八上姫と大国主命

八上姫と大国主命

  いなばの白うさぎが取り持つ縁。
 
古代―大国主命(おおくにぬしのみこと)が須佐男命(すさのおのみこと)の命令で国づくりを始める少し前の話である。
神々の里出雲で大国主命の異母兄弟八十神(やそがみ)達は、因幡の国八上の郷(現河原町)に美しい姫がいると伝え聞き、この八上姫をめとろうと考えた。
八十神達は、弟の大国主命に八上姫への贈り物をすべて持たせると、弟を待つことなく因幡の国へと向かった。途中の海岸で傷ついた白ウサギが泣いていたが、八十神達はこれに誤った治し方を教えて笑いものにし、大国主命はわけを聞いて助けた。

さて、先に八上の郷にたどり着いた八十神達は八上姫に求婚したが、ことごとく断られてしまう。
やがて遅れて着いた大国主命に八上姫は「私の慕うお方はあなたです」と告げる。
姫は、一目で人となりを判断できる聰明な女性だったのだ。

この二人のロマンスにちなんだ地名が河原町には今も残っている。

例えば、大国主命が贈り物をつめた袋を捨てた千代川の河原が「袋河原」、恋文を書いたところが「倭文(しどり)」。

また「円通寺」は、二人が縁を通じた「縁通路」に由来するとか。

ところで、その後の話。
二人は八上の郷で幸せな結婚生活をはじめ、やがて子供をもうけた。
これをきっかけに、姫は夫とともに出雲に行くことになったが、そこに待ち受けていたのは正妻の須世理姫(すせりひめ)。
気性が激しく嫉妬深い彼女と折りが合わず、八上姫は子供を残して因幡へ帰る。 傷心の姫を郷の人々は優しく迎える。

そして、姫は死後、売沼(めぬま)神社にまつられ、その裏山にある嶽(だけ)古墳は、姫の墓と伝えられている。
  

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