何の因果(いんが)で貝殻(かいがら)漕(こ)ぎなろうた
カワイヤノー カワイヤノ
色は黒うなる 身はやせる
ヤサホーエヤ ホーエヤエー
ヨイヤサノ サッサ
ヤンサノエー ヨイヤサノ サッサ

イタヤ貝の豊漁を歌ったこの貝殻節のように鳥取の海は古くからから沿岸に生活する人々に多くの海の恩恵を与えてきました。
貝殻節

青く澄み渡る日本海、緑豊かな山々。伯耆と呼ばれる西部には秀峰大山がそびえ、山からの豊かな栄養分を海にもたらしてくれます。
大山
撮影:山尾賢一氏

因幡と呼ばれる東部では、夏になると鳥取砂丘の沖にシロイカ(ケンサキイカ)を釣るイカ釣り船の漁り火が美しく輝きます。
鳥取砂丘と漁り火
撮影:小河義明氏 

このように鳥取県は豊かな海に囲まれ、海の幸を育んでいます。マアジの群れ
撮影:中谷英明氏

海の幸つまり海洋生物の住む場となる日本海は、面積は約130万平方キロメートル、平均水深は1350メートル、最深部3700メートルで、日本海中央部には大和堆と呼ばれる大きな浅瀬があります。南北に位置する4つの浅く狭い海峡によって、東シナ海、北太平洋、オホーツク海とつながっています。
海底地形

日本海の表層は赤色の矢印で示す東シナ海から流入する温暖・高塩分の対馬暖流と、青色の矢印で示す間宮海峡付近を起源とする寒冷・低塩分のリマン寒流によって特徴付けられます。また北緯40度付近には黄色の線で示す両水塊が接する極前線と呼ばれる大きな潮目があります。この潮目に沿ってスルメイカが南北に大移動を行うことが知られています。中深層には、空色の渦で示す水温・塩分がほぼ一定な“日本海固有冷水“と呼ばれる水塊があります。特に山陰東部沖の冷水塊を山陰・若狭沖冷水と呼んでいます。
海流


鳥取の海は、前述した『山陰若狭沖冷水』『対馬暖流』が存在し、大和堆や隠岐諸島、大山の火山岩からなる天然礁があり、プランクトンや小魚などの餌が豊富なため、それらを食べる多種多様な水産生物が集まってきます。対馬暖流が影響する海表面から水深100メートルまでの表層ではアジ、サバ、イワシ類がまき網によって漁獲されます。日本海固有冷水が影響する水深200メートルから海底付近では、松葉がに(ズワイガニ)やハタハタ、アカガレイなどが沖合底びき網で漁獲されます。
日本海の構造と生物
また、本県海岸線は鳥取砂丘を代表する砂浜域が多く、県魚である「ヒラメ」の好適な生息域となっています。県西部には県唯一の内湾である美保湾があります。美保湾は稚魚の育成場として重要な中海と繋がっており、大山からの豊富な栄養塩を含んだ河川水が流入するなど好漁場となっています。

普段の生活ではあまり気にしない海の様子はめまぐるしく変化しており、本県沖では1990年ごろから海表面の水温が上昇しました。そのため、境港で日本一水揚げされるクロマグロや今や沿岸の重要魚種として定着したサワラ、巨大な赤いか(ソデイカ)などの暖水性の魚が漁獲されるようになりました。

鳥取県では、これらの水産物を末永く漁獲できるように、漁業者とともに新たな漁具や漁法の開発、鮮度良く出荷する技術の開発、資源管理などに取り組んでいます。

鳥取の海は観光資源としても重要な役割を果たしています。起伏に富んだ浦富海岸の磯場には多種多様な生物が生息しており、シーカヤックによる自然観察が楽しまれています。
浦富海岸
撮影:松岡正徳氏

県内では白兎海水浴場(白兎海岸)、皆生温泉海水浴場、浦富海水浴場、石脇海水浴場の 4つの海水浴場が日本の水浴場88選に選ばれており、県内外から多くの海水浴客が綺麗な海を求めてやって来ます。また、毎年、海水浴の季節になると、海水浴場の水質調査が行われます。平成20年の調査結果は、調査が行われた8海水浴場で、環境省の定める海水浴場水質判定基準における最高ランク「水質AA」が5箇所、残り3箇所もすばらしい水質の「水質A」で、いずれも「適」のランクに該当していました(参考に、水質B、Cだと「可」のランク)。海水浴
撮影:山本清恵氏

以上のように、鳥取の豊かな海は付加価値の高い産業を支えています。そして文化の香り高い風土の中で、新しい時代を担う人材が育っています。また鳥取県は、古くから日本海を隔てた対岸の国々との交流があり、環日本海時代の拠点づくりを進めています。

  

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