2013年5月9日
平成25年5月2日(木)、古代中世部会では『中世編』の編さんに向けて、雲龍寺(鳥取市鹿野町)が所蔵する史料調査を実施しました。
雲龍寺は曹洞宗寺院で、鳥取市指定文化財にもなっている『因幡民談記』(以下「雲龍寺本」)を所蔵しています。『因幡民談記』は藩医小泉友賢の手による近世前期の地誌で、1688年に完成したとされています。
原本は1720年に火事で焼失しており、写本のみが存在しています。雲龍寺本は1725年成立とされ、写本の中でも最古である可能性があります。
今回は、中世文書写を含む「筆記之部」の内容確認および県立博物館本(西橋本)との比較検討を行い、西橋本に欠落している中世文書写が雲龍寺本に収録されていることを確認できるなどの成果がありました。
御協力いただいた雲龍寺住職様にあつく御礼申し上げます。

(写真1)雲龍寺本堂

(写真2)雲龍寺本「因幡民談記」

(写真3)調査の様子
県史編さん室
公文書館 2013/05/09
in 県史編さん室,調査
2013年5月8日
平成25年度民俗部会は、北栄町教育委員会と共同で北栄町歴史民俗資料館(東伯郡北栄町亀谷)所蔵民具を調査します。その前準備として、平成25年5月2日(木)、北栄町教育委員会と資料の収蔵状況を確認し、調査手順を協議しました。
北栄町歴史民俗資料館の民具資料約1500点は、主に昭和56(1981)年に旧大栄町で収集された資料です。収蔵品は農具から娯楽用の木製スキーまでさまざまですが、農具の収蔵が特に充実しています。
北栄町歴史民俗資料館民俗資料展示室
整然と収蔵展示される民具資料
また北栄町歴史民俗資料館のほとんどは資料は、旧大栄町内のどこで誰が使用していたか記録してあります。そのため、例えばそのデータを使って海岸地区の砂地で使われた農具と台地上の粘土質の畑で使用された農具を分類し、その差を課題にして深く調べることも可能です。民俗部会としては、これらの資料に秘められるさまざま情報を引き出して、地域に還元できる調査にしたいと考えています。
今年度、調査でお世話になる北栄町民、また北栄町教育委員会の皆様どうぞよろしくお願いします。
展示室のとなりにある収蔵庫
収蔵庫内に所蔵される除草機(太一車:たいちぐるま)などの農具
県史編さん室
公文書館 2013/05/08
in 県史編さん室,調査
2013年3月18日
平成25年3月7日(木)及び14日(木)、日野町歴史民俗資料館において民俗部会は第6回、第7回の民具調査を実施しました。
日野町教育委員会と共同で実施している調査は、厳寒期は休止していましたが、3月から再開しました。資料の整理は、順調に進み14日の時点で1000点の採寸、写真撮影が終了しました。まだ寒い中、参加いただいた資料館友の会、県史編さん協力員の皆様にお礼申し上げます。

(写真1)3月14日の調査

(写真2)雪が舞う寒さで、パソコン入力担当者は凍えた指先を温めながら作業しました
県史編さん室
公文書館 2013/03/18
in 県史編さん室,調査
2013年3月17日
平成25年3月13、14日の両日、古代中世部会では、『古記録編』の編さんに向けて、鳥取県内の神社に残る中世棟札の調査を実施しました。
今回調査したのは、大江神社(八頭町橋本)、甘露(かんろ)神社(岩美町陸上:くがみ)、加知弥(かちみ)神(鹿野町寺内)で、県立博物館・米子工業高等専門学校と合同で実施しました。3社とも『延喜式』神名帳に記載された「式内社」で歴史は古く、いずれも30~70点の棟札を所蔵しており、このうち大江神社と甘露神社で中世以前の年号を持つ古い棟札を確認することができました。今回の調査成果は、平成28年度刊行予定の『新鳥取県史 古代中世2 古記録編』に反映させていきたいと思います。
御協力いただいた各神社の宮司様はじめ関係者の皆様にあつく御礼申し上げます。

(写真1)大江神社の社殿
「因幡二ノ宮」と呼ばれ、中世では国人伊田氏の信仰を集めました

(写真2)調査の様子
1点ずつ内容を確認し、写真を撮影していきます。

(写真3)甘露神社の棟札
中には「延暦」「延喜」といった古代の年号を持つものもありました

(写真4)加知弥神社の社殿
中世では「勝宿大明神」と呼ばれ、特に戦国武将の信仰を集めました
県史編さん室
公文書館 2013/03/17
in 県史編さん室,調査
2013年3月14日
平成25年3月8日(金)、近世部会は県立公文書館会議室にて、平成26年度末の『新鳥取県史 資料編 近世2 西伯耆』刊行に向け、同資料編に掲載する史料を選ぶ作業を行いました。
今回は、2500頁分になる膨大な史料を読み、一つ一つを掲載するかどうかを検討しました。

史料検討会の様子
県史編さん室
公文書館 2013/03/14
in 会議など,県史編さん室
2013年3月13日
平成25年3月6日(水)、民俗部会は湯梨浜町泊の称名寺を会場として「衣食」に関する民俗調査を実施しました。
今回は、元泊漁業協同組合長・旧泊村議員であった橋本是さんの御協力で、地元の山海の食材を使った料理に詳しい方、かつて行商をされていて食糧の供給者として食の変遷を見てこられた方など5名の女性に集まっていただきお話を伺いました。
また調査の際には、郷土料理の名人である方に、「おからずし」を持参していただきました。泊の「おからずし」は、イワシが主流で、「イワシずし」ともいわれており、イワシの場合は切り身にせずおからをはさむそうです。また、酢飯の代わりに酢おからを使用します。県内には同様に酢おからを使うすしとして鳥取市賀露の「シロハタずし」があります。
泊ではかつて「おから」を「きらず」と呼び、さまざまな良い縁を「きらず」の意味があり、お祝いの料理によく使われたそうです。
今回は良いイワシが入手できなかったため、ハマチの切り身を使用したとのことでしたが、見た目も美しく、酢のすがすがしい香りと、上品な味でお祝いの料理であることを感じることができました。
最後になりましたが、会場を提供してくださった称名寺の土井義雄住職、調査をセッティングしてくださった橋本是さん、貴重なお話をしていただき、料理を持参してくださった皆様に御礼申し上げます。

(写真1)調査会場の様子

(写真2)ハマチを使ったおからずし
県史編さん室
公文書館 2013/03/13
in 県史編さん室,調査
2013年3月11日
平成25年3月1日(金)に第2回新鳥取県史編さん専門部会(民俗)、3月5日(火)に民俗編生業分野担当者会議を共に公文書館会議室で開催しました。
1日の専門部会は、6名の部会委員に御出席いただきました。まず本年度事業の進捗状況などについて報告、続いて平成25年度の事業計画、民俗編刊行までの年次計画について協議しました。
5日の民俗編生業分野担当者会議は、9名の調査委員に出席いただき、執筆担当分野の変更、民俗編目次構成の再検討を行いました。

(写真1)民俗編生業分野担当者会議の様子

(写真2)生業分野の中の漁業について発言する磯本宏紀調査委員(右)

(写真3)平成24年度から調査委員に加わっていただいた山本恭子氏(中央)
県史編さん室
公文書館 2013/03/11
in 会議など,県史編さん室
2013年2月18日
平成25年2月18日から再び余井(よい)古墳の鉄器実測が始まりました。
調査員は、前回と同じく岡山大学大学院生の渡瀨健太氏です。久々の再会に湯村専門員と話が弾んでいる様子です。渡瀬調査員は、これから2月21日まで鉄器実測をされます。

(写真1)思わず笑顔のこぼれる渡瀬調査員(左)と湯村専門員(右)

(写真2)実測中の渡瀬調査員
県史編さん室
公文書館 2013/02/18
in 県史編さん室,調査
2013年2月14日
平成25年2月14日、旧多里村役場文書調査の最終日を迎えました。
本日は岸本委員と石田委員が参加されました。岸本委員が注目したのは、日露戦争の動員関係の資料です。各村に物資や人手を出すようたくさんの通知が出されており、国をあげて戦争に協力する体制となっていることがわかるそうです。「日清戦争の頃に比べて国家総動員体制が進められていることがわかった」とのことです。また、戦争関係の資料の分厚さにも注目されていて、戦争というのはたくさんの書類を必要とするものなんだなあ、と感じたそうです。
そして昨日に続いて参加の石田委員の注目資料は、終戦直後の学校教育に関する資料です。「国史・修身の授業を全てやめて、その時間は英語の時間にあてるよう通知が出されている。全く逆のことにあてなさい、と言うんだからすごい。日本中のいろいろなところで昨日とは逆のことをしろ、と言われたんだろうな」とのことでした。この3日間で調査の終わらなかった委員の方々は、資料の里帰りまでにまた公文書館に来て下さるそうです。

(写真1)協議中の岸本委員(左)と喜多村委員(右)

(写真2)資料解読中の石田委員
県史編さん室
公文書館 2013/02/14
in 県史編さん室,調査
2013年2月13日
平成25年2月13日、昨日に続いて旧多里村役場文書調査を実施しました。
本日は、佐々木委員が参加してくださいました。今回佐々木委員が選んだ資料は、学童の戦争教育の資料で、とても細かいことまで記されています。
まずは召集令状に似せた紙を生徒に送り、校舎を基地に見立てて授業を行ったようです。この召集令状や基地の見取り図をはじめ、授業のタイムスケジュール、最後の試験結果まで残されていました。「通して調べるととてもおもしろい資料です。これから細かく読んでみたいです」とのことでした。
さらに本日は石田委員も参加してくださいました。石田委員が選んだ資料は、大正7年に出された教職員給与大幅アップの資料です。「原因は物価高騰と書いてあります。大正7年と言えば、米騒動と同じ年だから、米騒動が原因だと思う」とのことでした。全国的な動きとリンクしていることがわかる資料のようです。旧・多里村文書の資料調査は明日まで続きます。

(写真1)協議中の佐々木委員(左)と清水専門員(右)

(写真2)協議中の佐々木委員(左)と清水専門員(右)
県史編さん室
公文書館 2013/02/13
in 県史編さん室,調査