特殊勤務手当(部活指導業務)の支給に係る確認方法に関する教育行政監察結果について

1 目的

 平成19年度実施の行政監査(特殊勤務手当の支給に係る事務)において、『一部の県立学校において、特殊勤務手当(部活指導業務)の支給に係る業務の実績を確認できる文書(日誌、記録等)が作成されていないため、特殊勤務手当の支給要件に該当するかどうか判断できない状況が見受けられた』との監査意見が示された。
 このため、今後の支給事務の改善を図ることを目的として、部活指導業務の実績を確認する方法について調査した。

2 対象機関

  • 県立高校 3校(平成19年度行政監査において監査意見の対象となった学校)
  • 教育総務課(給与担当)
  • 高等学校課(管理係)

3 調査期間

平成20年9~10月

4 調査方法

 県立高校に対して、調査票による調査を行うとともに、必要に応じて聞取り調査を実施した。また、教育総務課及び高等学校課に対して、特殊勤務手当(部活指導業務)の確認手続きに関する指導内容等について聞取り調査を実施した。

5 調査結果

(1)平成19年度行政監査の概要

 監査の結果及び監査意見の概要は次のとおりである。

【監査の結果】
  • 特殊勤務手当の支給に係る業務の実績を確認できる文書(日誌、記録等)が作成されていないこと等のため、特殊勤務手当の支給要件に該当するかどうか判断のできない状況が見受けられた。

実績を確認できる文書が作成されていない機関の状況

 

監査実施機関名

特殊勤務手当の名称

県立高等学校 3校

教員特殊業務手当(部活動指導)


【意見】
  • 特殊勤務手当は、職務命令により行った特殊勤務の実績により支給されるものであるため、特殊勤務手当の支給の対象となる業務の実績確認は、支給対象となる業務の実施者の上司である直接監督者が、特殊勤務手当の支給要件に該当するかどうかを判断できる業務の報告書や日誌等の文書に基づいて行うべきものである。
     
  • 特殊勤務手当の実績を確認する文書は、特殊勤務手当の支給の必要性が確認でき、かつ、支給の必要性について県民への説明責任を果たすことができるものでなければならない。
     
  • ついては、特殊勤務手当の支給の対象となる業務の実績が確認できる文書を作成していない機関は、それぞれの特殊勤務手当の支給要件を踏まえて文書へ記載すべき内容を検討し、速やかに作成されたい。

 

(2)監査意見に対する改善措置及び適合性

 監査意見に対して、3校が部活動の実態に応じてとった措置は次のとおりであった。
  1. A校
    新たに作成した「施設(体育館等)の使用日誌」により実績を確認する。
     記載項目:校長・教頭・事務長確認印欄、使用者職氏名、年月日、使用時間、使用施設、業務内容

    『監査意見への適合性』
     特殊勤務手当の支給の対象かどうかを確認できる時間、場所及び業務内容等の記載事項が網羅されており、適合するものと判断される。
     
  2. B校
    教職員の勤務時間の適正管理のための「教職員動向記録表」により実績を確認する。
    なお、平成20年10月1日からは「県立学校時間外業務管理システム」により記録管理する。

    『監査意見への適合性』
     「教職員動向記録表」及び「県立学校時間外業務管理システム」とも、部活動の場所、内容を記載(入力)する欄がなく、特殊勤務手当の支給要件に該当するかどうか判断するだけの記録としては不十分であると判断される。
     
  3. C校
    新たに作成した「教職員特殊勤務(特殊業務)伺い及び実績簿」により実績を確認する。
     記載項目:(伺い)校長確認印欄、従事者印欄、従事時間、時間数、従事場所、業務内容
           (実績)伺いと同じ様式

    『監査意見への適合性』
     様式及び記載項目とも、「職員の特殊勤務手当の支給に関する規則」第5条に規定された「特殊勤務実績簿」とほぼ同様であり、「特殊勤務実績簿」の内容を確認するための文書としては不十分であると判断される。また、伺い分、実績分と重複して記録するため、教職員の負担が大きいことも懸念される。

6 提言

(1)特殊勤務管理システムによる実績確認

 平成19年度行政監査では、県立学校での特殊勤務手当の業務量の多さを踏まえ、知事部局で導入している「特殊勤務管理システム」の県立学校への導入を検討するよう意見が出されている。
 教育総務課においては、監査意見を踏まえ、システムの導入に向けた検討を進めているが、特殊勤務手当の支給に関する事務の効率化の観点に加えて、部活指導の教職員の負担軽減の観点から、実績確認のための機能も付加し、システム上で部活動の内容等も記載できるようシステム設計を検討すること。
 なお、平成20年10月1日から稼動している「県立学校時間外業務管理システム」と連携したシステム設計を検討し、部活指導の実績が的確に記録されるとともに、関係する教職員の作業負担の軽減を図ること。
 

(2)実績確認のための標準的な文書様式の作成

 上記(1)による特殊勤務管理システムが県立学校に導入されるまでは、監査意見を踏まえた実績確認のための文書を作成しておく必要がある。
  このため、高等学校課においては、平成19年度行政監査の意見及び今回調査した県立高校の改善措置の状況を踏まえ、特殊勤務手当の支給の必要性が確認できるよう標準的な確認文書の様式(時間、場所及び業務内容等の記載事項)について検討すること。

  

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