庭一樹さんの直木賞受賞について 

●知事

 
 皆さん、おはようございます。まず、昨晩ビッグニュースが飛び込みまして、桜庭 一樹さんの直木賞のご受賞、本当に心からお祝いを申し上げたいと思います。私も正直、非常にこういう明るいニュースが欲しかったものですから、大変に個人的にも喜びました。ぜひ県民の皆さまと、この大きな受賞を喜び合い、喜びを分かち合いまして、さらなる桜庭さんのご活躍をお祈り申し上げたいと思います。
 
 桜庭 一樹さんは今回『私の男』で受賞ということになりました。非常に重苦しい内容の作品ではあるわけですけれども、現在から過去へとだんだんと謎が解き明かされるようになっているような、そういう精緻で技巧的な構成になっておりまして、本当に私も一気に読み進むことができました。

 大変に素晴らしい可能性を秘めた作家であると期待を大いにいたしております。これから郷土鳥取県へのご貢献も含めまして、ぜひご活躍を願いたい、そういうように念願する次第であります。



2 日程等について 

●知事

 それから、先ほどネーミングライツについて、検討委員会といいますか、審査の委員会をいたしておりました。その結果としてでありますけれども、かねて募集をしておりました布勢の総合運動公園、それから県民文化会館の2施設につきまして、ネーミングライツを設定をするという方向で最終調整に入ることになりました。社名については現在、先方のご事情もありまして公表できる段階ではありませんけれども、早急に詳細を詰めまして、そしてできれば月内にも契約を済ませたいと思っております。

 何日か前、県外の企業につきましては県内の関連企業のほうから申し込みをしたいというお話がありました。それから昨日になりまして、その企業さんから正式なお申し込みがありましたし、それから県内の企業からもお申し込みがありました。さらに、夜に入りまして、夜8時ごろだったと思いますが、さらにもう1社、県内企業からのお申し込みがありました。したがいまして合計3社の申し込みを受けて、今朝、委員会を開催したという次第であります。

 そのうち当方の条件とも合致します県外1社と布勢の総合運動公園のネーミングライツの設定をしようという方針を決めましたし、また県民文化会館につきましては県内企業1社とネーミングライツを設定しよう、そういう方針を固めたところであります。詳細の名称だとかにつきましては今後、先方と詰めていきたいということになります。金額としてはそれぞれ私どもの希望価格での契約となりますので、私どもとしては非常にいい成果が得られたというように満足をいたしております。

 それから3点目でございますけれども、韓国のエマーソンパシフィックというゴルフネットの会社、ゴルフ場関係のですね、ゴルフ企業が私どもの大山グリーンパークと協定を結ぶことになりました。このエマーソンパシフィックでありますけれども、李重明(イ・ジュンミョン)会長さんは、去年の6月に鳥取県のほうに来県した南海海城(ナメヘソン)高校の理事長、経営者でございまして、そのときに私も面談をさせていただいております。

 この際には杉原会長をはじめ[鳥取県西部地区]日韓親善協会の皆さま、米子松蔭[高校]の関係者の方々など、県西部一丸となって、その大規模な、ホームステイを含めた交流団の受け入れにあたったわけでありまして、その状況で非常に感激をして、イ・ジュンミョン会長が帰られたということであります。その成果として今回、イ・ジュンミョン会長がかねて関係しているゴルフについて、私ども鳥取県の県内企業でありますグリーンパークと契約をするということになったわけであります。

 北東アジアの中でリゾートとして私ども山陰、そして鳥取県が羽ばたいていくにあたりまして、このような送り先の、韓国側の企業との提携が結ばれることの意義は非常に高いと思っております。今後こうしたご縁をさらに、さらに増やしていきながら、県内経済が活性化していく、国際的な観光の認知度が高まっていくことを願う次第であります。

 併せまして、現在いろいろと県税の収入状況を調べておりますけれども、他県減収補てん債などの発行をしようという動きになってきておりますが、我々も考えなければならない状況かなと、今ちょっと検討しようかなというところであります。それはまだ決めたわけではありませんが、そうした減収状況の中で、個人住民税の徴収が、このたびの税源移譲に伴いまして所得課税が個人の所得税、国の税から地方税、個人住民税に振り替わったことでの影響が出ていると判断をいたしております。

 したがいまして、これは県議会でも議論をしたんですけれども、県内の1市9町村と協定を結びまして、お互いに職員を短期に併任するという措置を年度末まで取ったほうがいいんじゃないかというように思っております。早ければ今月中にその1市9町村と契約といいますか、協定を結びまして、相互に併任をするということをやってみたいと思っております。

 これは県側としては、個人住民税の徴収窓口は市町村になりますので、個人住民税、県税もそのまま響きますので、個人住民税の滞納者に対する徴収を進める上でも、我々の県職員が関与することができるようになりますし、それから市町村側にとっても、県の徴収ノウハウを共有することで徴収能力の向上にもつながると期待をいたしているところであります。私のほうからは以上です。



○毎日新聞 山下貴史 記者(幹事社)


 各社、よろしくお願いします。



3 県及び市町村の税務職員の併任について 

○山陰中央新報 弥重節子 記者


 その徴収の件ですけれども、なぜ全19市町村ではないんですか。



●知事


 これは先方との交渉をしてきた結果です。私どもとしては全市町村と結んでももちろん差し支えないわけでありますが、県と徴収協定をこうした併任ということをやらなくても自分たちでやりたいというところはもちろんございますので、それは市町村との相談で決まりました。



4 減収補てん債の発行について 

○日本海新聞 荒木隆宏 記者


 その関連で、減収補てん債の発行を考えないといけない状況ということですけれども、具体的にはどれくらいの減を想定されているんでしょうか。



●知事


 法人関係は、10億円程度いくかなと思っていますが、今、そうですね、8億円は見込んでいるところですかね。ただ、個人住民税のほうで4億円ぐらいは減収が出るだろうと思っております。これの対処をやっぱり考えなきゃならんだろうと思いますので、緊急的ではありますけれども、かねて議会でも議論しておりましたので、この年度末の時期に、徴収の強化を図るために市町村と共同作戦を取ろうということにしたわけであります。

 全体で、実は自動車があまり売れていない。これは景気の動向も反映していると思いますが、また、軽自動車へのシフトがあるかもしれません。これで1億円ぐらいの減収もあります。ですから全体で都合してみますと、15億円ぐらいではないかと見込んでおります。これから年度末まで一生懸命やりますけれども、精査は必要ですが、そのぐらいの税収上の穴があくような格好になるかなと、そこを危ぐをいたしております。

 併せて危ぐをいたしますのは、国のほうで国税としての法人税が大きく減っていて予算どおり見込めていない関係で、交付税を年度内で確保することが今のままではできなくなってしまいました。政府のほうは、現在3,000億円の交付税の補てんといいますか、確保するためにそのための補正予算を提出をしようとされておられます。このことは当然だと思いますし、これは国と地方の約束事でありますので必ずやっていただきたいと思います。

 ただ憂慮いたしますのは、今の政治状況の中で、こうした国と地方との、要は財政上の措置をお互いに担保し合う現在の地方財政制度の中で、こうした必要に迫られた補正予算の議論があるんですけれども、ひょっとすると政争の具になるのではないかというように危ぐをいたしておりまして、いずれ選挙などがちらつくのかもしれませんけれども、現場だとか住民生活に支障を来すような、そういうことはぜひに避けていただきたいと思います。

 鳥取県でも3,000億円の穴がもし交付税で空きますと、今年度末にかけてさらに交付税関係だけで15億円ぐらい歳入欠陥が出るかもしれないということになります。決してばかにできない、年度末の、締めるときの話でありますので、この点はぜひ国会の両院においてきちんとした審議をしていただきたいなと思います。




5 当初予算の財政課長査定について 

○山陰中央新報 弥重節子 記者


 予算に関連してなんですけれども、財政課長査定が公表されましたが、非常に保留が多いなと。これまでですと保留についてはできるだけ行わない、ホームページにも実例がほとんどないというふうに書いてあるんですけれども、今回は10件近い保留、しかも65億円ぐらいの保留額が出ているんですけれども、これは平井県政で初めての当初予算だからこういうふうにペンディングが多くなったのか、それとも今後ともこういう保留というのはたくさん出てくるのかどうか。そこの辺はどういうふうにお考えなんですか。



●知事


 それはちょっと、予算編成を行っている担当の皆さんのお考えなんで、私もそこはちょっと伺っていません。おそらく、曲がりなりにも政権が替わりましたのでね、それでこれからどういう方針で当初予算編成をするかというのは、職員にも悩みがあるんじゃないかと思います。それを反映しての保留ということではないかと私は推測しますけども、詳しい事情については、担当のほうに聞いてもらえればいいんじゃないかと思います。別に保留を増やせという方針を出したわけでもありませんし、従来どおりのかたちで皆さん、予算編成にあたっていると思います。



○山陰中央新報 弥重節子 記者


 非常にゼロ査定も多いですし、何かペンディングが全体に多いなという感じを受けているんですけど。



●知事


 それはやはり、ちょっとこれからの予算編成をどうやってやったらいいか、政策の道筋がまだ試行錯誤の段階ですから。それを反映しているんじゃないかと思います。別に最終的に決着を付けないままズルズルということではありませんので。予算は時が解決しますので、必ず編成時期までには決まってきますから。



○山陰中央新報 太田満明 記者


 予算関連ですけれども、先ほどの知事のお話の中で、税収は大体15億円ほど目減り、交付税も15億円ほどの減る恐れがあるという話があったんですけれども、現時点で予算総額の話をするのはまだ早いのかもしれないんですけども、大体全体的にどのくらいのマイナスといいますか、見通しは。



●知事


 私もまだちょっと自分の査定に入っていないもので、全体像をつぶさには存じません。ただ、去年を上回るような規模ということではなくて、自然体でやっていただいていますが、若干減るんじゃないかという感触は持っています。ただ、よく中身はこれから精査しますので、規模の決定にはまだ至っておりません。今の交付税の15億円だとか、税収の15億円の話というのは、これは今年度の話でありまして、あれは決算に向けた話です。来年度はまた来年度の、今、税収見積もりなどをやっていると思います。



○日本海新聞 荒木隆宏 記者


 その新年度予算の関連なんですけれども、これも知事まで上がっていないということなので詳しくはわからないかもしれないんですけれども、30人学級の件で、財政課長段階ではその予算が盛り込まれていないようなんですけれども、これについて確か知事は、引き続き30人学級を続けたいということでおっしゃっておられましたけれども、その財政課長段階で盛り込まれなかったといいますか、その辺の理由というのは。



●知事


 それはちょっと私も聞いておりません、申し訳ありませんが。ただ自分としては、これから教育委員会と議論する場をセットしていただくんだと思いますが、私としては、いわゆる給与の5%カットがなくなって、鳥取県がこれまでやってきたニューディール政策といわれる増員対策が抜けたとしてもですね、教育の充実、学力の向上だとか、あるいは知・徳・体の育成、子どもたちの教育環境の整備という意味で、特に学校が変わった初期の段階、低学年の段階で、30人学級をこれまでどおりやっていくことの意義というのは大いに感じております。

 ですから自分は意欲的に予算編成に、その点ではあたっていきたいと思っておりますが、教育委員会と議論する場をセットしてくださるということだと思います。




6 道路特定財源問題について 

○日本海新聞 村上俊夫 記者


 本年度の減収対策についての基本的な考え方はわかりましたが、先ほど政争の具にしてはいけないという話があったんですけれども、明日から[通]常[国]会が始まると。自民党も今日、大会をやっていますし、昨日は民主党の大会があった。どうやら道路特定財源の問題が非常に大きな焦点になってきそうです。新年度の予算に与える影響というのは非常に大きいだろうというふうに思うんですけれども、国に対しては県も県議会も、あるいは市町村も、非常に発信力はあると思うんですけれども、一方、県民に対して、もし道路特定財源の、この暫定税率が見直される、廃止されるというようなことになれば、こういうかたちになりますよという情報発信はあまりされていないのではないかと。むしろ県民に正しい認識を持ってもらう、その中で国会議員であり、政府に迫っていくというかたちが必要なのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。



●知事


 県民の皆さまにも、ぜひ問題状況がわかりにくいところもあるかもしれませんので、私はきちんと説明することは最低限必要だと思います。もちろん最終的に有権者である県民の皆さまがそうした問題状況の中でどうご判断されるかということは、それは当然、有権者としての権利でありましょうけれども、ただ、現在、我が県が置かれている状況についてはご理解をいただくということは必要かと思いますので、そのことは検討してみたいなと思います。

 実は昨日も、いろいろと道路関係のことで歩かせていただきましたし、額賀財務大臣と昨日の朝、貨幣関係の、地方自治記念硬貨の発行での審議会がございまして、その審議会の冒頭で道路特定財源について、ぜひ政府側で堅持をしてもらいたいと、私たちは応援したいということを申し上げました。額賀大臣も、年度末までにこれは切り上げるという強い決意を示されておられまして、非常に私も心強く思いました。

 今回の道路特定財源については、都市部といわれるところと地方部といわれるところで温度差がどうしても出るだろうと思います。私ども鳥取県は、これから鳥取自動車道の開通を控えておりますし、さらに山陰自動車道、鳥取豊岡宮津道路、北条湯原道路、江府三次線などといったハイウェイ網の整備を行っていかなければならないわけでありますが、道路特定財源がなくなった場合に、その財源がはたして確保できるのかどうかということになろうかと思います。

 現時点の議論では、それが与野党ではですね、その話が随分食い違っているように思いますし、野党側のご意見のほうでは、その確保はできるかどうか、聞いていて甚だ心もとないという印象を受けます。

 これはこれからだんだん国会の会期中の中で議論が進んでいくのかもしれませんけれども、ただ、今まで鳥取県は、大都市部、あるいは山陽方面に比べて、高速道路整備の順番待ちをしてきた自治体であります。ようやくと自分たちの順番が回ってきたと思ったら、目の前で財源がなくなって、これからはあんまりつくらないんだよということをいわれるというのは不公正でありますし、国全体として過疎、過密を緩和をし、産業再配置を進めたり、日本海側で東アジアへのゲートウェー機能を確保していくという観点からしますと、日本海沿岸である山陰にミッシングリンク、高速道路がないところが生じているということは国家的損失だと思います。

 ですから国策としても、重点的に整備をすべきところであろうかと思います。そういうことは、ぜひ今の段階で、与野党通じてご理解いただかなければならない課題だろうと思います。

 また、地方財政といいますか、予算編成に与える影響も、村上[日本海新聞 記者]さんがおっしゃるように甚大でございまして、試算をおいてみますと、鳥取県で240億円ぐらい、県ベースで影響があるだろうと思っています。3千数百億のオーダーの予算の中で、240億円というと大変大きい状況だということはご理解いただけようかと思います。

 そのうち県のほうでも、100億円ぐらい、また国関係で140億円ということがありますので、そうした影響が決してばかにならないわけであります。県に直接配分されるものだけでも37億円、軽油引取税など、都合しますと出てまいりますので、この分は少なくとも穴があくと、暫定税率の廃止によって穴があくということになります。

 ですから予算編成をする上で見通しが全く立たないという状況に追い込まれてしまうわけでありまして、道路建設も、これは投資的経費であり、裁量権が与えられているとはいえ、やらなければならない事業も必ずありますので、結果としては福祉だとか教育だとか、生活面への施策にも影響が出かねないことだろうと思っております。

 ですから、これはぜひ与野党で冷静な議論をしていただきたいと思います。確かに選挙というものが目の前に見えてきて、それに対してボルテージが上がることも、感情としては理解できるんですけれども、ただ、我々は現場を預かる身であり、住民の皆さまのことを第一に考えると、冷静な議論をしていただいて優先すべき事業はきちんとやる。そして地方が今、財政力が弱いところでありますので、その地方部に対する財源の手当て、道路特定財源も含めて、これは必ずするということをしていただかないと影響が大きいのではないかと懸念をいたします。

 そうした問題状況は、県民の皆さまにも知っていただくこと、どういうことができるかですけども、年度末ですからあまり時間もありませんので、国に対しては訴えかけをしていきますけれども、その辺は私どもで、ちょっとできるツールを考えてみたいと思います。



○山陰中央新報 今若靖男 記者


 道路財源について、先ほど野党側の案は財源確保ですね、あての部分で心もとないというようなお話しされましたが、現実、民主党が言っているのは、油の値段が高くなってきていることから、やはり今の暫定税率の在り方を見直すべきだという議論もあって、これに都市部中心に、当然賛意が寄せられている面もあるんですけど。まず道路財源としては、野党案としては、財源の確保のあてがあるなら知事も貸す耳はあるというふうなお考えということなんでしょうか。



●知事


 現実的なそうした財源の中身があるんであれば、それはきちんと明示をされるべきだと思います。そうでないと議論がかみ合わないんではないかと思います。ぜひ、そういうお考えがあるんであればですね、明示をしていただきたいと思います。

 それから大都市部との、確かに温度差はあるんでしょうけれども、実態として道路特定財源を負担しているのは、東京23区と鳥取県で比べれば、世帯あたりだったら4倍、5倍というふうに、我々のほうが多く負担しているわけであります。

 この辺があまりご理解がないまま、地方が無駄遣いをしているんじゃないかという観念論と結び付けられているのが非常に残念であります。あまり感情的な議論ではなくて、きちんと国家全体としての公共投資の戦略を考えるとか、地方を含めた財源の在り方を考えるという目線で、冷静な論議を行っていただきたいと思います。



○山陰中央新報 今若靖男 記者


 本年度の補正予算の関係で、先ほどおっしゃった、3,000億円の確保のあてがなくなって、そのための補正を組まなければいけなくなった。これは補正交付税法案というか、やはり今年度の補正で今まで払った分の交付税の法案も通して、もしそれが通らなかったら、また返さなければいけないという、補正交付税のほうの問題もあると思うんですけれども、結局政争の具になってくると、法案が通る、通らないで、地方財政に大きく関与してくることが今回予想されるわけです。特に道路もそうですけど、交付税についてもそうですけど、この辺について、知事のお話は今、政府がやってきたことについて与野党で冷静な議論を求めておられると思うんですが、具体的に野党に対しては、政府案にその面については賛成してほしいというようなお気持ちだと受け止めてよろしいですか。



●知事


 そうですね。率直に、どういう対案を出されるかとかいうことは私も存じませんけれども、今国会が始まる直前ですので、いろいろとヒートアップした言葉がぽんぽん飛び出している状況ではないかと思いますが、冷静に議論していただければ、既に地方財政計画に基づいて国と地方とが今年度はこういう交付税を払いましょうと。交付税自体は、都道府県の共有財源でございますので、それはこういうかたちで担保しましょうという約束事に基づくものでありますので、約束はきちんと守っていただきたいと思います。

 これでそれぞれの地方自治体に歳入欠陥が生じて、財政赤字に転落するという引き金を国政が引くというのはですね、人道的にも許されないことではないかと思います。




7 遊休資産の売却について 

○朝日新聞 井石栄司 記者


 減収の件ですけれども。以前の会見で、減収対策として資産売却を進めていくということで、東京の「えびす会館」等についてもおっしゃっておられたんですけれども、その後の進ちょく状況というのはどうなっているんでしょうか。



●知事


 えびす会館を今年度というのは、ちょっとまだまとまってないかもしれませんね。どういうかたちがいいかなということはあると思います。PFIみたいなやり方もありましょうし。そこはまだ検討段階だと思います。

 ただ、来年度の組織編成の中で、そうした遊休資産の売却などの、今回ネーミングライツもありますけれども、積極的な増収策を担当する部局を設置したいと思っていまして、今年度以上に来年度はそうした取り組みが進展しやすいような工夫を考える予定です。



○山陰中央新報 太田満明 記者


 それは管財から外すということですか。あるいは別に……



●知事


 ええ、管財から外すということですね。



○朝日新聞 井石栄司 記者


 何人ぐらいの態勢に?



●知事


 いや、それはそんなには。片方で我々、組織のスリム化を図らなければなりませんので、業務を集中させたりしまして、リーズナブルな人数で向かいたいと思っています。そうした財政的な積極増収策と、また組織のスリム化なんかを一体化して、行財政改革のエンジンになるような部局を作る必要があると認識しています。



○山陰中央新報 太田満明 記者


 以前、知事は議会の中で、人事面といいますか、職員課と1本にしたものを作るとおっしゃっていましたけれど、それと連動したかたちになるわけですか。



●知事


 最終的には一体化したほうが、行財政改革のコントロールする上ではいいんじゃないかと思いますね。



○山陰中央新報 今若靖男 記者


 それは総務部内に設置されますか。局として一本立ちされるお考えなんですか。



●知事


 総務部内で、局で設けるとか、そういう形態かなと思います。総務の中で、部の中に置きながらもですね、ある程度のまとまりで、今でいえば局のような、そういうものを置いたほうがいいんじゃないかと思いますね。ある程度責任持たせて、そして自ら行政組織の問題だとか、積極増収策だとか、そういうものを組み合わせて考えられるような部局にしておいたほうがいいだろうと思っています。



○読売新聞 北島夏記 記者


 関連してなんですが、専門の部局を設けて行うほど、遊休資産というのは今それほど残っているんでしょうか。知事のお考えの中で、今後売却などを検討されている主な施設はどんなものがあるのか。それからネーミングライツのほうも、今後も続けられるというお考えを聞いていますが、具体的にはどういったものがあるのか、その点を。



●知事


 遊休資産は、実は細かいものからある程度のロットのものまでいろいろあります、正直申し上げて。これまでも管財課が中心となりまして普通財産として売却を進めてきましたけれども、もっとそのスピードを速める必要があるだろうと思っています。

 具体的には、先ほどお話のありました東京での資産もありますし、それから県内でも旧の久松閣だとか、そうしたまとまったロットの土地もございます。小さなところだったら、駐在所に使っていたとか、そうした小さなところもございますけれども、大から小までございます。そうしたものの売却について、来年度さらに積極的に進めていきたいと思っています。

 併せてネーミングライツについてでございますが、今回2つ契約をまとめる見込みが立ったというのは本当に喜ばしいことだと思っています。これは正直申し上げて、県外企業もおられますので、鳥取県政に対する評価もいただいたかなというように受け止めておりまして、大変にありがたいなと思います。

 こうした手法はほかにも可能だと思いますし、例えば米子のコンベンションセンターとか、候補となる施設もあろうかと思います。慎重に、そこはよく状況を調査しながら臨んでいきたいと思いますし、少なくとも今後も続けることになります。




8 薬害肝炎問題について 

○日本海新聞 小谷和之 記者


 薬害肝炎の問題なんですが、患者さんの救済手続とか始まりまして、今もやっぱり問題になるのが、いわゆる投与証明を得られない方々への対応というのは非常にこれから問題になってくると思うんですけども、そうした方々は鳥取県内にもかなりおられるのではないかと思いますが、この問題について、まず知事の考えをちょっとお聞かせ願いますでしょうか。



●知事


 今回大団円で薬害訴訟について決着をしたことは、患者の皆さまにとって大きな、大きな収穫、成果であったと思いますし、そのことを導き出した福田総理はじめ与野党の関係者の皆さまのご尽力に敬意を表したいと思います。ただ、残された課題もあるわけでございまして、これについて政府のほうで、さらに責任を持って対応していただく必要があると思います。
 
 実際に投薬証明がないという悩みを抱えている場合など、鳥取県というか、我々としても、関心を持って調査をし、国に働きかけるとかいうことも、今後考える必要があるかなと思っております。今は、これから状況をまず調査をするというところからではないかと思います。

 なかなか実はすそ野の広い話であろうかと思いますし、それについて国と地方との間で、役割分担の問題なんかも正直あるわけであります。薬害の直接の惹起した原因は、国ないし製薬会社のほうでありますので。ですから、いろいろ整理しながら進めなければいけない問題だろうと思いますけれども、我々も住民の皆さんの立場で関心を持って当たっていく必要があるだろうと思っています。


○日本海新聞 村上俊夫 記者


 県内にこの原告団を構成する方がいらっしゃって、その周りに一定の運動があるというような状況だともっと違うんだろうと思うんですけれども、鳥取県の場合には原告になられた方がいらっしゃらないというようなことで、やはり個人としては非常に情報にたどり着くのが大変だと思うんですね。しかし、これは責任の分担ということではなくて、行政として何らかの手助けをすれば、そこのところが非常にスムーズにいくのではないかというようなことはあるわけですし、知事は検査のところでは無料化もやられたわけですから、1歩進んで後押しをするというか、困っている方が本当にその救済が受けられるような支援が何かできないのか、ぜひ考えてほしいなというふうに思うんですよ。



●知事


 県として、この間の無料の検査を設定する際に、相談の窓口を東・中・西の保健所のほうで設置をさせていただいております。そうしたところにぜひ、ご相談いただきたいと思いますし、県庁の中にもそうした担当部局もございますので、ご遠慮なくご相談いただけるようにお願いをしたいと思います。状況を見て、私どもも県としてできる部分がどういう部分があるか考えていく必要を認識いたしておりまして、それはちょっと担当部局と相談して、考えてみたいと思います。




9 灯油費助成について 

○山陰中央新報 今若靖男 記者


 灯油の助成についてお伺いします。先週だったでしょうか、会見で、軸となるのが生活保護世帯への補助、それを市町村とともにやりたいということを、市町村とともに最大公約数としてやりたいというお考えを出し、その後、市町村のほうでいろいろ助成の仕方について検討された結果、生活保護世帯の枠を越えて母子家庭などにも、困窮世帯であるという理由から助成されるお考えがあるようなんですが、県としては、知事がおっしゃったように生活保護世帯、ここに対する補助を今でも軸とするというお考えには変わりないでしょうか。



●知事


 実はこれを年末からずっと記者の皆さんにも聞いていただいて議論している話ですけど、市町村と水面下でいろいろ接触をしてきております。その際に得られた我々の、市町村の検討状況は、生活保護世帯は最大公約数だろうというところでございまして、市町村はそれぞれのお考えで悩みながら、対象範囲をセットしています。

 せっかくされる市町村に対して、それを応援したいという気持ちもありますけども、自分たちがあまり出しゃばっていって、市町村それぞれのお考えをねじ曲げることもどうかなと思います。ですから、生活保護世帯に対する助成のところで県としては最終的な制度にしたいと、2月補正[予算]で考えたいと思っています。

 ただそのときですね、今、大体出そろってきておりますし、もう何件か出てくるんだろうと思いますけども、その中で、生活保護世帯だけというところもございますので、それで結果としてやっぱりそうなったなと思うんですが、今、典型的には県と市町村で2分の1ずつということでありましょうけれども、そこを県としてですね、じゃあここは重点的にやろうということで、例えば2対1、3分の2が県で、3分の1が市町村ということは、多分市町村の邪魔にはならないでありましょうし、我々として気持ちを示す意味でもそういう方策はあるかなと思っています。最後のちょっと詰めをしまして、2月補正[予算]で検討したいと思っています。




10 金振兟(キムジンソン)江原道知事との会談について 

○NHK 三浦太一 記者


 来週、江原道に行かれてキム知事との会談があると思うんですけれども、どういったこと会談で臨むつもりなのか、新たな何か提案などがありましたらお聞かせください。



●知事


 キム・ジンソン知事とこのたび江原道の雪祭りという場でお会いをさせていただくわけであります。そうした両方の地域が相互に交流し合いながらそれぞれの観光だとか経済が発展していくような、そんな方策をお互いに話し合ってみたいと思っています。

 そういう中で、私どもとしては航路の開設ができるかどうか、今、可能性が出てきて、我々としてもチャレンジしたいところでありますが、そうしたことについて江原道側も、ご理解とご協力をいただけるように、これもお願いをしなきゃいけないだろうと思っております。




11 桜庭一樹さんの直木賞受賞について 

○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者


 ちょっと知事が初めにおっしゃったんですけど、直木賞の桜庭さんについてなんですけど、『私の男』という作品をいつお読みになりましたか。



●知事


 これは昨日、東京に行きまして、都内の都心で買い求めまして、それで鳥取に移動する時間ですっかり読み切りました。3時間かからなかったですかね。

 350~360ページありますけども、本当に平易、非常に読みやすい文章で書いておられて、それぞれの登場人物のキャラクター設定ですか、それを明快にされていますし、シーンが6つほどありますけども、それぞれをお互いにコンセプトでつなぎ合わせるような、鎖で結ぶような、そんな書き方になっていまして、非常に読みやすいし、引き込まれた作品でした。

 本当に技術、テクニックですね、それからコンセプトのはっきりした、テーマ性のある作品だと思います。

○山陰中央テレビ 勝部正隆記者


 買われたきっかけというのは、桜庭さんが、要するに候補者になったとき、候補作品になっているということを知っていらっしゃったから買われたわけですか。



●知事


 はい。県内から候補者が出たこと自体名誉なことでありますし、今回の受賞の期待も込めて、昨日読んでおったんですけども、果たせるかな、ああいうふうになって、本当に受賞されたということでありまして、私も我がことのようにうれしくなりました。ご本人もインタビューで答えられていましたけどね。本当かどうか確かめたほうがいいとお母さんに言われたとおっしゃっていましたが、それぐらい画期的なことだったと思います。

 芥川賞、直木賞を含めて、県内からの受賞はこれが初めてであります。大作家への登竜門として名高い直木賞作家が出たということは、郷土の誇りだと思います。



○毎日新聞 山下貴史 記者(幹事社)


 各社、よろしいでしょうか。ありがとうございました。



  

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