本県におけるこの漁業は、水産試験場が「トビウオ巻網漁業試験」(1901-1905)として取り組んだのが始まりである。その後、動力漁船が普及して以来、沿岸の主要漁業となった。大正元年(1912)漁業取締規則の全面改正の際「雑魚旋網漁業」として許可漁業となり、現在に至っている。

  • 漁期  5月中旬から7月中旬で(6月~7月上旬が盛漁期)
  • 漁場 灘から8、000メートル程度までの岩礁上又は潮目
  • 漁具の構造
     漁具は、ぶり板を結着したひき綱(ブリ綱)と図のような網具から構成される。ブリ板は白色の木の板やプラスチック板を使用している。大きさは縦30センチメートル、横6センチメートル、厚さ5ミリメートル程度で地区により多少異なる。
      ひき綱は13ミリメートルナイロンロープ180Kを使用し、ブリ板を130センチメートル間隔で取りつける。浮子はブリ板10枚に1個の間隔で取りつけている。
     各網地の縫い合わせは、網地の長い分だけ縮結を入れるが、特に魚捕り部と袖網のまぐりは浮子方から最初の4K位の間は、袖網よりふくろ網の方をやや多く縮め、さらにその下2K位を最も多く縮め、それから沈子方まで徐々に少なくするのが普通である。沈子は8ミリメートルロープに30匁の沈子を1尺6寸間隔で取り付け、これに別の8ミリメートルロープを添わせ取り付けている。この沈子綱より8寸ほど離したところに1K間隔で環を取り付けている。

網地の展開図
網の各場所の名称
浮き
漁具の構造


名称 材質および規格
魚捕 ナイロン 9.5節
袖網 ナイロン 9~9.5節 22反
浮子綱 ナイロン 8ミリメートル×2本
浮子 合成 E3型 浮子綱に40センチメートル間隔で取付け
目通し ナイロン 3ミリメートル
沈子綱 ナイロン 8ミリメートル×2本
沈子 鉛30匁 沈子綱に1尺6寸間隔で取付け
目通し ナイロン 3ミリメートル
ステンレス 3ミリメートル沈子綱に1K間隔に取付け
環締め綱 ナイロン 13ミリメートル
ひき綱 ナイロン 13ミリメートル
ブリ板 プラスティック、木製 30×6センチメートル 厚さ5ミリメートル 白塗り

  • 漁法 5トン前後の動力漁船に4人程度従事する。10時頃に出漁し、漁場に到着すると潮目の状況等を見ながら経験によって操業位置を選定する。

網の入れ方
網を入れた時の写真
まずひき綱に結着した浮標を投入し、ブリ綱を出しながら風に向かって全速力で走り、続いて投網していく。

網の曳き回し方
網の曳き回し時の写真
次に本船側のブリ綱を投入しながら半速で風下に折れ、網なりを円形に整えながら浮標に接近する。
網の絞り方
浮標を引揚げブリ綱を巻揚機を使い船首側から巻きあげる。その際、網が引かれすぎて閉じないよう、加減しながら前進をかける。ブリ綱を巻き揚げ、網具が近づくと環綱をとり、今度は舷側から巻揚機で巻き揚げ、魚捕部を船上に引き上げる。
揚げ網方法
揚げ網時の写真
漁獲されたトビウオ

 1回の操業時間は概ね30分程度で、夕方近くまで繰り返し15回程度操業する。
 なお、投網時の旋回方向は、潮の流れや魚の位置を観察しながら、右回りまたは左回りを判断していく。また、ツクシトビ(カクアゴ)は岩礁域、ホソトビ(マルアゴ)は砂浜域での漁獲が多い。

  

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